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第04話 うちへ? 主任に押しかけられました(下)
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「昨日は確か、学生時代の仲良しのお友達とご飯だったんですよね。そこで喧嘩でもしてしまったんですか」
一息ついてから、聡介は切り出した。まほろはぶんぶんと首を横に振って答える。
「いえ、友達とは……卒業以来に久しぶりに会ったので、楽しく話してきました」
「では、そのあとに何かがあったんですね?」
聡介は俯いたまほろの表情を、下からのぞき込むようにして確認する。
正直に話さなければ、きっと聡介は何時間でもそうやって、まほろが話すのを待つような気がする。言動は丁寧なのに容赦ない圧力をかけてくる聡介に根負けして、まほろはぽつりぽつりと白状した。
「実家の……姉から……電話があって……」
「実家のお姉さん? いくつの方なんですか。お仕事は?」
「ふたつ上の……二十五歳で……今は、たぶん……人材派遣社員をやっていると思います。もうとっくに……辞めたかもしれないですが」
「そのお姉さんが、まほろを傷つけるようなことを言ったんですか」
「いえ、そういうわけじゃ……なくて……ただ……実家にお金を持ってこいと……」
「金銭の無心ですか。お姉さんかご両親か、何か金銭的に苦しい事情でも?」
「そ、そういうわけでは……たぶん……ないと……思うんですけど……でも、姉はあまり真面目に働いていなくて……それなのに男の人とか……友達とかと遊ぶのが好きで……母はそんな姉に甘くて……父はたぶん、いつも通りただ黙っているだけで……」
「そうなんですね」
気持ちのいい話ではないだろうに頑張って教えてくれるまほろを労わるように、聡介はなるべくやわらかな声で相槌を打った。
「姉は……私なんかより……かわいいから……私は、こんな……とろくさくて……頭もよく、なくて……暗いし……会社でやっていけていないんでしょって……」
まほろは、姉に言われたことを反復する。しかし、自分の口から出るその言葉が自分の心をグサグサと突き刺していくようで、まほろは昨夜と同じ惨めさや悲しさに襲われて涙をこぼした。
「なん、で……そんな、こと……っ……言われなきゃ……いけないの……」
「まほろ……」
「なんで……っ」
これまでの二十三年間、姉からは散々けなされ、馬鹿にされ、邪険にされ、それでいて都合のいい時だけ利用されて、時には笑い者にもされてきた。壊されるのは主に異性関係だったが、同性の友達との関係も、姉の意地悪が原因でこじれたことが何度かある。芽衣くらいなものだ。唯依佳の美貌と剣幕と策略に屈することなく、まっすぐにまほろの味方で居続けてくれたのは。そして母はいつだってそんな姉をかばい、むしろまほろが悪くてまほろの方に原因があるかのように責めてきた。父は何も言わず、ただ黙っているだけで明確な味方になってくれたことなど一度もない。あの家庭の中で、まほろが安心できる場所と時間は寸分もなかったのだ。
「まほろ、こちらへ来て俺に抱きしめさせてくれませんか。俺に抱きしめられるのが気持ち悪いとか嫌だとか、そう思わないのであれば……で構いませんが」
聡介はそう質問だけ投げると、きょろきょろと狭い室内に視線を這わせた。そしてティッシュ箱を見つけて二枚ほど取り出すと、まほろに使うように差し出す。
――ずじゅっ。
まほろは受け取ったティッシュで鼻をかみ、まだすすり泣きをしながら聡介を見つめた。聡介はまほろを迎え入れる気満々なのか、片腕を広げている。
聡介の行動の真意を深く考察するのが面倒で――そしてまた、聡介に嫌悪感はなかったので、まほろは少し呼吸を整えるとベッドから腰を下ろして、聡介の胸に顔を寄せるように近付いた。すると聡介はむぎゅっとまほろを抱きしめて、まほろの後頭部を大きな手のひらでなでた。
「つらいことを話させてしまい、申し訳ありません。でも、教えてもらえてよかった。ご実家のご家族が……特にお姉さんが、君を苦しめているんですね」
「苦し、めて……とまでは……」
「いえ、どう聞いてもお姉さんは君を苦しめています。まほろの人格を無視しています。君が傷ついたり悩んだりする一人の人間だということを、お姉さんはまったく理解していない。君のことは、好きなだけ雑に扱っていい、感情のないぬいぐるみ程度にしか思っていません。だからいくらでも、君の心をえぐるようなことを言えるんです」
「っ……」
心をえぐるようなこと――そのとおりだ、とまほろは思った。姉の唯依佳はいつだって、無作法にまほろの心に上がり込んで、そして無神経にえぐっていく。そうして傷つくまほろを見て愉悦すら感じている。
「まほろ、一人暮らしを始めたのは自分の意思ですか」
「え……はい……。社会人になったら……貧乏暮らしでもいいから……実家から出ようって……」
「そうですか。社会人になるまでよく耐えましたね。それに、実家から出るという決断もよくできました。素晴らしい。そんな君のどこが、とろくさくて頭が悪いんですか。会社でだって、一生懸命頑張ってくれているじゃないですか。まほろのお姉さんの言うことは、全部的外れなでたらめです。君のことを何も知らないから、自分で空想した架空のまほろの悪口を言っているにすぎません。ひとつも真に受けなくていい。君は真面目に頑張っている……素晴らしくて、それにとてもかわいらしい女性です」
「っ……うっ……」
まほろを抱きしめる聡介の腕に力が入る。まほろは動けないほどにぎゅっと強く上半身を抱きしめられながら、聡介の言葉に涙した。
聡介はしばらく、まほろの呼吸が落ち着くまでそうして抱きしめていた。時折、まほろの髪の毛に鼻を寄せてその匂いを嗅ぐ。使っているシャンプーかトリートメントの匂いか、シトラスのようなさっぱりとした香りがとても心地よかった。
「私……聡介さんと……別れた方がいいと……思うんです」
「ん? なぜいきなりそんな方向に話がいくんです?」
聡介から少し身体を離したまほろがそう切り出すと、聡介の表情は一変した。瞬きの数が減り、眼鏡のレンズ越しにまるで狙いを定めるかのようにまじまじとまほろの瞳を見つめる。
「姉は……私の近くにいる男の人に……ちょっかいを出すんです。それで私が傷つくのを……楽しんで……。だから、いつかきっと……聡介さんに迷惑をかけます。そうならないように――」
「――待った、待ちましょう、まほろ。悪いですがその提案は却下です。却下。絶対に受け取れません」
「でも……」
「俺のことが好きになれない、嫌いだ、と言うのであれば納得します。時間はかかるでしょうが、君への気持ちは諦めます。でも、そんな起きるかどうかもわからない未来のために、なぜまほろと別れなければならないんですか? たいへん心外です」
「だって、姉は……本当に……」
「ええ、本当に性悪なのでしょうね。腐っても君のお姉さんではあるのでこき下ろすのは心苦しいですが、まあプンプンと、地雷臭というか腐敗臭というか、性悪女の香りがします。絶対に近付きたくないですね。まほろよりもそんなお姉さんをかわいがる母君も、正直どうかしていると思います。お姉さんの性根の悪さは母君譲りですか? だいたい、こんなにも素直で愛らしいまほろをかわいがらないなんて、わけがわかりません。母君の目は節穴ですか? もしかして不良品の眼球をお持ちです? 可能なら別の眼球に交換した方がいいんじゃないですかね。ああ、たぶんお姉さんは性格のパーツ交換じゃどうにもならないくらい性悪だと思うので、もう人生諦めた方がいいですよ。早ければ十年後、遅くても二十年後、絶対男も女友達も周りにいませんよ」
(こ……こき下ろすなあ……)
心苦しいと前置きをしたわりには心苦しさを微塵も感じさせない聡介の弁に、まほろはふと冷静になってしまった。
「まほろにお付き合いを申し込んだ日、俺が君に言ったことは全部本気ですし嘘偽りもありません。俺も少しは飲んでいましたが、酒にはそこそこ強い体質なので、ほぼしらふです。酔った勢いで言ったわけでもありません。俺は君のことがたまらなく好きで、結婚して死ぬまで一緒にいてほしいと思っている。それくらいに君のことが大事で、大切にしたいんです。だから」
聡介は少し離れて、床に座り直したまほろの手を握った。大きくて温かな聡介の手に包まれるように握られて、まほろは不思議と心地よさを感じた。
「だから君の気持ちが俺に向いてくれるまで、俺はいくらでも待つつもりでした。ある程度醒めていたとはいえあの時の君は酔っていましたし、俺の告白を受け止めて消化するのに時間がかかることはわかっていました。ゆっくりで……君のペースでよかった。君が安心して俺を好きだと思えるようになるまで、いくらでも時間をかけてもらいたかった。それなのに、そんな会ったこともない性悪お姉さんのせいで別れを切り出されるのはひどく心外です。ナンセンスです。納得いきません」
「でも、あの……本当に……いつか、とんでもないご迷惑を……」
「もし仮にそうなるとしても構いません。まほろと別れなくていいのなら、君のお姉さんに迷惑をかけられるぐらい、どうってことありません。俺は性悪女の手にほいほいと転がされるほど馬鹿な男のつもりもなければ、経験値の少ない浅い人生を歩んできたつもりもありません。仕掛けてくるというのなら一分の隙も見せず、徹底抗戦します。だからまほろ……そんなしょうもないお姉さんを口実に俺を振らないでください。君を苦しめるお姉さんよりも、君を心から愛する俺を傍においてください」
「っ……」
最後、真剣だがどこか頼りない表情になった聡介を見つめ返して、まほろは言葉に詰まった。
一息ついてから、聡介は切り出した。まほろはぶんぶんと首を横に振って答える。
「いえ、友達とは……卒業以来に久しぶりに会ったので、楽しく話してきました」
「では、そのあとに何かがあったんですね?」
聡介は俯いたまほろの表情を、下からのぞき込むようにして確認する。
正直に話さなければ、きっと聡介は何時間でもそうやって、まほろが話すのを待つような気がする。言動は丁寧なのに容赦ない圧力をかけてくる聡介に根負けして、まほろはぽつりぽつりと白状した。
「実家の……姉から……電話があって……」
「実家のお姉さん? いくつの方なんですか。お仕事は?」
「ふたつ上の……二十五歳で……今は、たぶん……人材派遣社員をやっていると思います。もうとっくに……辞めたかもしれないですが」
「そのお姉さんが、まほろを傷つけるようなことを言ったんですか」
「いえ、そういうわけじゃ……なくて……ただ……実家にお金を持ってこいと……」
「金銭の無心ですか。お姉さんかご両親か、何か金銭的に苦しい事情でも?」
「そ、そういうわけでは……たぶん……ないと……思うんですけど……でも、姉はあまり真面目に働いていなくて……それなのに男の人とか……友達とかと遊ぶのが好きで……母はそんな姉に甘くて……父はたぶん、いつも通りただ黙っているだけで……」
「そうなんですね」
気持ちのいい話ではないだろうに頑張って教えてくれるまほろを労わるように、聡介はなるべくやわらかな声で相槌を打った。
「姉は……私なんかより……かわいいから……私は、こんな……とろくさくて……頭もよく、なくて……暗いし……会社でやっていけていないんでしょって……」
まほろは、姉に言われたことを反復する。しかし、自分の口から出るその言葉が自分の心をグサグサと突き刺していくようで、まほろは昨夜と同じ惨めさや悲しさに襲われて涙をこぼした。
「なん、で……そんな、こと……っ……言われなきゃ……いけないの……」
「まほろ……」
「なんで……っ」
これまでの二十三年間、姉からは散々けなされ、馬鹿にされ、邪険にされ、それでいて都合のいい時だけ利用されて、時には笑い者にもされてきた。壊されるのは主に異性関係だったが、同性の友達との関係も、姉の意地悪が原因でこじれたことが何度かある。芽衣くらいなものだ。唯依佳の美貌と剣幕と策略に屈することなく、まっすぐにまほろの味方で居続けてくれたのは。そして母はいつだってそんな姉をかばい、むしろまほろが悪くてまほろの方に原因があるかのように責めてきた。父は何も言わず、ただ黙っているだけで明確な味方になってくれたことなど一度もない。あの家庭の中で、まほろが安心できる場所と時間は寸分もなかったのだ。
「まほろ、こちらへ来て俺に抱きしめさせてくれませんか。俺に抱きしめられるのが気持ち悪いとか嫌だとか、そう思わないのであれば……で構いませんが」
聡介はそう質問だけ投げると、きょろきょろと狭い室内に視線を這わせた。そしてティッシュ箱を見つけて二枚ほど取り出すと、まほろに使うように差し出す。
――ずじゅっ。
まほろは受け取ったティッシュで鼻をかみ、まだすすり泣きをしながら聡介を見つめた。聡介はまほろを迎え入れる気満々なのか、片腕を広げている。
聡介の行動の真意を深く考察するのが面倒で――そしてまた、聡介に嫌悪感はなかったので、まほろは少し呼吸を整えるとベッドから腰を下ろして、聡介の胸に顔を寄せるように近付いた。すると聡介はむぎゅっとまほろを抱きしめて、まほろの後頭部を大きな手のひらでなでた。
「つらいことを話させてしまい、申し訳ありません。でも、教えてもらえてよかった。ご実家のご家族が……特にお姉さんが、君を苦しめているんですね」
「苦し、めて……とまでは……」
「いえ、どう聞いてもお姉さんは君を苦しめています。まほろの人格を無視しています。君が傷ついたり悩んだりする一人の人間だということを、お姉さんはまったく理解していない。君のことは、好きなだけ雑に扱っていい、感情のないぬいぐるみ程度にしか思っていません。だからいくらでも、君の心をえぐるようなことを言えるんです」
「っ……」
心をえぐるようなこと――そのとおりだ、とまほろは思った。姉の唯依佳はいつだって、無作法にまほろの心に上がり込んで、そして無神経にえぐっていく。そうして傷つくまほろを見て愉悦すら感じている。
「まほろ、一人暮らしを始めたのは自分の意思ですか」
「え……はい……。社会人になったら……貧乏暮らしでもいいから……実家から出ようって……」
「そうですか。社会人になるまでよく耐えましたね。それに、実家から出るという決断もよくできました。素晴らしい。そんな君のどこが、とろくさくて頭が悪いんですか。会社でだって、一生懸命頑張ってくれているじゃないですか。まほろのお姉さんの言うことは、全部的外れなでたらめです。君のことを何も知らないから、自分で空想した架空のまほろの悪口を言っているにすぎません。ひとつも真に受けなくていい。君は真面目に頑張っている……素晴らしくて、それにとてもかわいらしい女性です」
「っ……うっ……」
まほろを抱きしめる聡介の腕に力が入る。まほろは動けないほどにぎゅっと強く上半身を抱きしめられながら、聡介の言葉に涙した。
聡介はしばらく、まほろの呼吸が落ち着くまでそうして抱きしめていた。時折、まほろの髪の毛に鼻を寄せてその匂いを嗅ぐ。使っているシャンプーかトリートメントの匂いか、シトラスのようなさっぱりとした香りがとても心地よかった。
「私……聡介さんと……別れた方がいいと……思うんです」
「ん? なぜいきなりそんな方向に話がいくんです?」
聡介から少し身体を離したまほろがそう切り出すと、聡介の表情は一変した。瞬きの数が減り、眼鏡のレンズ越しにまるで狙いを定めるかのようにまじまじとまほろの瞳を見つめる。
「姉は……私の近くにいる男の人に……ちょっかいを出すんです。それで私が傷つくのを……楽しんで……。だから、いつかきっと……聡介さんに迷惑をかけます。そうならないように――」
「――待った、待ちましょう、まほろ。悪いですがその提案は却下です。却下。絶対に受け取れません」
「でも……」
「俺のことが好きになれない、嫌いだ、と言うのであれば納得します。時間はかかるでしょうが、君への気持ちは諦めます。でも、そんな起きるかどうかもわからない未来のために、なぜまほろと別れなければならないんですか? たいへん心外です」
「だって、姉は……本当に……」
「ええ、本当に性悪なのでしょうね。腐っても君のお姉さんではあるのでこき下ろすのは心苦しいですが、まあプンプンと、地雷臭というか腐敗臭というか、性悪女の香りがします。絶対に近付きたくないですね。まほろよりもそんなお姉さんをかわいがる母君も、正直どうかしていると思います。お姉さんの性根の悪さは母君譲りですか? だいたい、こんなにも素直で愛らしいまほろをかわいがらないなんて、わけがわかりません。母君の目は節穴ですか? もしかして不良品の眼球をお持ちです? 可能なら別の眼球に交換した方がいいんじゃないですかね。ああ、たぶんお姉さんは性格のパーツ交換じゃどうにもならないくらい性悪だと思うので、もう人生諦めた方がいいですよ。早ければ十年後、遅くても二十年後、絶対男も女友達も周りにいませんよ」
(こ……こき下ろすなあ……)
心苦しいと前置きをしたわりには心苦しさを微塵も感じさせない聡介の弁に、まほろはふと冷静になってしまった。
「まほろにお付き合いを申し込んだ日、俺が君に言ったことは全部本気ですし嘘偽りもありません。俺も少しは飲んでいましたが、酒にはそこそこ強い体質なので、ほぼしらふです。酔った勢いで言ったわけでもありません。俺は君のことがたまらなく好きで、結婚して死ぬまで一緒にいてほしいと思っている。それくらいに君のことが大事で、大切にしたいんです。だから」
聡介は少し離れて、床に座り直したまほろの手を握った。大きくて温かな聡介の手に包まれるように握られて、まほろは不思議と心地よさを感じた。
「だから君の気持ちが俺に向いてくれるまで、俺はいくらでも待つつもりでした。ある程度醒めていたとはいえあの時の君は酔っていましたし、俺の告白を受け止めて消化するのに時間がかかることはわかっていました。ゆっくりで……君のペースでよかった。君が安心して俺を好きだと思えるようになるまで、いくらでも時間をかけてもらいたかった。それなのに、そんな会ったこともない性悪お姉さんのせいで別れを切り出されるのはひどく心外です。ナンセンスです。納得いきません」
「でも、あの……本当に……いつか、とんでもないご迷惑を……」
「もし仮にそうなるとしても構いません。まほろと別れなくていいのなら、君のお姉さんに迷惑をかけられるぐらい、どうってことありません。俺は性悪女の手にほいほいと転がされるほど馬鹿な男のつもりもなければ、経験値の少ない浅い人生を歩んできたつもりもありません。仕掛けてくるというのなら一分の隙も見せず、徹底抗戦します。だからまほろ……そんなしょうもないお姉さんを口実に俺を振らないでください。君を苦しめるお姉さんよりも、君を心から愛する俺を傍においてください」
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