僕が死んだあと、あなたは悲しんでくれる?

いちみやりょう

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何度も失敗したけれど指輪は丁寧に作って、結構良い感じの指輪が完成した。
そしてフェルレントの誕生日当日。
アダンが、フェルレントの秘書に掛け合ってくれて、その日はフェルレントは1日オフだった。
朝から従業員達と一緒に部屋を飾り付け、フェルレントを起こしに行った。

「フェルレント、おはよう」
「千景……。おはよう。朝から君に起こしてもらえるなんて幸せだな」

僕の頭を撫でながら優しく微笑むフェルレントは、寝起きだというのにかっこいい。

「誕生日、おめでとう!」
「ん……? 私の?」

思考は寝起きのままなのか、少しポケッとした顔が可愛くて少し笑った。

「そう! アダンさんたちが調べてくれたんだ! 僕、フェルレントが生まれてきてくれて本当に嬉しいから、おめでとうって言いたかったんだ」
「そうか。ありがとう……千景」

目を細め笑うフェルレントはキラキラしている。
死神と言うよりも天使とかそういうものの方が納得できる。

「みんなと一緒に準備したんだ。行こ!」

フェルレントを促して、飾り付けをした食堂までいくと、従業員一同も思い思いにお祝いの言葉を贈った。フェルレントも嬉しそうにしていて僕もとても嬉しくなった。いつもより豪華な食事を楽しんでから庭を散歩して、お茶の時間にソファに隣り合って座っている時にプレゼントを渡した。
プレゼントの渡し方も、いろいろ決まりがあるみたいで、僕はアダンに教えられた通りに実行した。フェルレントの目を見つめて、手を握って指輪をフェルレントに握らせて……恥ずかしいけど、唇にキスする。

「これは僕の手作りなんだ。僕の気持ちだよ」

アダンに言われた通りの言葉を言うと、フェルレントは目を見開いた。

「千景……」
「フェルレント?」
「千景、一体どこでそんなことを覚えてきたんだい?」

フェルレントは怖い顔をしていて、僕は怯んだ。

「な、何か間違っちゃった? 嫌だった?」
「嫌なわけない」

そう言うや否や、フェルレントは僕に深い口づけをしてきた。

「んっ……んぁ、ふ、フェルっ……ぁあ!! まだ昼間だよっ」
「ああ、そうだね」
「ぁあっ……ひっ」

フェルレントは楽しそうに僕の体を弄って、胸の突起を摘む。

「千景、寝室に行こうか」

フェルレントは僕がフェルレントの声が大好きなのに気がついていて、僕を頷かせたいときはこうやって耳元で低く甘い声を出す。
案の定フェルレントの声が腰まで響きガクガクになった僕は、うなずいた。

「ふふ、可愛い……愛しい。なんて素敵なプレゼントだ」

フェルレントの声が弾んでいて、とても喜んでいることが伝わってきたので、僕は今日のお祝いが成功したのだと嬉しくなった。
その間にフェルレントに抱き上げられて、寝室まで運ばれた。
こんな風に運ばれているところを誰かに見られたら恥ずかしいと思っていたけれど、あれほど初めて行うサプライズパーティーにはしゃいでいたはずの従業員が、そこまでの廊下に1人もいなくて安心した。

「秘書からね、私は明日もお休みだと言われている」

フェルレントは僕をそっとベットに下ろしながらそう言った。

「それはきっと秘書さんからのプレゼントですね」
「ああ、そうだろうね」

にっこり笑ったフェルレントがうなずいた。
そして僕の服のボタンを、まるで大切なプレゼントを開封するかのように時間をかけて開けてきて恥ずかしい。

「妻から夫への手作りのアクセサリー……。千景はこの国でのその意味を知らないんだろうね?」
「うん……? 何か特別な意味があるのはアダンさんに聞いたけど、詳しくは聞いてなかった」

正直にそう言うと、フェルレントはフッと息を吐き出すように笑った。

「これはね、今夜一晩中私を好きにしてください……と言う意味があるんだよ」
「え!?」
「どんなことをされても抵抗はしませんって意味もね」

どんなことをしても? 一体何をするつもりなのかとギョッとしてフェルレントを見ると、フェルレントはまた笑った。

「まぁ、元々はあなたを信頼してますってことを伝えるための行為だけどね」
「そ、そうなんだ」
「プレゼントを取り消したりはしないだろう?」

僕をまっすぐ見つめてくるフェルレントに僕は反射的にうなずいた。

「も、もちろん」
「ああ、千景、本当に最高のプレゼントだ。ありがとう」
「え、えっと、うん! 喜んでもらえて僕も嬉しいよ」

本当の意味を知らなかったとはいえ、大喜びしているらしいフェルレントを前にプレゼントの取り消しなんて言い出せず、僕は若干の不安を感じたまま、覚悟を決めた。
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