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第06話 教えて? 主任のような大人になるために(下)
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その次の週末は給料日直後だったので、聡介とまほろは久しぶりに外でデートをした。あまりお金をかけないように、ということで、二人とも行ったことのない大きなターミナル駅に併設されたビルでウィンドーショッピングをして、夕飯を食べてから解散となった。
お泊まりはなしで土曜日だけ一緒に過ごす形だったが、その夜、まほろは身体が疼いてしまい、聡介にされたことや彼の声を思い出しながら、自分でパンティ越しに陰核をいじって自慰をしてしまった。主の心と違って身体は素直で、聡介が与えてくれる快感を貪欲に欲しがっているようだった。
その次の土曜日は聡介が休日出勤とのことで、久しぶりにおうちデートすらもない週末だった。
決算課の聡介は、四半期決算業務の時期は休日出勤になることが多い。三月末から四月にかけての年度末決算の時期になると、さらに多忙になる。仕事で忙しくなると自分の生活のことも疎かになり、気遣いもできなくなるので、そんな自分は見せたくないと聡介は言った。
ダークスーツしか着ないし、「こうだ」と決めたらなかなか変えようとしないし、相変わらず信じられないくらいにまほろファーストで摩訶不思議な聡介だが、外からは見えにくい部分がとてつもなく大人だと、まほろは思った。
仕事の状況次第で自分の調子がどう変わるのかを客観的にわかっていて、それを踏まえたうえで、他人との関係を調整できる。それはきっと、自分自身と何度も対話をしているからこそできることなのだろう。心が未熟で自分の判断に自信を持てず、なんなら自分のことさえどうすればよいのかわからなくて迷ってしまうこともあるような幼い自分とは、まったく違う。まほろはそう思った。
聡介と関わる時間が少し減ると、まほろはふと、実家の家族のことが気になった。
友人の芽衣とご飯を食べたあの日以来、家族から連絡はない。まだ二カ月ほど先の話だが、年末年始で会社が休みになれば実家に「帰省」しなければならないが、両親や姉に会いたいかというと、決してそんなことはない。特に、こちらを意地悪にこき下ろしては小遣いをせびってくる姉と、そんな姉を一切咎めない母とは、極力口をききたくない。けれども、血のつながった家族に対してそんな風に拒絶感を抱く自分は冷酷な人間のように思えてばつが悪い。自分の中の良心が、そんな自分を責め立ててくる。
実家の家族のことを考えると、まほろの心はとてつもなく不安になった。
「まほろ、どうかしましたか」
秋とはあまり言えない、気温が高い日々が続く。
しばらくぶりに聡介の自宅でおうちデートとなったその日、どことなく表情が暗いまほろに気が付いて、聡介はすぐに声をかけた。
「いえ、特に……何かがあったわけではないんです」
「明確な何かがなくても、心が重たくなるようなことを考えたのではないですか」
(どうして……わかるのかなあ)
まほろの小さな変化にも、聡介はすぐに気付く。
まほろは隣に座っている聡介の肩にもたれると、小さな声で呟いた。
「年末年始……実家に帰りたくないなと……考えていて」
「ああ……実家を出て初めての年末年始ですね」
「はい。でも、実家の家族に会いたいと……思えない自分がいて……」
「それで?」
「それで……その……そんな自分は、とても冷たい人間のように思えて……だめだな、って……」
家族になんか会いたくない――そう思った瞬間に、誰だかわからないが大勢の人からいっせいに、「そんなことを思うなんてよくない! よくない! よくない!」と怒鳴られて注意されているような気持ちになる。その「誰か大勢」は、「家族のことをそんな風に拒絶するなんて悪いことだ! 悪いことだ! 悪いことだ!」と、まほろが完全に気を散らすまで叫び続ける。すると、まほろの心は罪悪感と自己嫌悪でとても重たく、冷たくなるのだ。それでも家族に会いたくないという気持ちは消えないのに。
「端的に聞きますが、君のご家族は君を大切にしてくれますか?」
「え?」
「一度や二度ではいけませんよ。君の家族は今までも、今も、そしてこれからも、娘の君を大切にしてくれるのでしょうか」
「大切に……」
「それと、ご家族と過ごす時間はまほろの心をハッピーにしてくれるものでしょうか。君が少しでも幸せに生きるために必要なことをリストアップした時に、ご家族と過ごす時間はそのリストに載るでしょうか」
(載ら……ない……)
聡介の問いにまほろが真っ先に考えた答えは「否」だった。けれどもすぐに、頭だか心だか、どこか意識の中にいる「大勢」が強く叫ぶ。「家族を蔑ろにして、そんな冷たい態度をとるなんてよくない! よくない! 悪いことだ! 悪いことだ!」と。それゆえに、まほろは「否」という答えを声に出すことができなかった。
「人は、どんな形であれ幸せになるために生きているのだと思います。自分だけの幸せを求めて、それを最優先にして生きる権利が人にはあると思います」
「幸せ……」
「家族という存在は、特別な集団です。血がつながっていて、ほかの社会的集団とは明らかに異質……つまり、それを形成することもそれを断ち切ることも、一筋縄ではいきません。だから、家族のことは何がなんでも大切にしなければならないという幻想を、人は当たり前のように受け入れてしまうんです」
「幻想?」
「君のことを大切にしない家族なら……君を幸せにしない家族なら……距離をおいてもいいんですよ。それは悪いことでも、よくないことでもありません。君が幸せに生きるために必要なら、堂々と選んでいい選択肢なんですよ」
まほろの呼吸が一瞬止まる。それからまほろは、恐る恐る息を吐いた。
「世の中には、まともに機能していない家庭もあります。逆に、血のつながりもない赤の他人同士なのに、まるで家族のような関係もあります。円満な家庭の数が最大多数の世の中なので、家族は大切にすべきものでそれが当たり前という価値観こそが正義のように扱われますが、例外はいくらでもあるんです」
「家族に会いたくない、って思うのは……悪いことではないんですか」
「逆に考えたらどうでしょうか。なぜそれは悪いことなのでしょう? 会いたくないと君が思うのには、立派な理由があるはずです。でも逆に、家族を疎かにすることが悪である、という幻想には、たいした理由や根拠がないはずです」
(理由……)
だらしなくてろくな社会性もなくて、妹の自分をサンドバックのようにしか扱わない姉。そんな姉を全肯定して甘やかして、それなのに次女の自分のことは同じように甘やかさず、ぞんざいに扱う母。そして、そんな母のことも姉のことも見て見ぬふり、我関せずの父。そんな三人に会っても気が滅入るだけ。心が悲しくなるだけ。だから会いたくない。確かに、はっきりとした理由がある。
一方で、そんな三人に会いたくないと思う自分はよくない、冷たい、と悪行認定してしまうのはなぜだろうか。「家族は大切にしなければならないもの」という自分の中の固定観念が強く、それに反するから――ただそれだけで、それ以上の具体的で明確な理由はない。
――あたしは、あたしに優しくない人は基本的に嫌いだよ? 普通のことじゃない?
親友の芽衣が言っていたことと同じだ。
実家の三人は、誰一人としてまほろに優しくない。彼らと過ごす時間や交わす会話がまほろの心の平穏を壊すことはあったが、まほろの幸せにつながったことなど一度もない。
「まほろ、勘違いしないでくださいね。家族と距離をおくことこそが正解で正義……俺はそう言いたいわけではありません。人は無自覚のうちに、誰かの価値観や世間の価値観を刷り込まれている……それは誰しも往々にしてあることです。そして、自分で納得して得たわけでもないその価値観に、無意識のうちに支配されてしまうことがある……そうなっていないか、心配です」
「そう、なって……いる、かも……です」
まほろが何かを考えるたびに「それは違う! よくない! 悪いことだ!」と叫んでくる「誰か大勢」――それこそ、知らず知らずのうちにまほろを支配していた存在なのだろう。
「人が考えていることというのは、すべて自分がゼロから思考したことではありません。その思考過程のどこかしらに、子供の頃から刷り込まれ続けてきた思想や価値観が、あるいは他者の意見が入り込みます。間違っていないこともありますが、それらが必ずしも揺るぎない正義で何においても正解、ということはありません。気軽に意識できることではありませんが、人はいつまでも、昔のままの自分ではいないのです。パソコンのソフトウェアなどと同じように大なり小なり、アップデートされているはず……もしくはアップデートして自身の心や思考、価値観を磨き続けるべきなのです。最新の自分を意識して、いつの間にか受け入れてしまっていた誰かの価値観を排除し、フラットな思考で考えてみるとよいのではないでしょうか」
「それをしたら……聡介さんみたいな大人に……なれますか」
まほろは聡介の顔を見上げた。
出社時はオールバックにしている前髪は、休日だと下ろしていることがほとんどだ。けれども、スクエア型のリムレスフレーム眼鏡は変わらない。
「俺みたいな大人とは?」
「自分のことをよく理解していて……いつだって、無理なく過ごしている……というか……自分自身との付き合い方がうまい……というか」
「自分で自分をそんな風に思ったことがないのでわかりませんが」
聡介は眼鏡のブリッジの位置を直すと、まほろの頬にちゅ、と口付けた。
「俺はただ、いつだってまほろの幸せを一番に願っています。同じように、まほろ自身も自分の幸せを優先できるようになってもらいたいものです。俺みたいになる必要はないと思いますが、自分で自分を大切にできるようにはなってほしいと……そう思いますよ」
「はい……」
確かに、これまで自分の幸せをしっかりと追求したことはないように思う。実家を出て家族と離れるという選択と実行はできたが、それだけではまだ、幸せになれる気がしない。少しでもいいから、自分で自分を幸せにすること。聡介のような「心が自律した大人」になるためには、それができるようになることがひとつの目安かもしれない。まほろはそんな風に思った。
お泊まりはなしで土曜日だけ一緒に過ごす形だったが、その夜、まほろは身体が疼いてしまい、聡介にされたことや彼の声を思い出しながら、自分でパンティ越しに陰核をいじって自慰をしてしまった。主の心と違って身体は素直で、聡介が与えてくれる快感を貪欲に欲しがっているようだった。
その次の土曜日は聡介が休日出勤とのことで、久しぶりにおうちデートすらもない週末だった。
決算課の聡介は、四半期決算業務の時期は休日出勤になることが多い。三月末から四月にかけての年度末決算の時期になると、さらに多忙になる。仕事で忙しくなると自分の生活のことも疎かになり、気遣いもできなくなるので、そんな自分は見せたくないと聡介は言った。
ダークスーツしか着ないし、「こうだ」と決めたらなかなか変えようとしないし、相変わらず信じられないくらいにまほろファーストで摩訶不思議な聡介だが、外からは見えにくい部分がとてつもなく大人だと、まほろは思った。
仕事の状況次第で自分の調子がどう変わるのかを客観的にわかっていて、それを踏まえたうえで、他人との関係を調整できる。それはきっと、自分自身と何度も対話をしているからこそできることなのだろう。心が未熟で自分の判断に自信を持てず、なんなら自分のことさえどうすればよいのかわからなくて迷ってしまうこともあるような幼い自分とは、まったく違う。まほろはそう思った。
聡介と関わる時間が少し減ると、まほろはふと、実家の家族のことが気になった。
友人の芽衣とご飯を食べたあの日以来、家族から連絡はない。まだ二カ月ほど先の話だが、年末年始で会社が休みになれば実家に「帰省」しなければならないが、両親や姉に会いたいかというと、決してそんなことはない。特に、こちらを意地悪にこき下ろしては小遣いをせびってくる姉と、そんな姉を一切咎めない母とは、極力口をききたくない。けれども、血のつながった家族に対してそんな風に拒絶感を抱く自分は冷酷な人間のように思えてばつが悪い。自分の中の良心が、そんな自分を責め立ててくる。
実家の家族のことを考えると、まほろの心はとてつもなく不安になった。
「まほろ、どうかしましたか」
秋とはあまり言えない、気温が高い日々が続く。
しばらくぶりに聡介の自宅でおうちデートとなったその日、どことなく表情が暗いまほろに気が付いて、聡介はすぐに声をかけた。
「いえ、特に……何かがあったわけではないんです」
「明確な何かがなくても、心が重たくなるようなことを考えたのではないですか」
(どうして……わかるのかなあ)
まほろの小さな変化にも、聡介はすぐに気付く。
まほろは隣に座っている聡介の肩にもたれると、小さな声で呟いた。
「年末年始……実家に帰りたくないなと……考えていて」
「ああ……実家を出て初めての年末年始ですね」
「はい。でも、実家の家族に会いたいと……思えない自分がいて……」
「それで?」
「それで……その……そんな自分は、とても冷たい人間のように思えて……だめだな、って……」
家族になんか会いたくない――そう思った瞬間に、誰だかわからないが大勢の人からいっせいに、「そんなことを思うなんてよくない! よくない! よくない!」と怒鳴られて注意されているような気持ちになる。その「誰か大勢」は、「家族のことをそんな風に拒絶するなんて悪いことだ! 悪いことだ! 悪いことだ!」と、まほろが完全に気を散らすまで叫び続ける。すると、まほろの心は罪悪感と自己嫌悪でとても重たく、冷たくなるのだ。それでも家族に会いたくないという気持ちは消えないのに。
「端的に聞きますが、君のご家族は君を大切にしてくれますか?」
「え?」
「一度や二度ではいけませんよ。君の家族は今までも、今も、そしてこれからも、娘の君を大切にしてくれるのでしょうか」
「大切に……」
「それと、ご家族と過ごす時間はまほろの心をハッピーにしてくれるものでしょうか。君が少しでも幸せに生きるために必要なことをリストアップした時に、ご家族と過ごす時間はそのリストに載るでしょうか」
(載ら……ない……)
聡介の問いにまほろが真っ先に考えた答えは「否」だった。けれどもすぐに、頭だか心だか、どこか意識の中にいる「大勢」が強く叫ぶ。「家族を蔑ろにして、そんな冷たい態度をとるなんてよくない! よくない! 悪いことだ! 悪いことだ!」と。それゆえに、まほろは「否」という答えを声に出すことができなかった。
「人は、どんな形であれ幸せになるために生きているのだと思います。自分だけの幸せを求めて、それを最優先にして生きる権利が人にはあると思います」
「幸せ……」
「家族という存在は、特別な集団です。血がつながっていて、ほかの社会的集団とは明らかに異質……つまり、それを形成することもそれを断ち切ることも、一筋縄ではいきません。だから、家族のことは何がなんでも大切にしなければならないという幻想を、人は当たり前のように受け入れてしまうんです」
「幻想?」
「君のことを大切にしない家族なら……君を幸せにしない家族なら……距離をおいてもいいんですよ。それは悪いことでも、よくないことでもありません。君が幸せに生きるために必要なら、堂々と選んでいい選択肢なんですよ」
まほろの呼吸が一瞬止まる。それからまほろは、恐る恐る息を吐いた。
「世の中には、まともに機能していない家庭もあります。逆に、血のつながりもない赤の他人同士なのに、まるで家族のような関係もあります。円満な家庭の数が最大多数の世の中なので、家族は大切にすべきものでそれが当たり前という価値観こそが正義のように扱われますが、例外はいくらでもあるんです」
「家族に会いたくない、って思うのは……悪いことではないんですか」
「逆に考えたらどうでしょうか。なぜそれは悪いことなのでしょう? 会いたくないと君が思うのには、立派な理由があるはずです。でも逆に、家族を疎かにすることが悪である、という幻想には、たいした理由や根拠がないはずです」
(理由……)
だらしなくてろくな社会性もなくて、妹の自分をサンドバックのようにしか扱わない姉。そんな姉を全肯定して甘やかして、それなのに次女の自分のことは同じように甘やかさず、ぞんざいに扱う母。そして、そんな母のことも姉のことも見て見ぬふり、我関せずの父。そんな三人に会っても気が滅入るだけ。心が悲しくなるだけ。だから会いたくない。確かに、はっきりとした理由がある。
一方で、そんな三人に会いたくないと思う自分はよくない、冷たい、と悪行認定してしまうのはなぜだろうか。「家族は大切にしなければならないもの」という自分の中の固定観念が強く、それに反するから――ただそれだけで、それ以上の具体的で明確な理由はない。
――あたしは、あたしに優しくない人は基本的に嫌いだよ? 普通のことじゃない?
親友の芽衣が言っていたことと同じだ。
実家の三人は、誰一人としてまほろに優しくない。彼らと過ごす時間や交わす会話がまほろの心の平穏を壊すことはあったが、まほろの幸せにつながったことなど一度もない。
「まほろ、勘違いしないでくださいね。家族と距離をおくことこそが正解で正義……俺はそう言いたいわけではありません。人は無自覚のうちに、誰かの価値観や世間の価値観を刷り込まれている……それは誰しも往々にしてあることです。そして、自分で納得して得たわけでもないその価値観に、無意識のうちに支配されてしまうことがある……そうなっていないか、心配です」
「そう、なって……いる、かも……です」
まほろが何かを考えるたびに「それは違う! よくない! 悪いことだ!」と叫んでくる「誰か大勢」――それこそ、知らず知らずのうちにまほろを支配していた存在なのだろう。
「人が考えていることというのは、すべて自分がゼロから思考したことではありません。その思考過程のどこかしらに、子供の頃から刷り込まれ続けてきた思想や価値観が、あるいは他者の意見が入り込みます。間違っていないこともありますが、それらが必ずしも揺るぎない正義で何においても正解、ということはありません。気軽に意識できることではありませんが、人はいつまでも、昔のままの自分ではいないのです。パソコンのソフトウェアなどと同じように大なり小なり、アップデートされているはず……もしくはアップデートして自身の心や思考、価値観を磨き続けるべきなのです。最新の自分を意識して、いつの間にか受け入れてしまっていた誰かの価値観を排除し、フラットな思考で考えてみるとよいのではないでしょうか」
「それをしたら……聡介さんみたいな大人に……なれますか」
まほろは聡介の顔を見上げた。
出社時はオールバックにしている前髪は、休日だと下ろしていることがほとんどだ。けれども、スクエア型のリムレスフレーム眼鏡は変わらない。
「俺みたいな大人とは?」
「自分のことをよく理解していて……いつだって、無理なく過ごしている……というか……自分自身との付き合い方がうまい……というか」
「自分で自分をそんな風に思ったことがないのでわかりませんが」
聡介は眼鏡のブリッジの位置を直すと、まほろの頬にちゅ、と口付けた。
「俺はただ、いつだってまほろの幸せを一番に願っています。同じように、まほろ自身も自分の幸せを優先できるようになってもらいたいものです。俺みたいになる必要はないと思いますが、自分で自分を大切にできるようにはなってほしいと……そう思いますよ」
「はい……」
確かに、これまで自分の幸せをしっかりと追求したことはないように思う。実家を出て家族と離れるという選択と実行はできたが、それだけではまだ、幸せになれる気がしない。少しでもいいから、自分で自分を幸せにすること。聡介のような「心が自律した大人」になるためには、それができるようになることがひとつの目安かもしれない。まほろはそんな風に思った。
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