7 / 29
第七話
しおりを挟む
~第七話~
『二人を守るのは自分の役目』…誰に命じられた事でもなく、自身で課した責務だと言いきれる程度には放任の家に育った。
代々武門の家と言うのでもなく、父の仕事は祖父の武功に下賜された山林の管理。祖父曾祖父は近衛の大隊長職まで務めたが、其れ以前に遡っても軍属は殆ど居ない。血筋から言えば自分達の方が少数派と言える。縁故採用が無く、叩き上げが冷遇されない国柄も有るだろうが。
『だからな、自分の道は自分で決めれば良い』
幼い時分、将来について相談すると曾祖父はそう答えた。
『どの仕事が優れるでも劣るでもない、信念で務めを成すならば誰の許しが無くとも誇れば良い』
『逆に言えば、動機と根気が有れば如何な生業とて天職に成り得ると知っておけ』
いやぁ…実際には資質も其れなり重要じゃないかと、今なら言い返すかも知れない。自分に其れが有るかも解りはしないが。
―――
獣道に沿って森を進む。両側は十間先も見通せぬ程に鬱蒼と木々が繁っており、枝葉の合間を吹き抜ける風音の他は鳥の囀りさえ聞こえない。途中まで先導してくれていた獣達も何時の間にか姿を消していた。これは聖域に近付いた良い目安になる、目的地まではもう四半刻も掛からぬだろう。
一歩進む毎に空気が濃さを増すような感覚に襲われた。息をする度に緑の匂いが煙る様に肺を満たす。だが息苦しさはなく、寧ろ歩き疲れた身体に生気が戻る様に感じた。神職が扱う天威の気よりも魔術師の用いる精霊の気に近い。
守神の御座しめす土地では知性を持たぬ木々ですら脈動を感じそうな程に生き生きとしている。その剥き出しの生命力を五体に詰め込まれる様な感覚。同道者達の様子を見るに自身にのみ起きている現象のようだ。此の森は今も、自分を同族として迎えてくれているらしいと知れた。
更に暫くを歩くと唐突に茂みが途絶え、木々に囲まれた吹き抜けの広場の様な空間に出た。王宮の大ホールに匹敵する広さの其処は、此の一帯の守護を司るドリアードの聖域だ。
聖域の中央に鎮座する神樹へと歩み寄り膝を折る。
「只今戻りました、大伯母上」
神樹に宿る守神は嘗て曾祖父が賜った眷属、祖父の腹違いの姉だった。
『おかえりなさい、かわいい子』
…前からお願いしてんだけどその呼び方やめてくんねぇかな、いや樹齢50年を越す方からしたら子供には違いないんだけども。
大伯母は周囲をゆっくりと一瞥すると徐に口を開く。
『むすめたちは、いっしょではないの、ね?』
彼女は自身の眷属をその様に呼ぶ。まぁ産まれた経緯からして間違いない呼称ではあるが…今日は聞かれると厄介な連中が一緒だった。
「あぁ、ちょっと連れが居りまして…道中の守りと道案内を頼んであります」
未だ若木の眷属達ではあるが猛獣避け程度ならそつ無く熟してくれる。同行者達にとって歩き慣れない森を案内させるなら適役だろうと思った。
『あまり、離れてはだめ、よ?』
窘める様な口調、そう言えば曾祖父もついぞこの方には頭が上がらなかった記憶が有る。
『でも、そう、ね…それなら』
言うが早いか、神樹から伸び広場一円に広がっていた根の数本がのたうつ。自分の周囲を囲った其れ等の何本かは手招く様に眼前で揺れている。
…
いや待て、何か急に雲行きが怪しいぞ。
「あの、大伯『ターニャ』…はい?」
『ターニャ、むすめたちの居ないときは、そう呼んで、って』
確かにその様に約束した、そして其れを《何の合図とするか》も。
「いやいや、ちょっと待って大『たーにゃ』ターニャ!」
『きっと、むすめたちは、いもうとを、欲しがっている、でしょ?』
「いやいやいや!もう5人も居るし!もう良いんじゃないか!?」
『わたしのいもうとは、10人、いたの、よ?』
「マジかよひい爺さんすげぇ絶倫、ってそうでなく!」
この儘では同じ轍を踏みかねない。思うより先に後退った身体はしかし、既に背後まで迫っていた『腕』に絡め取られていた。
「いや、今日は本気でまずいんだって!…おい脱がすな!」
『だいじょうぶ、いたくない、こわくない、ね?』
「周囲の誰か一人で良いからマトモに話聞いてくれるヤツは居ねぇかなぁ!?あっ、ちょっ、ソコはマジでだめっ」
端くれと言えど神の所業、不埒な思惑が有っての行為でないことは表情からも明らかだった。まぁ邪気が無いのが尚更タチが悪いのだが。
『ひさしぶり、ね?…すこし、どきどき、ね?』
内外面共に若さを長く保つと言うのは寿命の長い種族にはありがちな話だ。長くすると優に千年を生きると言う緑の守神ドリアードも多分に漏れず、妙齢の外見に違わぬ初々しさを失わない仕草に催す下心が湧かぬと言えば噓になる。何と言っても初めての女性であるわけで「「ちょっと待ったぁぁぁぁぁ!!」」
…おう、御到着か。いや、ギリギリ間に合って良かったよ。四肢を拘束された後いつの間にか解かれていた着衣は残り肌着一枚だったからな。…え?『直前までちょっと乗り気だった』?…はっはっは馬鹿言うな。
「な、な、な、何ですのこの状況は!!!???」
うん、そうだよね。俺も何でこうなったか思い出せない。
「破廉恥!とっても破廉恥だよ!」
本気でそう思ってんなら目線を外さんかい。地面に涎垂らすなよ、一応聖域だから。
『…?』
あぁ、うん、そうなるよね。そうです、あれが今日の連れです。
…
「…ティタニア聖下には初の御目見えとなります、東方マグニシアの開祖ペレウスが末アレクサンドロと」
「妻のエリザベートでございます…先程は取り乱しまして、大変に失礼をば…」
ターニャの前に傅いた二人は憔悴しきった顔で謝辞を述べる。
『きにしない、で?この子が、心配だったの、ね?』
「大伯母上は俗世の世辞に疎いからあんまり畏まらなくて良いと思うぞ」
思わぬ闖入者にも動じず笑みを浮かべる守神の慈悲に乗じてさっきまでの経緯を無かった事に…
「「では、暫し彼と話をさせて頂いても?」」
出来なかった。うん、知ってた。おい二人して睨むな。
『どうぞ?わたしは、むすめたちと、遊んでいる、わ』
その返事も予想通りだよちくしょう。…ほれ、お母様とあっち行ってなさい。
『二人を守るのは自分の役目』…誰に命じられた事でもなく、自身で課した責務だと言いきれる程度には放任の家に育った。
代々武門の家と言うのでもなく、父の仕事は祖父の武功に下賜された山林の管理。祖父曾祖父は近衛の大隊長職まで務めたが、其れ以前に遡っても軍属は殆ど居ない。血筋から言えば自分達の方が少数派と言える。縁故採用が無く、叩き上げが冷遇されない国柄も有るだろうが。
『だからな、自分の道は自分で決めれば良い』
幼い時分、将来について相談すると曾祖父はそう答えた。
『どの仕事が優れるでも劣るでもない、信念で務めを成すならば誰の許しが無くとも誇れば良い』
『逆に言えば、動機と根気が有れば如何な生業とて天職に成り得ると知っておけ』
いやぁ…実際には資質も其れなり重要じゃないかと、今なら言い返すかも知れない。自分に其れが有るかも解りはしないが。
―――
獣道に沿って森を進む。両側は十間先も見通せぬ程に鬱蒼と木々が繁っており、枝葉の合間を吹き抜ける風音の他は鳥の囀りさえ聞こえない。途中まで先導してくれていた獣達も何時の間にか姿を消していた。これは聖域に近付いた良い目安になる、目的地まではもう四半刻も掛からぬだろう。
一歩進む毎に空気が濃さを増すような感覚に襲われた。息をする度に緑の匂いが煙る様に肺を満たす。だが息苦しさはなく、寧ろ歩き疲れた身体に生気が戻る様に感じた。神職が扱う天威の気よりも魔術師の用いる精霊の気に近い。
守神の御座しめす土地では知性を持たぬ木々ですら脈動を感じそうな程に生き生きとしている。その剥き出しの生命力を五体に詰め込まれる様な感覚。同道者達の様子を見るに自身にのみ起きている現象のようだ。此の森は今も、自分を同族として迎えてくれているらしいと知れた。
更に暫くを歩くと唐突に茂みが途絶え、木々に囲まれた吹き抜けの広場の様な空間に出た。王宮の大ホールに匹敵する広さの其処は、此の一帯の守護を司るドリアードの聖域だ。
聖域の中央に鎮座する神樹へと歩み寄り膝を折る。
「只今戻りました、大伯母上」
神樹に宿る守神は嘗て曾祖父が賜った眷属、祖父の腹違いの姉だった。
『おかえりなさい、かわいい子』
…前からお願いしてんだけどその呼び方やめてくんねぇかな、いや樹齢50年を越す方からしたら子供には違いないんだけども。
大伯母は周囲をゆっくりと一瞥すると徐に口を開く。
『むすめたちは、いっしょではないの、ね?』
彼女は自身の眷属をその様に呼ぶ。まぁ産まれた経緯からして間違いない呼称ではあるが…今日は聞かれると厄介な連中が一緒だった。
「あぁ、ちょっと連れが居りまして…道中の守りと道案内を頼んであります」
未だ若木の眷属達ではあるが猛獣避け程度ならそつ無く熟してくれる。同行者達にとって歩き慣れない森を案内させるなら適役だろうと思った。
『あまり、離れてはだめ、よ?』
窘める様な口調、そう言えば曾祖父もついぞこの方には頭が上がらなかった記憶が有る。
『でも、そう、ね…それなら』
言うが早いか、神樹から伸び広場一円に広がっていた根の数本がのたうつ。自分の周囲を囲った其れ等の何本かは手招く様に眼前で揺れている。
…
いや待て、何か急に雲行きが怪しいぞ。
「あの、大伯『ターニャ』…はい?」
『ターニャ、むすめたちの居ないときは、そう呼んで、って』
確かにその様に約束した、そして其れを《何の合図とするか》も。
「いやいや、ちょっと待って大『たーにゃ』ターニャ!」
『きっと、むすめたちは、いもうとを、欲しがっている、でしょ?』
「いやいやいや!もう5人も居るし!もう良いんじゃないか!?」
『わたしのいもうとは、10人、いたの、よ?』
「マジかよひい爺さんすげぇ絶倫、ってそうでなく!」
この儘では同じ轍を踏みかねない。思うより先に後退った身体はしかし、既に背後まで迫っていた『腕』に絡め取られていた。
「いや、今日は本気でまずいんだって!…おい脱がすな!」
『だいじょうぶ、いたくない、こわくない、ね?』
「周囲の誰か一人で良いからマトモに話聞いてくれるヤツは居ねぇかなぁ!?あっ、ちょっ、ソコはマジでだめっ」
端くれと言えど神の所業、不埒な思惑が有っての行為でないことは表情からも明らかだった。まぁ邪気が無いのが尚更タチが悪いのだが。
『ひさしぶり、ね?…すこし、どきどき、ね?』
内外面共に若さを長く保つと言うのは寿命の長い種族にはありがちな話だ。長くすると優に千年を生きると言う緑の守神ドリアードも多分に漏れず、妙齢の外見に違わぬ初々しさを失わない仕草に催す下心が湧かぬと言えば噓になる。何と言っても初めての女性であるわけで「「ちょっと待ったぁぁぁぁぁ!!」」
…おう、御到着か。いや、ギリギリ間に合って良かったよ。四肢を拘束された後いつの間にか解かれていた着衣は残り肌着一枚だったからな。…え?『直前までちょっと乗り気だった』?…はっはっは馬鹿言うな。
「な、な、な、何ですのこの状況は!!!???」
うん、そうだよね。俺も何でこうなったか思い出せない。
「破廉恥!とっても破廉恥だよ!」
本気でそう思ってんなら目線を外さんかい。地面に涎垂らすなよ、一応聖域だから。
『…?』
あぁ、うん、そうなるよね。そうです、あれが今日の連れです。
…
「…ティタニア聖下には初の御目見えとなります、東方マグニシアの開祖ペレウスが末アレクサンドロと」
「妻のエリザベートでございます…先程は取り乱しまして、大変に失礼をば…」
ターニャの前に傅いた二人は憔悴しきった顔で謝辞を述べる。
『きにしない、で?この子が、心配だったの、ね?』
「大伯母上は俗世の世辞に疎いからあんまり畏まらなくて良いと思うぞ」
思わぬ闖入者にも動じず笑みを浮かべる守神の慈悲に乗じてさっきまでの経緯を無かった事に…
「「では、暫し彼と話をさせて頂いても?」」
出来なかった。うん、知ってた。おい二人して睨むな。
『どうぞ?わたしは、むすめたちと、遊んでいる、わ』
その返事も予想通りだよちくしょう。…ほれ、お母様とあっち行ってなさい。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました
春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。
名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。
誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。
ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、
あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。
「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」
「……もう限界だ」
私は知らなかった。
宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて――
ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。
【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました
雨宮羽那
恋愛
結婚して5年。リディアは悩んでいた。
夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。
ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。
どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。
そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。
すると、あら不思議。
いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。
「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」
(誰ですかあなた)
◇◇◇◇
※全3話。
※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜
氷のメイドが辞職を伝えたらご主人様が何度も一緒にお出かけするようになりました
まさかの
恋愛
「結婚しようかと思います」
あまり表情に出ない氷のメイドとして噂されるサラサの一言が家族団欒としていた空気をぶち壊した。
ただそれは田舎に戻って結婚相手を探すというだけのことだった。
それに安心した伯爵の奥様が伯爵家の一人息子のオックスが成人するまでの一年間は残ってほしいという頼みを受け、いつものようにオックスのお世話をするサラサ。
するとどうしてかオックスは真面目に勉強を始め、社会勉強と評してサラサと一緒に何度もお出かけをするようになった。
好みの宝石を聞かれたり、ドレスを着せられたり、さらには何度も自分の好きな料理を食べさせてもらったりしながらも、あくまでも社会勉強と言い続けるオックス。
二人の甘酸っぱい日々と夫婦になるまでの物語。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる