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1つ目の宝玉と
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黒い物体に痺れ薬を使った後は、それまでと打って変わって、思いの外事が早く進んだような気がした。実際は、結構な時間をかけて戦っていたようだが、とにかく早く感じた。時間って不思議だなぁと思う。
苦しみ、もがく姿を尻目に私たちは、陣形を戻しながら黒い物体に、攻撃をし、奴を瀕死状態にまで追い詰めようとした。途中、薬が効いているはずなのに、無理矢理身体を動かそうとする黒い物体の攻撃に当たりそうになったり、実際にそれに当たりながらも、それでも無我夢中で戦ったと思う。
まぁ、はっきり言って、怪我をしていて動きを制限された為、私ができたことは少なかったので、あまり役に立てなかったけれど…………兎に角、皆んな、無我夢中で、奴と戦ったのだ。
そして、そのかいあってか、ボロボロになりながらも見事その戦いに勝利した。
今、目の前には、戦いの末、死んでしまいそうな程弱りきり黒い物体が倒れている。弱々しい呼吸としながら、慈悲をこうような瞳を私に向けながら、助けを求めるようなうめき声を上げながら、目の前で倒れている。
可哀想に思えてくるが、助けるわけにはいかない、そもそも、助け方なんて分からない。それに、このまま放って置くわけにはいかない。この聖剣で、とどめを刺さなくてはいけないのだ。今にも死にそうだが、ここで見逃せば宝玉の力で再び、元に戻るかもしれない。情けをかけたら、いけないのである。
それに、私には宝玉を集める使命がある。使命のためには、目の前の黒い物体にとどめを刺し、宝玉を手に入れる必要があるのだ。
グッと聖剣を手を握りしめ、倒れている黒い物体の前に立つ。聖剣でしかとどめを刺さない。つまり聖剣の持ち主である私が、とどめを刺すしかない。
「ゔゔぅーーー…ぐぅゔぅ」
目の前の奴は、既に弱り切っている。今のところは、攻撃してくる心配はないだろう。これだったら安心して留めを指すことが出来る。これは、とどめを刺す事のできる、大きなチャンスだ。
右肩は、あんまり動かしたくない。そのため、慣れない左腕で、聖剣を持ち、無抵抗の黒い物体に剣を向ける。
瞬間、やつのその瞳に私が映る。心なしがこの黒い物体は怯えているような気がした。果たして、自分がやろうとしている事は正しいのか。此奴は、宝玉の所為でこうなってしまっただけであるのに……とそんな考えが頭によぎる。いや、なにを考えている。情けは無用だ。生き残る為には、この聖剣を振り落とすしかないのだ。グッと左腕に力を込め、私はそのまま聖剣を振り下ろした。あぁ、そんな目で、見ないでくれ。
完全に聖剣を振り下ろしたその時だった。まばゆい光が聖剣から発せられた。目を開けていられない程の眩しい光。耐えきれずに、顔を逸らし目をつむる。一体何が起きたのかわからなかった。ゲームではこんな事あったけ………いや倒した後は、倒され無残な姿になった本体と宝玉が分離していたはず。……こんな事はなかった。と言うのに、一体どう言う事だろう。
どれくらい時間が経ったのだろう。光の強さは弱まったものの未だに消える事はない光。本当に何が起こっているのだろう。
確認する為、そっと、目をなんとか開き、目の前の黒い物体を見ようとしたが、そこに黒い物体はいない。果たしてどこに言ったのか。もしかして、既に宝玉と分離したのだろうかと思い、目を細めて確認しようとした。
その時だった。聖剣から放たれた光はふっと消えたかと思えば、視界は真っ暗。
「ぐわぁ!!」
何かが思い切り顔面に衝突した。いきなりのことだった為、バランスが崩れそのまま後ろに倒れ、尻餅をつく。目の前は真っ暗。何が起きたのかわからない。しかもなんか、ふわふわであったかいのが、顔にくっついてる。
ざわざわと殿下達が後ろで騒いでいるのが聞こえる。その内容は詳しくは聞こえないが、どうやら何かに驚いているようだ。
考えるに、私の顔面にくっついているこれに対して、驚いているのだろう。
にしてもこれはなんだろうか。一向に顔から離れない。………もしかし本体!?倒した本体のがくっついてるの!??それってつまり………あれだろ!?
ひぇぇぇ。とどめを刺しておいてなんだが、流石にそれは嫌だ。
「くぅ~」
両手で、引き離そうと、もふもふしたものに手をかけたその瞬間たその時聞こえてきた声。つい先程までの、あの黒い物体とは違い、高く可愛い鳴き声が、聞こえてくる。
一瞬思考が停止した。もしかして、これはあの黒い物体の本体なのだろうか。た、倒したはずなのである。ゲームでは倒されていたのである。なのに、なぜ声が聞こえてくるのであろうか。
そのまま、べりっと思い切り両手で、顔面にひっつくモノを引き剥がせば、うるうるの瞳と目が合う。
私の手元にいるのはうわうわの毛に、ウサギのように長い耳、可愛らしい瞳をした動物。そう、これこそがあの黒い物体の本体。元々の姿の動物だ。なんと言う事だろうか。本当に本体が生きているなんて思いもしなかった。
「ルーナ?大丈夫??一体何が」
駆け足とともにこちらに一番早く駆けつけてきてくれたのはセシルちゃん。さっきの戦いで、見るからに結構な痛手を負っていると言うのに、すぐさま駆けつけてくれるその優しさに感動を覚える。本当になんで優しいんだろうか。
そして、そんなセシルちゃんが不思議そうにこちらを覗き込めば、この生き物と目が合った。
「か、可愛い」
目が合った瞬間、頬を赤らめ、動物を触りたそうに見つめるセシルちゃん。さっきまで、戦っていたはずの生き物に対する感想とは思えないが、可愛いと言うのは事実なので、それは認めよう。そして、そんな君も止めも可愛らしいよ。
「えっ、一体どうしたの?もしかしてコレが、この子が、あれの正体だったっていうの?」
驚きながらも、触りたくてうずうずしているセシルちゃんが、そんな事を訪ねてくる。
「多分そうなんでしょうね。すみません、お願いします」
そしてそのまま、はいっとセシルちゃんに、はいっともふもふを押し付ければ、初めは驚いていたがすぐにもふもふと彼女はし始めた。絵になるなぁ。まぁ、美少女ともふもふは太古の昔からセットだったからね。私が抱いているよりもいいだろう。うん、似合ってるよ。マジかわゆす!!
「…あ、この子凄い気持ちいい!!」
本当についさっきまでの緊張感は殿に行ったのやら。もふもふと堪能するセシルちゃん。見ているこっちまで、癒されるよ。本当にかわゆす!!だよ。
それにしても……とどめを刺したはず………なのに一体これは、本当にどういうことだろうか。なんで、このもふもふもは生きているんだろうか。ゲームとは正反対の展開だ。
もしかして、これって私がセシルちゃんを代替ヒロインにしたことによる改変なのかな?なんで、こうなったのかはわからないけれど、まぁ、でも、この変化が、あったからどうにかなるってわけじゃないからよしとしておこう。
それから、目当ての宝玉は何処に言ったんだろう。今回、無事に宝玉と、あのもふもふを分離することができた。だから、目の前であのもふもふがセシルちゃんと戯れているわけだ。だが、分離した宝玉が、見当たらない。一体何処にあるんだ。見た所、そこら辺には落ちてないしなぁ。
「くぅー、くぅー」
チラリともふもふに眼を向ければ、こちらに何か訴えているようだ。
「ルーナ、この子何かルーナに用があるみたい」
もふもふをぎゅっと抱きかかえながら首を担げるセシルちゃんがこちらをむく。
果たして一体なんだろうかと思いもふもふに近づけば、何処からら出したかわからない、赤色のキラキラした石が差し出される。ビー玉よりも大きいが、水晶玉よりは小さな丸い石。これが、これこそがこの度の最大の目的である宝玉だ。画面越しで見ていたよりも、ずっとキラキラして綺麗だ。成る程、見つからないと思っていたけど、まだこの子が持っていたのか。
「あぁ、これが例の宝玉か」
真後ろから聞こえてくる声にぞくりとする。いつの間に後ろにいたのだろうか。全然気がつかなかった。
「で、殿下」
「お疲れ、ルーナ。よく頑張ったね……にしても、思ったより小さいな。」
そう言って、すっと宝玉へと手を伸ばす殿下。あぁ、ヤバイ、このままでは殿下に、宝玉が!!
と思ったが、どうやらそれは杞憂に終わった
「っ!!」
殿下が、宝玉に触れようとしたが、瞬間パチリと弾かれる音。一体何がと思い、再び触るが、どうやら結果は同じようで、宝玉に触ることが出来ないみたいだ。
「大丈夫ですか、殿下?」
「あ、あぁ」
顔を覗き込めば、眼を見開いている殿下。どうやら、今、起きた事に驚いているようだ。
「……ルーナ。君は触れるかい?」
「え?……どうでしょうか」
手を伸ばし、そっと宝玉に触れて見れば、弾かれる事もなくすんなりと触れた。どうやら、殿下と違い私は触れるよう。まぁ、それもそのはずか。すっかり忘れていたけど、今思い出したよ。
願いを叶える宝玉は、原則としてその使用者と勇者にしか触れることが出来ない。使用者は、ある一定の条件を満たし、宝玉に願いを叶えてもらっている者のことを指す。つまり、今回で言うと、目の前のもふもふだ。何があったのかわからないが、使用者として認められたもふもふは、結果としてあんな姿になった。そして、もふもふと分離された今現在も、私ともふもふしか触れないと言うことは、一応まだ使用者はこのもふもふなんだろう。ゲームでは、もふもふはすでに……って感じで、使用者がいなくなっていたから誰でも触れたけれど、まだ使用者が生きている現段階では、触れることができるのは限られているようだ………多分。
何はともあれ、今の所は殿下に取られる心配も、他の奴らに取られる心配もないのでよかった。
まぁ、条件さえ満たしちゃえば、この宝玉の使用権が、他に移ってしまうのでそれは阻止していくとしよう。
「………どうやら、ルーナしかその宝玉に触れる事は出来ないみたいだね」
「そうですね」
顔にこそ出してはないが、悔しそうに宝玉に見つめる殿下。そうだよな、目的とするモノの一部が目の前にあるって言うのに、使う事はおろか触れることさえ出来ないなんて悔しいとしか言えないよな。……このまま願いを叶える事を諦めてくれたらいいんだけど、そんなに上手くはいかないよねぇ。
「では、一旦……一旦これは、私が預かって起きますね」
「あぁ、そうしてくれ」
何はともあれ、やっと手にした1つ目の宝玉。何はともあれ、一つ大きな山は越えたので、越えることが出来たのでよかったなぁと思う。結構な死亡フラグがあったのに、て言うか半分死にかけてるけど、一応ここまで生きられてよかった。この調子で、残る宝玉を集め、無事にこの旅を終えられるようにしたい。
苦しみ、もがく姿を尻目に私たちは、陣形を戻しながら黒い物体に、攻撃をし、奴を瀕死状態にまで追い詰めようとした。途中、薬が効いているはずなのに、無理矢理身体を動かそうとする黒い物体の攻撃に当たりそうになったり、実際にそれに当たりながらも、それでも無我夢中で戦ったと思う。
まぁ、はっきり言って、怪我をしていて動きを制限された為、私ができたことは少なかったので、あまり役に立てなかったけれど…………兎に角、皆んな、無我夢中で、奴と戦ったのだ。
そして、そのかいあってか、ボロボロになりながらも見事その戦いに勝利した。
今、目の前には、戦いの末、死んでしまいそうな程弱りきり黒い物体が倒れている。弱々しい呼吸としながら、慈悲をこうような瞳を私に向けながら、助けを求めるようなうめき声を上げながら、目の前で倒れている。
可哀想に思えてくるが、助けるわけにはいかない、そもそも、助け方なんて分からない。それに、このまま放って置くわけにはいかない。この聖剣で、とどめを刺さなくてはいけないのだ。今にも死にそうだが、ここで見逃せば宝玉の力で再び、元に戻るかもしれない。情けをかけたら、いけないのである。
それに、私には宝玉を集める使命がある。使命のためには、目の前の黒い物体にとどめを刺し、宝玉を手に入れる必要があるのだ。
グッと聖剣を手を握りしめ、倒れている黒い物体の前に立つ。聖剣でしかとどめを刺さない。つまり聖剣の持ち主である私が、とどめを刺すしかない。
「ゔゔぅーーー…ぐぅゔぅ」
目の前の奴は、既に弱り切っている。今のところは、攻撃してくる心配はないだろう。これだったら安心して留めを指すことが出来る。これは、とどめを刺す事のできる、大きなチャンスだ。
右肩は、あんまり動かしたくない。そのため、慣れない左腕で、聖剣を持ち、無抵抗の黒い物体に剣を向ける。
瞬間、やつのその瞳に私が映る。心なしがこの黒い物体は怯えているような気がした。果たして、自分がやろうとしている事は正しいのか。此奴は、宝玉の所為でこうなってしまっただけであるのに……とそんな考えが頭によぎる。いや、なにを考えている。情けは無用だ。生き残る為には、この聖剣を振り落とすしかないのだ。グッと左腕に力を込め、私はそのまま聖剣を振り下ろした。あぁ、そんな目で、見ないでくれ。
完全に聖剣を振り下ろしたその時だった。まばゆい光が聖剣から発せられた。目を開けていられない程の眩しい光。耐えきれずに、顔を逸らし目をつむる。一体何が起きたのかわからなかった。ゲームではこんな事あったけ………いや倒した後は、倒され無残な姿になった本体と宝玉が分離していたはず。……こんな事はなかった。と言うのに、一体どう言う事だろう。
どれくらい時間が経ったのだろう。光の強さは弱まったものの未だに消える事はない光。本当に何が起こっているのだろう。
確認する為、そっと、目をなんとか開き、目の前の黒い物体を見ようとしたが、そこに黒い物体はいない。果たしてどこに言ったのか。もしかして、既に宝玉と分離したのだろうかと思い、目を細めて確認しようとした。
その時だった。聖剣から放たれた光はふっと消えたかと思えば、視界は真っ暗。
「ぐわぁ!!」
何かが思い切り顔面に衝突した。いきなりのことだった為、バランスが崩れそのまま後ろに倒れ、尻餅をつく。目の前は真っ暗。何が起きたのかわからない。しかもなんか、ふわふわであったかいのが、顔にくっついてる。
ざわざわと殿下達が後ろで騒いでいるのが聞こえる。その内容は詳しくは聞こえないが、どうやら何かに驚いているようだ。
考えるに、私の顔面にくっついているこれに対して、驚いているのだろう。
にしてもこれはなんだろうか。一向に顔から離れない。………もしかし本体!?倒した本体のがくっついてるの!??それってつまり………あれだろ!?
ひぇぇぇ。とどめを刺しておいてなんだが、流石にそれは嫌だ。
「くぅ~」
両手で、引き離そうと、もふもふしたものに手をかけたその瞬間たその時聞こえてきた声。つい先程までの、あの黒い物体とは違い、高く可愛い鳴き声が、聞こえてくる。
一瞬思考が停止した。もしかして、これはあの黒い物体の本体なのだろうか。た、倒したはずなのである。ゲームでは倒されていたのである。なのに、なぜ声が聞こえてくるのであろうか。
そのまま、べりっと思い切り両手で、顔面にひっつくモノを引き剥がせば、うるうるの瞳と目が合う。
私の手元にいるのはうわうわの毛に、ウサギのように長い耳、可愛らしい瞳をした動物。そう、これこそがあの黒い物体の本体。元々の姿の動物だ。なんと言う事だろうか。本当に本体が生きているなんて思いもしなかった。
「ルーナ?大丈夫??一体何が」
駆け足とともにこちらに一番早く駆けつけてきてくれたのはセシルちゃん。さっきの戦いで、見るからに結構な痛手を負っていると言うのに、すぐさま駆けつけてくれるその優しさに感動を覚える。本当になんで優しいんだろうか。
そして、そんなセシルちゃんが不思議そうにこちらを覗き込めば、この生き物と目が合った。
「か、可愛い」
目が合った瞬間、頬を赤らめ、動物を触りたそうに見つめるセシルちゃん。さっきまで、戦っていたはずの生き物に対する感想とは思えないが、可愛いと言うのは事実なので、それは認めよう。そして、そんな君も止めも可愛らしいよ。
「えっ、一体どうしたの?もしかしてコレが、この子が、あれの正体だったっていうの?」
驚きながらも、触りたくてうずうずしているセシルちゃんが、そんな事を訪ねてくる。
「多分そうなんでしょうね。すみません、お願いします」
そしてそのまま、はいっとセシルちゃんに、はいっともふもふを押し付ければ、初めは驚いていたがすぐにもふもふと彼女はし始めた。絵になるなぁ。まぁ、美少女ともふもふは太古の昔からセットだったからね。私が抱いているよりもいいだろう。うん、似合ってるよ。マジかわゆす!!
「…あ、この子凄い気持ちいい!!」
本当についさっきまでの緊張感は殿に行ったのやら。もふもふと堪能するセシルちゃん。見ているこっちまで、癒されるよ。本当にかわゆす!!だよ。
それにしても……とどめを刺したはず………なのに一体これは、本当にどういうことだろうか。なんで、このもふもふもは生きているんだろうか。ゲームとは正反対の展開だ。
もしかして、これって私がセシルちゃんを代替ヒロインにしたことによる改変なのかな?なんで、こうなったのかはわからないけれど、まぁ、でも、この変化が、あったからどうにかなるってわけじゃないからよしとしておこう。
それから、目当ての宝玉は何処に言ったんだろう。今回、無事に宝玉と、あのもふもふを分離することができた。だから、目の前であのもふもふがセシルちゃんと戯れているわけだ。だが、分離した宝玉が、見当たらない。一体何処にあるんだ。見た所、そこら辺には落ちてないしなぁ。
「くぅー、くぅー」
チラリともふもふに眼を向ければ、こちらに何か訴えているようだ。
「ルーナ、この子何かルーナに用があるみたい」
もふもふをぎゅっと抱きかかえながら首を担げるセシルちゃんがこちらをむく。
果たして一体なんだろうかと思いもふもふに近づけば、何処からら出したかわからない、赤色のキラキラした石が差し出される。ビー玉よりも大きいが、水晶玉よりは小さな丸い石。これが、これこそがこの度の最大の目的である宝玉だ。画面越しで見ていたよりも、ずっとキラキラして綺麗だ。成る程、見つからないと思っていたけど、まだこの子が持っていたのか。
「あぁ、これが例の宝玉か」
真後ろから聞こえてくる声にぞくりとする。いつの間に後ろにいたのだろうか。全然気がつかなかった。
「で、殿下」
「お疲れ、ルーナ。よく頑張ったね……にしても、思ったより小さいな。」
そう言って、すっと宝玉へと手を伸ばす殿下。あぁ、ヤバイ、このままでは殿下に、宝玉が!!
と思ったが、どうやらそれは杞憂に終わった
「っ!!」
殿下が、宝玉に触れようとしたが、瞬間パチリと弾かれる音。一体何がと思い、再び触るが、どうやら結果は同じようで、宝玉に触ることが出来ないみたいだ。
「大丈夫ですか、殿下?」
「あ、あぁ」
顔を覗き込めば、眼を見開いている殿下。どうやら、今、起きた事に驚いているようだ。
「……ルーナ。君は触れるかい?」
「え?……どうでしょうか」
手を伸ばし、そっと宝玉に触れて見れば、弾かれる事もなくすんなりと触れた。どうやら、殿下と違い私は触れるよう。まぁ、それもそのはずか。すっかり忘れていたけど、今思い出したよ。
願いを叶える宝玉は、原則としてその使用者と勇者にしか触れることが出来ない。使用者は、ある一定の条件を満たし、宝玉に願いを叶えてもらっている者のことを指す。つまり、今回で言うと、目の前のもふもふだ。何があったのかわからないが、使用者として認められたもふもふは、結果としてあんな姿になった。そして、もふもふと分離された今現在も、私ともふもふしか触れないと言うことは、一応まだ使用者はこのもふもふなんだろう。ゲームでは、もふもふはすでに……って感じで、使用者がいなくなっていたから誰でも触れたけれど、まだ使用者が生きている現段階では、触れることができるのは限られているようだ………多分。
何はともあれ、今の所は殿下に取られる心配も、他の奴らに取られる心配もないのでよかった。
まぁ、条件さえ満たしちゃえば、この宝玉の使用権が、他に移ってしまうのでそれは阻止していくとしよう。
「………どうやら、ルーナしかその宝玉に触れる事は出来ないみたいだね」
「そうですね」
顔にこそ出してはないが、悔しそうに宝玉に見つめる殿下。そうだよな、目的とするモノの一部が目の前にあるって言うのに、使う事はおろか触れることさえ出来ないなんて悔しいとしか言えないよな。……このまま願いを叶える事を諦めてくれたらいいんだけど、そんなに上手くはいかないよねぇ。
「では、一旦……一旦これは、私が預かって起きますね」
「あぁ、そうしてくれ」
何はともあれ、やっと手にした1つ目の宝玉。何はともあれ、一つ大きな山は越えたので、越えることが出来たのでよかったなぁと思う。結構な死亡フラグがあったのに、て言うか半分死にかけてるけど、一応ここまで生きられてよかった。この調子で、残る宝玉を集め、無事にこの旅を終えられるようにしたい。
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