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第10話 休暇中! 主任と少し離れます(下)
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若者が立ち上げたベンチャー企業などを対象に探せば、後者の二人はともかく、「イケメンの若手社長」はどこかにいるかもしれない。だが、まほろの会社はベンチャー企業ではない。ごく普通の、中堅と大手の間にあるような会社だ。社長はもちろんのこと、事業部長も部長も課長も、男女問わずみな中年以上の年配だ。その多くはすでに結婚していて家庭を持っているし、おそらく誰一人、唯依佳のお眼鏡にかなう「イイ人」などではない。若者が持つようなギラギラ、キラキラした意欲ややる気はとうに枯れ果てて、日々の業務でくたくたになり、どうにか毎日平穏に過ぎないかとそればかりを考えるような、そこら中にいるごく普通の「おじさん」ばかり。唯依佳が例に出したような人物は、あくまでも二次元の中にだけ存在するのだ。実際の会社にそんな人がそう都合よくいるはずがない。
(あ、でも……伊達主任は一応、同期の中では一番に主任になったんだっけ)
まほろの恋人である決算課の聡介は、彼の同期たちの中で最初に主任の役職をもらったはずだ。そういう意味では出世頭と言えるかもしれないし、若いのに役職に就いている有望株かもしれない。
だが、口が裂けても聡介のことを唯依佳に教えることはできない。知ったが最後、唯依佳は間違いなく聡介にちょっかいを出す。まほろは、自分が唯依佳に傷つけられることは別に構わないと思ったが、聡介に迷惑をかけることだけは絶対にあってほしくないと思った。
(大丈夫……スマホにロックはしてあるし、お姉ちゃんにさわられても中身は絶対に何も見えない……)
姑息な唯依佳は、まだ高校生でセキュリティ意識の低かった頃のまほろのスマホを勝手に操作しては、まほろの好きな男の子に卑猥なメッセージを送ったり、仲良しの女友達に悪口を送ったりして、まほろが傷つくのを見て嘲笑って楽しんでいた。まほろの大学にまで押しかけてまほろの交友関係を調べるような、変なアグレッシブさもある姉なので、まほろは自分の持ち物から交友関係を知られないように、しっかりと準備してから帰省してきていた。自分が口をすべらせないかぎり、聡介のことが唯依佳に知られるはずはない。
「ほんとに? あんた、社内の人と付き合ってたりするんじゃないの? 仕事できなさそうだし、さっさと誰かつかまえて結婚して、仕事なんて辞めた方がラクだもんね」
(そんなこと……ないよ……)
まほろは無言で、心の中だけで否定した。
確かに、働くということは楽ではない。毎朝起きて通勤電車に揺られて、時には残業が続いて寝不足になり、心底身体が滅入ることだって多々ある。けれども、自分で働いて得たお金で自分の生活を苦しいなりにも切り盛りして、誰にも遠慮することなく自分の好きなものを好きな時に買える。それは誇らしくて、自信につながることだ。今の仕事が心の底から好きかというと決してそんなことはないが、つらい時もありながら毎日会社に行って働いて、毎月同じ日にしっかりと給料が出る。それを自分の力で続けることは、我ながら素晴らしいことだと思う。
聡介からは何度かプロポーズされているが、まほろはまだ、聡介との結婚は考えられない。結婚したら自分が仕事を続けるのか、それとも辞めるのか、それもまだはっきりとしたビジョンで考えられない。けれども、「結婚して仕事を辞めればラク」という考えが自分の中にないことだけははっきりとわかる。
「ねえ、なんか言いなよ。態度悪くない? 馬鹿なの?」
「いっ……いないもん。部長も課長も……みんな、普通のおじさんだし」
「はあ? そうなの? はーっ、つまんねぇ。ねえ、お母さんの知り合いとかでイイ人いないのー?」
「ええ? 結婚する相手ってこと?」
「結婚っていうか、とにかくイイ人ー! 背が高くて高学歴でイケメンで高収入で、でもあたしだけに優しい~みたいな人! つまり、スーパーダーリン!」
「唯依佳は友達がいっぱいいるんでしょ。その中にいるんじゃないの」
「だめだめー! 一緒に遊ぶのはいいけど、みんなお金ないもん」
(ああ、そういう……)
会話相手を母に変えた唯依佳の話を聞いて、まほろは納得した。
おそらく唯依佳は、年を重ねてきて多少なりとも世間が見えてきたのだろう。十代の頃よりももっとお金がかかる遊びを覚えて前より金銭を欲するようになった一方で、世の中の「普通」の人は毎日あくせく働きながら、唯依佳が稼ぐ以上のお金を稼いでいることに気が付いたのだ。
自分が気持ちよく遊ぶためには、とにかくお金が要る。そして、自分にそれを稼ぐ能力はないが、他人はしれっと稼いでいる。実状は、その人なりに毎日苦労や疲労を重ねて稼いでいるのだが、その現実を知らない唯依佳にしてみれば、「何もつらいことなどなくラクに稼いでいる」ように思えるのだろう。
そういう人に寄生して「ラク」をしたい。唯依佳の本音はそこだ。そして、できることなら漫画やアニメの登場人物のように、整った外見のイケメンに愛されておんぶにだっこで生きたいのだろう。
(相変わらず、自分で努力をすることはしないのね)
母が散々甘やかしたからだが、唯依佳はとにかく努力ができない。何事も続かない。すべてにおいて、気楽で簡単な方法ばかりを選ぶ。見た目がそこらのアイドルに負けないぐらいかわいいので今まではそれでどうにか過ごせてきただろうが、その見た目が衰えた未来がおとずれた時、唯依佳はどうなってしまうのだろうか。
(関わりたく……ない)
聡介に関わらせることもしたくないが、自分が姉に深く関わることも、絶対にしたくない。主に金銭面で苦労することは目に見えている。
家族を見捨てるとか冷たくするとか、そういう話ではない。自分はこの人たちに「関わりたくない」。それこそが自分の強い希望なのではないかと、まほろは思った。
それから大晦日恒例の歌番組を見て、日付が変わるのを待ち、ようやく就寝する。そして元旦をむかえ、まほろは両親と三人で朝食にしたが、唯依佳は元日早々から昼過ぎまで寝ていた。
(聡介さんはどうやって過ごしているのかなあ)
酒造屋を営んでいるという聡介の実家は、どんなところだろうか。後継ぎ予定の弟さんとは、どんな関係なのだろうか。実家を継がないと決めたのはいつの頃で、そしてその理由は何なのだろうか。両親からは後継ぎになることを求められなかったのだろうか。
聡介については、まだまだ知らないことがある。これから先、それを知ることはできるだろうか。新しい一年が始まったが、聡介との付き合いはどうなっていくだろうか。どうしていきたいだろうか。
(結婚……うーん……それはまだ、何も考えられない……)
最低ではないが最高でもないこんな家庭環境だったので、もしかしたら自分は、「結婚して家庭を持つ」ということに明るい未来を見出せないのかもしれない。だから聡介との結婚については何も考えられないのだろう。
それでも、聡介と別れたいとか彼と離れてもいいなどとは思わない。それは裏返せば、「聡介とずっと一緒にいたい」ということではないだろうか。ならば自分は、いつか彼と結婚するのかもしれない。
(でも私、貯金なんかほぼないし……やっぱり、現実的には考えられないなあ)
この春で、社会人になってからようやく一年が経つのだ。まだまだ社会という場にすら慣れていないのだから、今はもう少し、自分の足場を踏み鳴らしたい。
そんなことも考えつつ、二日の午前中にまほろは実家を後にした。翌日には聡介もこちらへ戻ってきたようで、二人とも四日の仕事始めから普通に出社した。
聡介は仕事始めと同時に四半期決算の繁忙期が始まり、ほぼ毎日残業で、土曜日も出社していた。毎日のようにメッセージアプリでやり取りはしていたが、年末から通してほぼ一カ月もプライベートで会えないのは、付き合い始めてから初めてのことだった。まほろは淋しく思ったが、しかし会社に行けばすれ違って会釈することぐらいはできるので、そういう点は同じ職場でよかったと思った。
その聡介の忙しさも落ち着いた一月下旬頃、まほろがエレベーターホールでエレベーターの到着を待っていると、会計課の同期の愛子と決算課の聡介、前園という三人もやって来た。まほろは愛子に笑顔を向けて話しかけつつ、なんとはなしに聡介、前園とも合流して四人でエレベーターに乗り込む。まだまだ寒さが厳しいね、などと愛子と話しながらゆっくりと歩いていたまほろだったが、ビルを出たところで呼び止められて足を止めた。
「まほろ!」
「っ……お、姉……ちゃん……?」
広めの外のエントランスにいたのは、間違いなく姉の唯依佳だった。
「えっ、篠崎さんのお姉さん?」
まほろの隣にいた愛子が、にこにこと人懐っこい笑顔で近寄ってきた唯依佳に気付き、驚きの表情をまほろに向ける。しかし、唯依佳を目にしたまほろは怯えの混じった表情で唯依佳を見つめたまま、ろくに反応できなくなってしまった。
「こんばんはー。まほろの姉の篠崎唯依佳ですー」
「どうもー。篠崎さんって、お姉さんがいたんだね」
まほろと愛子の背後にいた前園が、にこやかにほほ笑む唯依佳に軽く会釈をしてから何気なく話を振る。しかし、まほろは突然目の前に現れた唯依佳に身体がすくんだままだ。
「妹がいつもお世話になってますー。お二人はまほろと同じ職場の方ですかぁ?」
唯依佳はとても人の良さそうな笑顔を前園と聡介に向けた。妹のまほろのことも、そしてその隣にいる愛子のことも眼中にはないようで、唯依佳は男性である聡介と前園だけに笑顔を向けている。唯依佳が何を狙って何を考えているのか、瞬時に悟ったまほろの背筋は冷たさで鳥肌が立った。
(あ、でも……伊達主任は一応、同期の中では一番に主任になったんだっけ)
まほろの恋人である決算課の聡介は、彼の同期たちの中で最初に主任の役職をもらったはずだ。そういう意味では出世頭と言えるかもしれないし、若いのに役職に就いている有望株かもしれない。
だが、口が裂けても聡介のことを唯依佳に教えることはできない。知ったが最後、唯依佳は間違いなく聡介にちょっかいを出す。まほろは、自分が唯依佳に傷つけられることは別に構わないと思ったが、聡介に迷惑をかけることだけは絶対にあってほしくないと思った。
(大丈夫……スマホにロックはしてあるし、お姉ちゃんにさわられても中身は絶対に何も見えない……)
姑息な唯依佳は、まだ高校生でセキュリティ意識の低かった頃のまほろのスマホを勝手に操作しては、まほろの好きな男の子に卑猥なメッセージを送ったり、仲良しの女友達に悪口を送ったりして、まほろが傷つくのを見て嘲笑って楽しんでいた。まほろの大学にまで押しかけてまほろの交友関係を調べるような、変なアグレッシブさもある姉なので、まほろは自分の持ち物から交友関係を知られないように、しっかりと準備してから帰省してきていた。自分が口をすべらせないかぎり、聡介のことが唯依佳に知られるはずはない。
「ほんとに? あんた、社内の人と付き合ってたりするんじゃないの? 仕事できなさそうだし、さっさと誰かつかまえて結婚して、仕事なんて辞めた方がラクだもんね」
(そんなこと……ないよ……)
まほろは無言で、心の中だけで否定した。
確かに、働くということは楽ではない。毎朝起きて通勤電車に揺られて、時には残業が続いて寝不足になり、心底身体が滅入ることだって多々ある。けれども、自分で働いて得たお金で自分の生活を苦しいなりにも切り盛りして、誰にも遠慮することなく自分の好きなものを好きな時に買える。それは誇らしくて、自信につながることだ。今の仕事が心の底から好きかというと決してそんなことはないが、つらい時もありながら毎日会社に行って働いて、毎月同じ日にしっかりと給料が出る。それを自分の力で続けることは、我ながら素晴らしいことだと思う。
聡介からは何度かプロポーズされているが、まほろはまだ、聡介との結婚は考えられない。結婚したら自分が仕事を続けるのか、それとも辞めるのか、それもまだはっきりとしたビジョンで考えられない。けれども、「結婚して仕事を辞めればラク」という考えが自分の中にないことだけははっきりとわかる。
「ねえ、なんか言いなよ。態度悪くない? 馬鹿なの?」
「いっ……いないもん。部長も課長も……みんな、普通のおじさんだし」
「はあ? そうなの? はーっ、つまんねぇ。ねえ、お母さんの知り合いとかでイイ人いないのー?」
「ええ? 結婚する相手ってこと?」
「結婚っていうか、とにかくイイ人ー! 背が高くて高学歴でイケメンで高収入で、でもあたしだけに優しい~みたいな人! つまり、スーパーダーリン!」
「唯依佳は友達がいっぱいいるんでしょ。その中にいるんじゃないの」
「だめだめー! 一緒に遊ぶのはいいけど、みんなお金ないもん」
(ああ、そういう……)
会話相手を母に変えた唯依佳の話を聞いて、まほろは納得した。
おそらく唯依佳は、年を重ねてきて多少なりとも世間が見えてきたのだろう。十代の頃よりももっとお金がかかる遊びを覚えて前より金銭を欲するようになった一方で、世の中の「普通」の人は毎日あくせく働きながら、唯依佳が稼ぐ以上のお金を稼いでいることに気が付いたのだ。
自分が気持ちよく遊ぶためには、とにかくお金が要る。そして、自分にそれを稼ぐ能力はないが、他人はしれっと稼いでいる。実状は、その人なりに毎日苦労や疲労を重ねて稼いでいるのだが、その現実を知らない唯依佳にしてみれば、「何もつらいことなどなくラクに稼いでいる」ように思えるのだろう。
そういう人に寄生して「ラク」をしたい。唯依佳の本音はそこだ。そして、できることなら漫画やアニメの登場人物のように、整った外見のイケメンに愛されておんぶにだっこで生きたいのだろう。
(相変わらず、自分で努力をすることはしないのね)
母が散々甘やかしたからだが、唯依佳はとにかく努力ができない。何事も続かない。すべてにおいて、気楽で簡単な方法ばかりを選ぶ。見た目がそこらのアイドルに負けないぐらいかわいいので今まではそれでどうにか過ごせてきただろうが、その見た目が衰えた未来がおとずれた時、唯依佳はどうなってしまうのだろうか。
(関わりたく……ない)
聡介に関わらせることもしたくないが、自分が姉に深く関わることも、絶対にしたくない。主に金銭面で苦労することは目に見えている。
家族を見捨てるとか冷たくするとか、そういう話ではない。自分はこの人たちに「関わりたくない」。それこそが自分の強い希望なのではないかと、まほろは思った。
それから大晦日恒例の歌番組を見て、日付が変わるのを待ち、ようやく就寝する。そして元旦をむかえ、まほろは両親と三人で朝食にしたが、唯依佳は元日早々から昼過ぎまで寝ていた。
(聡介さんはどうやって過ごしているのかなあ)
酒造屋を営んでいるという聡介の実家は、どんなところだろうか。後継ぎ予定の弟さんとは、どんな関係なのだろうか。実家を継がないと決めたのはいつの頃で、そしてその理由は何なのだろうか。両親からは後継ぎになることを求められなかったのだろうか。
聡介については、まだまだ知らないことがある。これから先、それを知ることはできるだろうか。新しい一年が始まったが、聡介との付き合いはどうなっていくだろうか。どうしていきたいだろうか。
(結婚……うーん……それはまだ、何も考えられない……)
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それでも、聡介と別れたいとか彼と離れてもいいなどとは思わない。それは裏返せば、「聡介とずっと一緒にいたい」ということではないだろうか。ならば自分は、いつか彼と結婚するのかもしれない。
(でも私、貯金なんかほぼないし……やっぱり、現実的には考えられないなあ)
この春で、社会人になってからようやく一年が経つのだ。まだまだ社会という場にすら慣れていないのだから、今はもう少し、自分の足場を踏み鳴らしたい。
そんなことも考えつつ、二日の午前中にまほろは実家を後にした。翌日には聡介もこちらへ戻ってきたようで、二人とも四日の仕事始めから普通に出社した。
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「まほろ!」
「っ……お、姉……ちゃん……?」
広めの外のエントランスにいたのは、間違いなく姉の唯依佳だった。
「えっ、篠崎さんのお姉さん?」
まほろの隣にいた愛子が、にこにこと人懐っこい笑顔で近寄ってきた唯依佳に気付き、驚きの表情をまほろに向ける。しかし、唯依佳を目にしたまほろは怯えの混じった表情で唯依佳を見つめたまま、ろくに反応できなくなってしまった。
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