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第12話 イって! 主任の手綱を生涯握ります(上)
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「ど、どこって……びょっ……病院に決まってるじゃない!」
「どこの病院ですか? 個人経営の産婦人科の病院ですか? それとも産科のある総合病院? エコーまでするぐらいだからちゃんと受診したんですよね。診察券はありますか。見せてください」
「ど、どうしてよ!」
「あなたが本当に妊娠しているかどうか、俺たちは医者ではないので確かめようがないんですよ」
「妊娠してるって言ってるでしょ!」
「本当に? そのエコー写真、あなたが病院で撮影してもらったものではなくて、フリマアプリとかフリマサイトとかで購入したものじゃないんですか?」
「えっ?」
驚きの声を上げたのは、立っていたまほろだった。
聡介はくいっと眼鏡のブリッジの位置を調整してから、テーブルの上のタブレットを操作する。そして、大手のフリマサイトでエコー写真が出品されているページを開いて、まほろの両親に説明した。
「今は素人が気軽に、こうしてネットを介してなんでも売る時代です。胎児のエコー写真なんかも、ご覧のように売られているんですよ」
「だっ……誰がこんなことを……?」
ネット事情に疎いまほろの母は、信じられないものを見ているかのような表情で尋ねた。
「さあ、誰でしょうね。困窮している妊婦か、暇を持て余している妊婦か、それとも悪徳な医療関係者か。誰が売るのかは知りませんが、なぜかこれを買う人がいます。ですから商売として成り立つんでしょうね」
「そんな……買う人なんて……」
「お母様の目の前にいるじゃないですか。フリマサイトで購入したエコー写真を証拠と偽って、ほぼ無関係の男に妊娠の責任をとらせようと冤罪をふっかけた性悪な女性が」
「しょ、性悪だなんて……」
母は複雑な表情で唯依佳を見つめた。唯依佳はばつが悪く、誰とも目を合わせずにふくれっ面で俯いている。
「わたしは去年の夏から、結婚を前提にまほろさんとお付き合いをさせていただいております。お姉さんがいることはまほろさんから聞いていましたが、今年の一月末、なぜか唯依佳さんがわたしたちの会社にやって来ましてね、不思議に思ったんです。まあ来訪の目的は、まほろさんが付き合っている相手が会社にいると踏んでの物色だったようですね? その帰り道、わたしは唯依佳さんと最後まで一緒にいましたが、その時の会話がこれです」
聡介はそう言うと、またタブレットを操作した。そして、ひとつの動画ファイルを再生する。
――早くお帰りください。
――えぇ~、でもせっかくですしぃ、一緒にご飯とかどうですか~?
――お断りします。お帰りください。
――じゃあせめて、名前と連絡先を教えてくださぁ~い。
――教える必要がありません。お断りします。どうぞお帰りください。
――ちょっと、冷たくないですかぁ? あたし、まほろの姉ですよぉ?
――だからなんですか。俺は、あなた個人と親しくなる気は毛頭ありません。
――はあ? あ、わかったー。まほろに悪いとか思ってるんでしょ? いいのいいの、気にしないでー。あの子、馬鹿で根暗だからどうせ何も言えないの。あたしとちょっとくらい火遊びしたって、全然大丈夫ですよぉ。
――迷惑です。お帰りください。
それは、聡介が手に持っているスマホで撮影されたと思われる動画だ。薄暗くはあったが、背景からそこが駅のホームであることがわかるので、一月のあの日、不破堂駅で降りたあとの二人のやり取りなのだろう。
しばらく唯依佳の強引な誘いが続いていたが、聡介は淡々と首を横に振り、頑として動かない。そしてしびれを切らした唯依佳が聡介を残して電車に乗り、去っていくところで動画は終了した。その動画を見ていたまほろの両親は一言も発することができず、たいそう気まずくて複雑な表情で沈黙を続けた。
「正直、唯依佳さんのことはろくでもない女性だと思っていたので、このとおり、わたしは最初から最後まで、唯依佳さんと個人的に関わることを拒否しました。それは今も変わりありません。わたしが彼女に迫って関係を強要したことも、ましてや妊娠させたことも、あるはずがありません。わたしはたとえ大金を積まれたとしても、唯依佳さんに指一本、ふれたくもありませんので。それどころか、いつかこうやってよからぬことを企みそうだと思っていたので、この動画の日以降、自分の行動履歴をこまめに残すようにしてずっと警戒していたんです。杞憂に終わってくれればとも思いましたが、まさか偽りのエコー写真で父親扱いされるとはね。迷惑このうえありません」
「でも……唯依佳、ここ最近、体調が悪いのは本当なのよね? だから妊娠は……本当なのよね?」
「それ、俺の憶測ですが」
母が唯依佳を心配する表情になると、聡介はすらすらと続けた。
「唯依佳さんはたぶん、妊娠ではなく病気です」
「病気?」
「はい。梅毒という感染症にかかっていませんか」
「は……はあ? 梅毒?」
母がまったくついていけない、という混乱の表情で尋ねた。
「唯依佳さんが最後に働いたのはいつですか。彼女の収入源はどうなっていますか。ろくに働いていないのに毎日遊び呆けていませんか。それ、おかしくないですか。働いてないのにどうして遊ぶお金があるんですか。お友達が全部奢ってくれるんですか。そんなわけないですよね。ネイル、メイク、美容院、服、スマートフォンの通信費……全部ご両親が出してるんですか? そんなわけもないですよね? じゃあ唯依佳さんはどうやって遊んでるんですか。交際費はどうやって賄っているんですか。大方、うんと年上の男性を相手に売春でもしてるんじゃないですか」
「なっ……ば、売春っ!?」
「今だとわかりやすくパパ活なんて言うんでしょうが、実態は売春ですよね。自分の女性としての性や身体を売って、対価に金銭を得ているわけです。遊びにかかるお金はそうやって得ているのでしょう。ああ、収益はきちんと税務署に申告しないと額によっては脱税になりますし、そもそも売春は普通に犯罪行為ですよ。軽蔑しますね。大方、その売春行為の中でどこかの誰かから梅毒を移されたんじゃないですかね。先ほどエコー写真を見せてくれた時にちらりと見えましたが、手のひらに赤い湿疹が出ていますね。ただの皮膚の疾患かもしれませんが、心当たりがあるなら本当にきちんと病院に行った方がいいですよ。もし妊娠も本当なら、お腹の中の子にも影響がありますしね。誰の子なのか、わたしの知るところではありませんが」
「なっ……なんなのっ! 伊達さん、あなた、失礼がすぎませんか!」
まほろの母はヒステリックに叫んだ。しかし聡介はまったく表情を崩さず、眼鏡のレンズの奥で眼光を鋭くさせたまま言い返す。
「失礼はどちらですか。まったく関わりがないのに強姦の犯人扱いされて、あまつさえ負う必要のない胎児の責任を負えと迫られたのはわたしの方ですよ? 今はこうして内内ですんでいますが、もしこの件が会社に勝手に報告されていたのなら、わたしは最悪、職を失っています。唯依佳さんがわたしにしたことは、立派な名誉棄損です。わたしの人生を狂わしかねない、たいへん迷惑な行為です。なんなら、今からわたしが名誉棄損で唯依佳さんを訴えることもできるのですが? 今度は弁護士同伴でお話し合いをしましょうか」
「で、でも……っ」
「赤の他人のわたしを責める前に、ご自身の娘さんにきちんと人の道を説く方が先ではないでしょうか。唯依佳さんが働かないことも、売春をしていることも、その結果として梅毒に感染しているかもしれないことも、わたしには少しも関わりのないことです。ああ、もちろんまほろさんにも関わりのないことです。唯依佳さんと一緒に住んでいるご両親がどうぞ責任を持って対処してください」
「はぁ~~っ、唯依佳! 何か言ったらどうなの!」
「唯依佳、売春をしているというのは本当なのか」
ずっと黙っていた父が、さすがに唯依佳に尋ねる。しかし唯依佳はすっかり機嫌を悪くしたらしく、むくれたままの顔で俯き、誰にも何も言わない。だが、きちんと否定しないところを見るに、おそらく聡介に言われたことはすべて図星なのだろう。
「あとは篠崎家の話なので、わたしはこれで失礼させていただきます。ああ、まほろさんとは近々結婚したいと思っていますので、婚姻届の関係でまた訪問させていただくことがあるかとは思いますが、対応はお父様にお願いします。お母様はまほろさんに興味がないようですし、唯依佳さんの性根の修正を真剣に試みた方がよろしいでしょう。ではまほろ、帰りましょうか」
「えっ……」
「ちょっと唯依佳! なんなのよ! あなた、どういうことなの!」
聡介はテーブルの上に出していたタブレットや書類一式を手早くビジネスバッグにしまうと、ヒステリックに叫ぶまほろの母も唯依佳もまったく一瞥もせずに玄関を目指す。そんな聡介を一人にさせるわけにもいかないので、まほろは両親と姉に言葉をかけることなく急いで手荷物を持つと、聡介の後を追うように実家を出たのだった。
「すみません、まほろ。君のご家族だということはわかってはいたのですが」
帰りの電車に乗り込み、座席に腰を下ろしてから聡介は謝った。
「だいぶ感情的になってしまいました。言わなくていいこともずいぶんと言ってしまった気がします……セルフコントロールが未熟で恥ずかしいかぎりです」
「いえ、そんな……」
唯依佳との関係の否定にとどまらず、唯依佳の売春と梅毒疑惑の追及――なんだか、まったく予想だにしていなかった会話がものすごいスピードで展開されたので、まほろの頭は事態についていけていない。自分の感覚としては、聡介と共に実家に上がったあたりで時間が止まっていた。
「どこの病院ですか? 個人経営の産婦人科の病院ですか? それとも産科のある総合病院? エコーまでするぐらいだからちゃんと受診したんですよね。診察券はありますか。見せてください」
「ど、どうしてよ!」
「あなたが本当に妊娠しているかどうか、俺たちは医者ではないので確かめようがないんですよ」
「妊娠してるって言ってるでしょ!」
「本当に? そのエコー写真、あなたが病院で撮影してもらったものではなくて、フリマアプリとかフリマサイトとかで購入したものじゃないんですか?」
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「だっ……誰がこんなことを……?」
ネット事情に疎いまほろの母は、信じられないものを見ているかのような表情で尋ねた。
「さあ、誰でしょうね。困窮している妊婦か、暇を持て余している妊婦か、それとも悪徳な医療関係者か。誰が売るのかは知りませんが、なぜかこれを買う人がいます。ですから商売として成り立つんでしょうね」
「そんな……買う人なんて……」
「お母様の目の前にいるじゃないですか。フリマサイトで購入したエコー写真を証拠と偽って、ほぼ無関係の男に妊娠の責任をとらせようと冤罪をふっかけた性悪な女性が」
「しょ、性悪だなんて……」
母は複雑な表情で唯依佳を見つめた。唯依佳はばつが悪く、誰とも目を合わせずにふくれっ面で俯いている。
「わたしは去年の夏から、結婚を前提にまほろさんとお付き合いをさせていただいております。お姉さんがいることはまほろさんから聞いていましたが、今年の一月末、なぜか唯依佳さんがわたしたちの会社にやって来ましてね、不思議に思ったんです。まあ来訪の目的は、まほろさんが付き合っている相手が会社にいると踏んでの物色だったようですね? その帰り道、わたしは唯依佳さんと最後まで一緒にいましたが、その時の会話がこれです」
聡介はそう言うと、またタブレットを操作した。そして、ひとつの動画ファイルを再生する。
――早くお帰りください。
――えぇ~、でもせっかくですしぃ、一緒にご飯とかどうですか~?
――お断りします。お帰りください。
――じゃあせめて、名前と連絡先を教えてくださぁ~い。
――教える必要がありません。お断りします。どうぞお帰りください。
――ちょっと、冷たくないですかぁ? あたし、まほろの姉ですよぉ?
――だからなんですか。俺は、あなた個人と親しくなる気は毛頭ありません。
――はあ? あ、わかったー。まほろに悪いとか思ってるんでしょ? いいのいいの、気にしないでー。あの子、馬鹿で根暗だからどうせ何も言えないの。あたしとちょっとくらい火遊びしたって、全然大丈夫ですよぉ。
――迷惑です。お帰りください。
それは、聡介が手に持っているスマホで撮影されたと思われる動画だ。薄暗くはあったが、背景からそこが駅のホームであることがわかるので、一月のあの日、不破堂駅で降りたあとの二人のやり取りなのだろう。
しばらく唯依佳の強引な誘いが続いていたが、聡介は淡々と首を横に振り、頑として動かない。そしてしびれを切らした唯依佳が聡介を残して電車に乗り、去っていくところで動画は終了した。その動画を見ていたまほろの両親は一言も発することができず、たいそう気まずくて複雑な表情で沈黙を続けた。
「正直、唯依佳さんのことはろくでもない女性だと思っていたので、このとおり、わたしは最初から最後まで、唯依佳さんと個人的に関わることを拒否しました。それは今も変わりありません。わたしが彼女に迫って関係を強要したことも、ましてや妊娠させたことも、あるはずがありません。わたしはたとえ大金を積まれたとしても、唯依佳さんに指一本、ふれたくもありませんので。それどころか、いつかこうやってよからぬことを企みそうだと思っていたので、この動画の日以降、自分の行動履歴をこまめに残すようにしてずっと警戒していたんです。杞憂に終わってくれればとも思いましたが、まさか偽りのエコー写真で父親扱いされるとはね。迷惑このうえありません」
「でも……唯依佳、ここ最近、体調が悪いのは本当なのよね? だから妊娠は……本当なのよね?」
「それ、俺の憶測ですが」
母が唯依佳を心配する表情になると、聡介はすらすらと続けた。
「唯依佳さんはたぶん、妊娠ではなく病気です」
「病気?」
「はい。梅毒という感染症にかかっていませんか」
「は……はあ? 梅毒?」
母がまったくついていけない、という混乱の表情で尋ねた。
「唯依佳さんが最後に働いたのはいつですか。彼女の収入源はどうなっていますか。ろくに働いていないのに毎日遊び呆けていませんか。それ、おかしくないですか。働いてないのにどうして遊ぶお金があるんですか。お友達が全部奢ってくれるんですか。そんなわけないですよね。ネイル、メイク、美容院、服、スマートフォンの通信費……全部ご両親が出してるんですか? そんなわけもないですよね? じゃあ唯依佳さんはどうやって遊んでるんですか。交際費はどうやって賄っているんですか。大方、うんと年上の男性を相手に売春でもしてるんじゃないですか」
「なっ……ば、売春っ!?」
「今だとわかりやすくパパ活なんて言うんでしょうが、実態は売春ですよね。自分の女性としての性や身体を売って、対価に金銭を得ているわけです。遊びにかかるお金はそうやって得ているのでしょう。ああ、収益はきちんと税務署に申告しないと額によっては脱税になりますし、そもそも売春は普通に犯罪行為ですよ。軽蔑しますね。大方、その売春行為の中でどこかの誰かから梅毒を移されたんじゃないですかね。先ほどエコー写真を見せてくれた時にちらりと見えましたが、手のひらに赤い湿疹が出ていますね。ただの皮膚の疾患かもしれませんが、心当たりがあるなら本当にきちんと病院に行った方がいいですよ。もし妊娠も本当なら、お腹の中の子にも影響がありますしね。誰の子なのか、わたしの知るところではありませんが」
「なっ……なんなのっ! 伊達さん、あなた、失礼がすぎませんか!」
まほろの母はヒステリックに叫んだ。しかし聡介はまったく表情を崩さず、眼鏡のレンズの奥で眼光を鋭くさせたまま言い返す。
「失礼はどちらですか。まったく関わりがないのに強姦の犯人扱いされて、あまつさえ負う必要のない胎児の責任を負えと迫られたのはわたしの方ですよ? 今はこうして内内ですんでいますが、もしこの件が会社に勝手に報告されていたのなら、わたしは最悪、職を失っています。唯依佳さんがわたしにしたことは、立派な名誉棄損です。わたしの人生を狂わしかねない、たいへん迷惑な行為です。なんなら、今からわたしが名誉棄損で唯依佳さんを訴えることもできるのですが? 今度は弁護士同伴でお話し合いをしましょうか」
「で、でも……っ」
「赤の他人のわたしを責める前に、ご自身の娘さんにきちんと人の道を説く方が先ではないでしょうか。唯依佳さんが働かないことも、売春をしていることも、その結果として梅毒に感染しているかもしれないことも、わたしには少しも関わりのないことです。ああ、もちろんまほろさんにも関わりのないことです。唯依佳さんと一緒に住んでいるご両親がどうぞ責任を持って対処してください」
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「唯依佳、売春をしているというのは本当なのか」
ずっと黙っていた父が、さすがに唯依佳に尋ねる。しかし唯依佳はすっかり機嫌を悪くしたらしく、むくれたままの顔で俯き、誰にも何も言わない。だが、きちんと否定しないところを見るに、おそらく聡介に言われたことはすべて図星なのだろう。
「あとは篠崎家の話なので、わたしはこれで失礼させていただきます。ああ、まほろさんとは近々結婚したいと思っていますので、婚姻届の関係でまた訪問させていただくことがあるかとは思いますが、対応はお父様にお願いします。お母様はまほろさんに興味がないようですし、唯依佳さんの性根の修正を真剣に試みた方がよろしいでしょう。ではまほろ、帰りましょうか」
「えっ……」
「ちょっと唯依佳! なんなのよ! あなた、どういうことなの!」
聡介はテーブルの上に出していたタブレットや書類一式を手早くビジネスバッグにしまうと、ヒステリックに叫ぶまほろの母も唯依佳もまったく一瞥もせずに玄関を目指す。そんな聡介を一人にさせるわけにもいかないので、まほろは両親と姉に言葉をかけることなく急いで手荷物を持つと、聡介の後を追うように実家を出たのだった。
「すみません、まほろ。君のご家族だということはわかってはいたのですが」
帰りの電車に乗り込み、座席に腰を下ろしてから聡介は謝った。
「だいぶ感情的になってしまいました。言わなくていいこともずいぶんと言ってしまった気がします……セルフコントロールが未熟で恥ずかしいかぎりです」
「いえ、そんな……」
唯依佳との関係の否定にとどまらず、唯依佳の売春と梅毒疑惑の追及――なんだか、まったく予想だにしていなかった会話がものすごいスピードで展開されたので、まほろの頭は事態についていけていない。自分の感覚としては、聡介と共に実家に上がったあたりで時間が止まっていた。
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