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咲夜様
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宿について、車と荷物を預けてから僕たちは辺りを散策した。
どこか懐かしさを感じさせる石畳の道の両側にお土産屋さんが並んでいる場所は、全てのものがキラキラして見えて楽しかった。
ふと視線を感じて顔を上げると視線を送った人物と目があった。
「咲夜、さま……」
店の一段高い場所にいた僕と、背の高い咲夜様とで人混みの中、視線が交差した。
咲夜様は人混みをかき分けて僕の方に向かおうとしていた。
嫌だ。嫌だ。
捕まれば連れ戻される。
僕は嫌だ。
あんな生活が普通じゃないことはこの1年で理解していた。
僕は脇目も振らず走り出した。
追いつかれてはダメだ。
「伊月くん!」
後ろから驚いたような銀次さんの声が聞こえた。
だけど、僕はそれも無視して走った。
人混みを縫うように逃げれば、人より小柄な僕の居場所なんて特定できないはずだ。
僕は必死に走った。
「手間を取らせるな」
グイッと腕を掴まれ引き止められて僕は脇道に逸れた路地裏に引っ張り込まれた。
「探したぞ、さあ帰ろう。な?」
「い、嫌だ。僕はいやです……帰りません……」
「なぜだ」
「僕はあなたの奴隷じゃない。あの頃の僕は嫌な思い出ばかりです。戻りません、絶対に」
「んんっ!!」
急に口付けられ、口の中で舌で何かを押し込まれた。
そのまま口は離され口を手で抑えられ無理やりその何かを飲み込まされた。
「お前が孕めば一人で育てられないお前は戻って来ざる追えなくなるな? 梨乃は不妊だったんだ、妊娠したというのは梨乃の妄言だった。だから両親もお前が誠心誠意謝ればお前が戻ってくることを許してくれるそうだ、よかったな」
「なっ、嫌です! 絶対に……はぁ、ぁ、戻りません」
体が熱い。
力も入らない。
僕がその場にへたり込むと咲夜様はニヤリと笑って僕の服を脱がし始めた。
「ゃ……はぁ、ゃ、だ。助け……て、ぎんじ、さん」
「その銀次ってやつは、さっきお前と一緒にいた連れのことか? 顔のいい男を2人も引き連れてとんだアバズレになったもんだな」
「ちがうっ、銀次さんも、只野さんもそんなことしない」
「じゃあお前が誘ってる最中か? そんなことをしていて子供ができたらどうする。知ってるか? 虐待された子供は、自分の子供に虐待する可能性が高くなるそうだ。だからお前は、親の愛情を知らずに育ったから子ができても子を愛せないだろう。お前が俺の子を孕めば、梨乃との子として育ててやる、お前は安心して戻ってくればいいんだ」
「やだ、嫌だ」
「そろそろ限界だろう? お尻が疼いて仕方ないんだろう? さっき飲ませたのはそういう薬だ。俺のところに戻ってくるよな? そう言え。そうしたらすぐに入れてやる」
「……いや、だ。絶対、ん、に、戻りません」
僕の服はほとんど脱がされ、咲夜様にうつ伏せに組み敷かれた。
後孔にピトッと当てがわれたのが、咲夜様のそれだというのは、嫌というほど体が覚えていた。
僕は目を瞑って耐えた。
ドス!!!
「伊月くん! 大丈夫!?」
大きな音とともに、大好きな人の声が僕を呼んだ。
目を開けると、咲夜様を蹴り倒したらしい只野さんと、僕を心配そうに覗き込む銀次さんがいた。
どこか懐かしさを感じさせる石畳の道の両側にお土産屋さんが並んでいる場所は、全てのものがキラキラして見えて楽しかった。
ふと視線を感じて顔を上げると視線を送った人物と目があった。
「咲夜、さま……」
店の一段高い場所にいた僕と、背の高い咲夜様とで人混みの中、視線が交差した。
咲夜様は人混みをかき分けて僕の方に向かおうとしていた。
嫌だ。嫌だ。
捕まれば連れ戻される。
僕は嫌だ。
あんな生活が普通じゃないことはこの1年で理解していた。
僕は脇目も振らず走り出した。
追いつかれてはダメだ。
「伊月くん!」
後ろから驚いたような銀次さんの声が聞こえた。
だけど、僕はそれも無視して走った。
人混みを縫うように逃げれば、人より小柄な僕の居場所なんて特定できないはずだ。
僕は必死に走った。
「手間を取らせるな」
グイッと腕を掴まれ引き止められて僕は脇道に逸れた路地裏に引っ張り込まれた。
「探したぞ、さあ帰ろう。な?」
「い、嫌だ。僕はいやです……帰りません……」
「なぜだ」
「僕はあなたの奴隷じゃない。あの頃の僕は嫌な思い出ばかりです。戻りません、絶対に」
「んんっ!!」
急に口付けられ、口の中で舌で何かを押し込まれた。
そのまま口は離され口を手で抑えられ無理やりその何かを飲み込まされた。
「お前が孕めば一人で育てられないお前は戻って来ざる追えなくなるな? 梨乃は不妊だったんだ、妊娠したというのは梨乃の妄言だった。だから両親もお前が誠心誠意謝ればお前が戻ってくることを許してくれるそうだ、よかったな」
「なっ、嫌です! 絶対に……はぁ、ぁ、戻りません」
体が熱い。
力も入らない。
僕がその場にへたり込むと咲夜様はニヤリと笑って僕の服を脱がし始めた。
「ゃ……はぁ、ゃ、だ。助け……て、ぎんじ、さん」
「その銀次ってやつは、さっきお前と一緒にいた連れのことか? 顔のいい男を2人も引き連れてとんだアバズレになったもんだな」
「ちがうっ、銀次さんも、只野さんもそんなことしない」
「じゃあお前が誘ってる最中か? そんなことをしていて子供ができたらどうする。知ってるか? 虐待された子供は、自分の子供に虐待する可能性が高くなるそうだ。だからお前は、親の愛情を知らずに育ったから子ができても子を愛せないだろう。お前が俺の子を孕めば、梨乃との子として育ててやる、お前は安心して戻ってくればいいんだ」
「やだ、嫌だ」
「そろそろ限界だろう? お尻が疼いて仕方ないんだろう? さっき飲ませたのはそういう薬だ。俺のところに戻ってくるよな? そう言え。そうしたらすぐに入れてやる」
「……いや、だ。絶対、ん、に、戻りません」
僕の服はほとんど脱がされ、咲夜様にうつ伏せに組み敷かれた。
後孔にピトッと当てがわれたのが、咲夜様のそれだというのは、嫌というほど体が覚えていた。
僕は目を瞑って耐えた。
ドス!!!
「伊月くん! 大丈夫!?」
大きな音とともに、大好きな人の声が僕を呼んだ。
目を開けると、咲夜様を蹴り倒したらしい只野さんと、僕を心配そうに覗き込む銀次さんがいた。
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