ヒロインは他に任せて

オウラ

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1つ目の宝玉と

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 ………ルイに私と殿下の関係を疑われ一瞬焦ったが、なんとかはぐらかす事ができた……と思う。

 まぁ、確かに?私達の間には恋人らしい雰囲気は全くなかったし、バレるのも時間の問題だったかもしれないが、いざバレたとなると、あれはなかなか心臓に悪い。

 うっかり本当のことを話してしまったらその瞬間私の命はもちろん、下手をしたら殿下の命でさえ尽きるのだ。ぶっちゃけ、殿下の命はどうでもいいけど、私の命大切!!なんとも危ないところであった。
 そもそも、ゲームにおいて当初、ルイ・ヨハネイルはちゃらんぽらん、やる気のない神官という立ち位置であったが、その正体は殿下を監視する神殿側の人間。じわじわと王家から実権を奪おうと企らむ神殿側の人なのだ。うっかり、殿下のことがバレたらただ事ではない。殿下と神殿、もとい王宮と神殿の戦いは避けられないだろう。事実、ルイのルートでは、神殿が実権を奪おうとする事が話の中心となっていた。

 王家から実権を奪うため、宝玉の力を使おうとする神殿。そして、その陰謀に巻き込まれる私こと、ヒロイン。何故か、神殿に監禁され、最終的に殺されそうになるのだが、ルイが、神殿を裏切った事により無事助かり、めでたく2人は結ばれる。確か、ルイのルートはそんな、感じの話だったような気がする。

  まぁ、一応、彼のルートでは、最後まで一応、殿下の企みはバレる事はなかった。若干、あれ?もしかしてこいつ気づいてんじゃね?的なことを匂わせる発言はあったが、それでも殿下の腹黒い正体が明かされる事なく幕を閉じた。あるよね、他ルートになると、あれこの場合、彼奴はどうなるんだろうって、疑問に思うストーリー。まぁ、乙女ゲームだから、御都合主義ですから!で済まされるからいいけれど。
 個人的に、そんな感じで、この世界も進んで欲しい。セシルちゃんが、ディルクルートを辿って、殿下の企み?何それ?的なことになることを望むよ。御都合主義、かもーん、だよ。







 ********************


 さて、目が覚めてからから、数時間後、私が目覚めたという事を聞いた皆んなが、泊まっている宿に帰ってきた。そして、「大丈夫だった?」と優しきセシルちゃんを中心に各々が私を心配してくれる。
 心配させたな、迷惑かけたなとは、薄々感じていたが、それでもこうして、心配されるとこそばゆい。これまで、家族以外に心配された事がなかったから、なんて反応したらいいかわからない。




「せっかくセシル様が心配してるのに、そんな困った表情するとか失礼じゃない、ルーナ」

 しかも、アネルはアネルで相変わらずだし。……いや、でもこんな態度にさせてしまったのは、私の、あの約束のせいなんだよな。と言う事はこのツンも、暴言も全てはデレなのかもしれない。そう考えれば多少は、ましに、多少はましに

「本当いい迷惑だよ。ただでさえ時間が無いって言うのに」

 ましに、ならねぇよ!!特にキュンともならないよ!!
 クソ!……なんで私あんな約束したんだろ。せめて、せめて「私が家族になってやる」って事だけにしとけば、こんな事にならなかったのになぁ。あぁ、せめてツンデレのデレがあるアネルとして成長して欲しかったよ。





「アネルって、本当に素直じゃないよね。……ルーナ、あのね。アネルはこんな事言ってるけれど、ルーナが倒れた時…」
「ちょっ!! セシル様!何言おうとしてるんですか!」
「何って、真実だよ。アネルはね、ルーナが倒れた時すごく心配していたんだよ。しかも、一番早く倒れた時に、駆けつけたんだよ。こんな事を言ってるけど、なんだかんだ言って、アネルはルーナが大切なんだよ。ね?」

 ……以外だ。えー、嘘だろ。アネルがそんな事をする筈ないよ。だってアネルだよ? と思うが、みんなの反応を見るにそうではない。

「確かに、あの時のアネル君は焦っていたねぇ」
「えぇ、焦ってました」
「あぁ、普段とは違って焦っていたよ」
「いつもはルーナに対して辛辣だけど、なんだかんだ言って、アネルはルーナのこと大切なんだね」

 どうやら、本当にアネルは私の事を心配していたようだ。
 ふとアネルの方を見れば…………彼は顔が真っ赤になっている。まるで、茹でたタコ………え!? え!? え!!!??


「な、何こっち見てんだよ、馬鹿ルーナ。べ、別にお前のことなんか心配なんかしてないんだからな。ただ、そう、ただお前が怪我とかすると、おばさん達に申し訳ないないから、それだけなんだから。それだけなんだからな。本当にお前のことなんか!一ミリも!少しも!全く!心配なんかしてないんだから」

 いや、そんな顔を真っ赤にさせながら言われても、あまり説得力がない。あれか?これは、お前の事を心配していたんだ、でも素直に言えないんだぜ。的な奴か?だとしたら何だ、こいつ。可愛いな!!

「そっか、そっか。アネルは私の事を心配してくれたんだね。嬉しいよ、ありがとう」

 今まで全くデレがなかっただけに、アネルがデレたという事実が物凄く可愛く感じる。成る程、これがツンデレの力。ツンデレって凄いんだなぁ。デレた時の破壊力が半端ない。


「馬鹿ルーナ!!!勘違いしないでよね!確かにちょっとは心配したかもだけど、でも、でもそれは、それはあれだから!!」

 ますます可愛くなっていくアネル。言い訳もだんだんと崩れていく。
 あぁ、デレってこんなに素晴らしいものだったんだ。

「ば、ば、馬鹿ルーナ!!お前まで、そんな顔しなくたっていいじゃん!もう嫌だ!!」

 流石にこの場にいるのに耐えきれなくなったアネルは顔を真っ赤にさせながら、この部屋をバーーカと言いながら出て言ってしまった。何と言うか、最後の最後まで、可愛い奴であった。
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