ヒロインは他に任せて

オウラ

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エスト公国にて

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 さて、どうするべきなのだろうか。セシルちゃんは自分の気持ちに気がついてない、そして、今日の反応だと誰かに指摘されても、その恋心に気がつくことはないだろう。逆に、ディルクは乙女心のわからない堅物だ、まぁ?あいつ、ゲームでは、両思いとわかったら一気に糖度が上がってたよ。でも、こちらが好意を示さなかったら、自分の気持ちを言わない!友人関係を貫き通す!と、そんな感じの相手だった。鈍感に、堅物、そんな2人が、簡単に、はい、両思いだね!やったー、めでたし、めでたし、結ばれたよ。と成るわけがない、ならないだろう。このままでは、今のままでは、2人の関係は永遠に平行線状態、いつまで経っても、ディルクルートに入らない、そして私はbatエンドという可能性が高い、と言うかその可能性しか見えない
 まったく、せっかく2人の気持ちがわかって、よっしゃーーと喜ぼうとしたのにとんだ誤算だ。なんとかして、2人の距離を縮めねば。セシルちゃんに自分の気持ちを自覚させなければ、そうしなければ、上手いとこ、ディルクルートに行ってくれないと、私の未来は、真っ暗じゃないか。
 あー、でも、残念なことに、どうしようかと考えても全くアイディアなんか思いつかないなぁ。まぁ、それもそのはずか。自分のさえままならないのに、他人の恋愛の事なんか分かるわけもない。前世でさえ、恋人がいなかった人間が、他人の恋愛を語る資格など、どこにもないのだ。2人をくっつける方法なんて、どう足掻いたって見つかりっこない。あぁ、こんな時、恋愛マスターがいたらなぁ。






「くぅー」
「やっぱり、君のさわり心地も最高だねぇ、ポチ。って、どうしたんだい?」



 恋愛が、得意な人ってどっかにいないかな。




「くぅ、くぅ」
「あぁ、ルーナちゃんのところに行きたいんだ。うーん、でも、なんか考え事しているみたいだよ」




 あー、いや、そんな簡単にはいないか、というかそんな奴いたら、ムカつくしな。あー、どうしようか、本当に、どうやってあの2人をくっつけようか。





「くぅーん」
「あ!!ルーナちゃん、危ない!!」



 さっきから、ぼそぼそと聞こえていたルイの声が、急に大きくなる。ビクッと体を震わせながら、果たして、何だと顔を上げれば、何故かポチがこちらに、ぴょーんと飛んでくるのが見えた。

「って、うわ!!ポチ!?」

 気がついたら、ボスッと私に抱きついてくるポチ。ふわふわの柔らかい感覚が伝わってくる。……って、いきなりびっくりした。

「あぁ、ごめん、ごめん。ルーナちゃん。いきなりびっくりしたよね」
「あぁ、はい」
「でも、許してあげて。今日一日ルーナちゃんの近くにいなかったから、きっとさみしかったんだよ。ポチも。俺と一緒にいるときも、なんか心なし寂しそうだったし」

 ふーん。と言う事は、ルイが今日一日ポチのことを見ていてくれたのか。まぁ、私の周りには、いなかったから、誰か別の人が面倒見てくれているんだろうなぁと思ってはいたが、ルイがねぇ。いやはや、ある意味驚いた。彼のことだから、1人夜の街の下見に行く物だと思っていた。でも、話を聞くに、普通に観光していたみたい。珍しい事もあるものだ。




「………そうですか。それは、何というか悪いことをしたのかな?」


 最近と言うか出会った当初からから、罪悪感がハンパない為、基本的にポチとは距離を置いているのだが、寂しいとそんな風に思われているのか。それは、なんと言うか、逆に悪い事をしたかもなぁ。と、ぎゅぅっと私にしがみつくポチを見れば、何故かここぞとばかりにウルウルとした瞳をこちらに向けてくる。うぅ、ポチさんよ…そんな目で見ないでくれ。なんて言うか、ひしひしと、じわじわと、なんとも言えない罪悪感がわくから!!
 本当に、何で、この子こんなに私に懐いているんだろう。殺そうとしたんだ、嫌われるのは理解できても好かれるなんて、可笑しいだろ。やっぱり、なんて言うか、普通に接することなんて、出来ない。











「ルーナちゃん。眉間にシワが寄ってるよ」

 苦笑いをされながら、ぴっと此方に差し出されたルイの人差し指が、私の方へと向けられた。どうやら、思っていた事が表情として出てしまったようである。


「……んー、あれだよねぇ。あのさ、そんな顔をされる方が、ポチは寂しいと思うよ」
「へ?」
「うん、だからね。君はこの子に対して、罪悪感があるみたいだけど、きっとポチはそんな事を微塵も考えなないんじゃないかなぁ」

 微塵も考えてない。いや、そんな事ないだろ、あの時私は確実に、トドメを刺す覚悟で聖剣を向けたのだ。そして、多分それはポチもわかっていたはず。だから、微塵もそんな事をポチが考えてないなんてあり得ない…………だよね?と両腕に収まってるポチを見れば、さっきよりもキラキラとした目で私を見つめてくる。え、なにその表情、なんでそんなに嬉しそうなの!!

「嫌いな相手に対して、こんなキラキラな純粋無垢な目は向けないよ。やっぱりポチは、君のことが大好きなんだ。……過程はどうあれ、結果としては、君は、ポチの恩人だから……助けてくれたから、恩義を、恩義だけを感じているんじゃない?」
「そうですかね」
「そうに決まってるよ」
「うーん」

 実際ポチが私の事をどんな風に思っているのかはわからない。だけど、まぁ、ポチが異様に私に懐いている事は、一応、事実だ。ルイの言う通り、罪悪感を感じていつまでたっても、ポチを避けるのは……逆に良くないのかもしれない。少しずつ歩み寄った方がいいのかもしれない。というか、あれだな。ウジウジ考えているのも、ある種バカみたいだし。一層の事開き直るのも一つの手か……


「そうですね。これからは、ちゃんと、少しづつ向き合ってみます」

 ふわふわな毛を撫でてみる。嬉しそうな顔をするポチ。うーん、まだなんか変な感じがするけど、喜んでくれるならいいか。

「うん、うん。よかったね、ポチ」
「くぅーん」

 ニコニコっと、ポチに話しかけるルイ。なんて言うか、最近、ルイのこんな顔をよくみる気がする。何処と無く子供っぽく笑う姿。どっちかと言うと、色っぽい顔立ちだし、ゲームでも、そんな立ち位置だったせいか、こんな表情はあまり見なかったから、なんて言うか新鮮だなぁ。

「なに?ルーナちゃん、そんなに俺を見つめちゃって。もしかして、俺の優しさに惚れちゃった?」
「ルイ殿に惚れる確率なんて、隕石に衝突する確率よりも低いですよ。」
「相変わらず、辛辣!!」

 まぁ、あれだ。いくら、ルイの子供っぽい笑顔が新鮮だからといっても、奴のやってる事は変わらないようだ。
 すぐに、そっちへと持っていこうとする。この恋愛脳が!性職者が!もっと慎みを持てよ。
 あー、でも、あれかもなぁ。思えば、ちょっとでも、ディルクか、セシルちゃんが、ルイみたいな性格だったら、いやここまでとはいかなくても、少しは恋愛に興味のある、積極性のある性格だったら、よかったかもしれないなぁ。そうしたら、私の計画は順調に進むんだろうなぁ。どうやって、2人をくっつけようかな、本当に。



 …………………あ!!!



「れ、恋愛マスター!!」
「え、なにいきなり。ルーナちゃん?」

 そうだ、ルイがいるじゃないか。星の数ほど女を落としてきた男。彼にかかれば、恋愛の一つや二つ容易い問題なのでは?私とは違って、なにかこう言う時の打開策とか、思いつくんじゃ!?

「とりあえず、無駄に女性を落としてきた、ルイ殿の力を貸してくれませんか?」
「……え、本当にどうしたの。ルーナちゃん!?」

 なんか、ルイが困惑しているようだけど、そんな事はどうでもいい。さぁ、早く教えてくれ。どうやったらあの2人をくっつける事が出来るのかをさ!
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