熱烈に溺愛してくる主任の手綱が握れません!(R15版)

矢崎未紗

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第11話 大丈夫! 主任のアリバイ証明は完璧です(下)

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「早速なんですけど、唯依佳は妊娠してるんです。お腹の中の子の父親は伊達さん……ということでいいんですね?」

 母は挨拶も家族の自己紹介もなく、不躾なほど単刀直入に尋ねた。

「その前に、初めまして、伊達と申します。まほろさんと同じ会社の経理部決算課に勤めております」
「ああ……」

 聡介が母の質問に構わずマイペースに自己紹介をすると、父が一言相槌を打った。聡介はまほろの父母、そして隣の唯依佳をちらっと見てから本題に入る。

「端的にお答えします。わたしは、唯依佳さんと性行為をしたことはありません。それどころか、個人的な関わりも一切ありません。つまり、おっしゃられていることは完全な冤罪です」
「なっ……ど、どういうことなのっ!」
「嘘だよ、お母さん。伊達さん、ひどいわ、そんな嘘をつくなんて……お互いに酔ってた勢いはあったけど、ほとんど無理やり、あなたに襲われる形で私は……」

 唯依佳はしおらしい声でそう言うと、俯いて自分の下腹部をなでた。

「それであの夜、私は妊娠してしまったのに……どう責任をとってくれるの?」
「それはいつのことですか」
「え?」
「何月何日のことですか。俺にはまったく身に覚えがないのですが、あなたはその日の記憶があるんですよね? だったら、正確な日付を言えますよね?」

 聡介が深くそう切り込むと、唯依佳はなぜかぐっと押し黙った。
 その間に、聡介はビジネスバッグの中から白紙とサインペンを取り出して、リビングのテーブルの上に広げる。さらに、隣にはタブレットも設置して、あるページを見せながら白紙に何かを書き始めた。

「それと、最後の月経開始日も教えてくださいますか」
「な、なんで……そんなの必要ないでしょ」
「大ありですよ。あなた、妊娠してるんですよね? それで、その子の父親は俺だと言うんですよね? でも、俺には覚えがない。二人の認識には明らかな齟齬がある。正確な事実を確認するために協力してください」
「お、憶えてないわよ……」
「だいたいで構いませんよ。何月上旬とか。産婦人科には行っていないんですか? そこでもしっかりと日付を確認されたでしょう?」
「そ、そうよ……あれを見てよ!」

 唯依佳は何かを思い出したのか、一度席を立って私室に向かう。そして、一枚の小さな紙を持って戻ってきた。

「ほら! これ、エコー写真! 間違いなくあたし、妊娠してるのよ!」

 唯依佳がテーブルの上に置いて見せつけたのは、確かにエコー写真だった。モノクロで、母胎の中と思われるものだ。妊娠週数がまだ短いからなのか、はっきりと赤子とわかる写真ではなかったが。
 聡介はしばしの間そのエコー写真を見つめていたが、深呼吸をひとつすると、また淡々と唯依佳に質問した。

「それで、最後の月経開始日はいつですか? それと、俺とセックスをしたというその日も教えてください」
「そ、それは……」

 唯依佳は再び席に座りつつ、壁にかけてあるカレンダーをなんとはなしに見る。そしてふん、と鼻を鳴らして答えた。

「最後の生理は三月の十五日からで……二人で会って飲んだのは三月の最終日よ。あたしに確認しなくても、伊達さんだって憶えてるでしょ! 嘘つかないでよ!」
「俺は嘘はついていません。身に覚えがないことなので、記憶しているはずがないだけです。ですが、それは間違いないんですか? 本当に、三月の最終日に俺はあなたと会ったと?」
「そ、そうよ! ひどいわよ、いくら父親であることの責任をとりたくないからって、そんな風にとぼけて……。それに、その日だけじゃないでしょ。あたしたち、何度も会ったじゃない。伊達さんがどうしても会いたいって言うから……」

 唯依佳はそう主張した。
 自分と聡介は男女の関係にある。それはどうやら明確な恋人関係ではないようだったが、そこそこ親しかったと。そしてその関係を強く望んだのは聡介の方であると。

「まほろの会社の人だし、あたしが断れなくて……それで、あの日だって無理やり……」
「伊達さん、あなたが無理やりこの子に迫ったのでしょう? お腹の中の子をどうするつもりですか! まさか、堕胎しろなんて言わないでしょうね? 唯依佳のこと、きちんと責任をとってくださいよ!」

 唯依佳の言うことをすべて鵜呑みにする母は、とにかく聡介を責めた。何がなんでも聡介に責任をとらせたい――唯依佳と結婚しろ、ということなのだろう。

「最後の月経開始が三月十五日で、性行為があったのが三月三十一日……ということは、今は妊娠七週目……ということですか。ちなみに、酔った勢いがあったということは、俺とあなたが性行為をしたのはその日の夜ですか。何時頃ですか」
「な、何時って……そんな……詳しい時間までは……」
「酔うほど飲んでからホテルにでも行ったんなら、まあ、夜の九時とか十時頃ですかね?」

 聡介はどうやらタブレットで、妊娠週数が計算できる産婦人科のページを開いて日付を入力し、唯依佳の妊娠週数を確認しているようだった。そしてそれらの日付を、サインペンで用紙に大きく書き留める。

「唯依佳さん、嘘はついていませんね?」
「なっ……なんであたしを嘘つき扱いするの!? 自分が父親だって、そんなに認めたくないの!? 逃げるの!? ひどすぎるわ!」
「あなたが何ひとつ事実を述べていないからですよ。何度でも申し上げますが、俺はあなたと性行為をしたことも、そもそも個人的な関わりを持ったこともない。お腹の子の父親ではないし、責任をとる必要もないんです」
「ちょっと伊達さん! いくらなんでも不誠実すぎませんか! あなたの方こそ、嘘をついているんじゃなくて!? 責任をとりたくないからって!」

 唯依佳の剣幕が伝線したかのように、母がヒステリックな声を上げる。
 さすがに止めなければ、とまほろは思ったが、聡介の方は母の態度にまったく動じることなく、再びビジネスバッグを持ち上げて、中から書類の入ったクリアファイルを取り出した。

「三月三十一日は……ああ、日曜日ですね」

 クリアファイルから出した書類をぱらぱらとめくり、その束から聡介は一枚の紙を取り出して、まほろの両親に見えるように向きを変えた。まほろもその書類が気になり、ソファから立ち上がって父母の背後に立ち、視線をそこに向ける。それは「出勤簿」と書かれた、聡介の出勤記録だった。

「年度末の三月と四月は、一年の中で一番の繁忙期です。年度末決算の業務がありますからね。そこに記録されているとおり、わたしはその日、朝の十一時から夜の十時まで会社で仕事でしたね。唯依佳さんと会うどころか、食事もセックスもしているはずがありません」
「なっ……!」
「ああ、証拠はほかにもありますよ。ほら」

 聡介はそう言うと、ビジネスバッグの中から大きなファイルを取り出し、その中から一枚の写真を取り出した。日付入りで撮影できるインスタントカメラで撮影されたその写真には三月三十一日という日付が刻印されており、会社の最寄り駅の時計を背景にした聡介が写っていた。人の少なさとどことなく暗い感じから、その写真を撮ったのは夜だとわかる。

「見てのとおり、その日の帰りです。ほかにも、その日一緒に働いていた同僚たちに聞けば、わたしが夜まで仕事をしていたことは証言してくれますよ。ああ、次の日は月曜日なので、普通に朝の九時から働いていました。深夜遅くに唯依佳さんと子供ができるほどのセックスをした、というのは無理な話ですね。その時期はこのように毎日忙しかったもので、子作りセックスをするだけの体力は残っていません」

 聡介がそう言って渡した出勤簿にまほろの父はじっくりと視線を落とし、二月分、三月分、そして四月分の聡介の出社と退社の時間を確かめる。二月はほぼ定時での勤務だったが、三月と四月の退社時間はそのほとんどが夜の八時、九時、時には深夜になっている日や、土日も出社している時期があった。

「確かに……忙しいな、これは。誰かと会っている時間の余裕などないだろう」

 書類を机の上に置きながら、まほろの父は呟いた。曲がりなりにも自分も会社勤めをしているからこそ、出勤簿に刻まれた聡介の労働時間の長さでは、異性と会って子作りをする時間のゆとりも体力もないだろうと容易に理解できた。

「年度末決算の時期は一番の修羅場ですからね。自分の作業もですが、チームの人の作業の二次チェックが多いので、どうしても毎日最後まで残らざるを得ないんです」

 社会人の父なら理解してくれるだろうと見越して、聡介はそう付け加えた。

「ということで、唯依佳さんの妊娠についてわたしは一ミリも関わりがありません」
「ち、違う……!」
「何が違うのでしょうか。俺があなたを襲った日付が違うとでも言いたいんですか? でもあなた、先ほど間違いないって言いましたよね?」

 聡介は白紙にサインペンではっきりと書かれた「三月三十一日」という日付を人差し指でたたいて示した。

「そ、んな……だって、伊達さんの方から迫ってきたのに……」
「それこそ嘘ですね。だったら、あなたは俺の連絡先を当然のように知っていますよね? スマホの中に、俺とやり取りした履歴が残ってるはずですよね? 俺があなたに迫った文面のひとつやふたつ、あるはずですよね? どうぞそれを全部、お父様とお母様に見せてください。見せられるものならね」
「…………」
「唯依佳、あるんでしょう? ちょっと見せてちょうだいよ」

 まほろの母がそう頼むと、唯依佳はぎゅっと唇を結んで貝になった。

「それに、その日以外にも俺と関わりがあったと言うわりには、俺の下の名前も知らないんですか?」
「…………」
「知らないですよね。俺はあなたに名前を名乗ったことはない。一月の末に一度だけお会いしましたが、あなたとの関わりはそれだけです。ましてやセックスなんて……お腹の中の子なんて知りませんね」
「ちょっと唯依佳、どういうことなの!」

 さすがの母も混乱してきたのか、それとも唯依佳が嘘をついているとようやく思えるようになってきたのか、今度は唯依佳を責め立てるように声を荒げた。

「お父様、書類も写真もすべてご覧いただいていいですよ。唯依佳さんが別の日付だったと主張を変えようとも、俺の行動履歴はそこにあるとおりです。休日の日も含めて、俺は一秒も唯依佳さんとお会いしていません。どんなに唯依佳さんが俺と食事をした、セックスをした、迫られたと主張したところで、俺には全部反論できます」
「…………」

 まほろの父は黙って、出勤簿だけでなくファイリングされた写真もぱらぱらと確認する。まほろもそんな父の背後からそれらをちらりと見たが、本当に細かく、ここ三カ月ほどの聡介の行動履歴がわかるように日付入りの写真でプリントアウトされていた。

「ところで唯依佳さん、そのエコー写真はどこで手に入れたんですか」
「えっ……」

 さらに追撃、とばかりに聡介は唯依佳に尋ねた。
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