とある元令嬢の選択

関係者の末路

「ミラーユと王太子が画策して聖女様を虐めてたぁっ！？」

「えぇ、ホントに呆れてしまう話ですね」

　立ち話もなんなのでカフェへとやって来たアメリアはレイチェルの話を聞いて思わず大声を出した。

「聖女様は学園内や王宮で度々嫌がらせを受けていたみたいで挙句の果てには過度のストレスでたおられてしまったんです」

「その主犯がミラーユと王太子だった、と言う事？」

「はい、自分より目立っていたりチヤホヤされたりするのが許せなかったみたいで……」

「なんて幼稚な理由で……」

　アメリアは頭痛がしてきた。

　そして、下手したら自分も巻き込まれていたんじゃないか、と思うとゾッとした。

「でも倒れるまで気づかなかったの？」

「上手く隠蔽されていたみたいですね、教会からのクレームで調査して全てわかったみたいで……」

　聖女を管轄しているのは教会だ、そして教会は王族と同じくらいの権力を持っている。

(確か教会の司祭長は国王様の弟君よね、そしてこの２人はあまり仲が良くない、と言う噂だから……)

「それで処分されたのね……」

　アメリアはかつての元婚約者の末路に色々考え込んでしまう。

「それでミラーユはどうなったの？」

「ミラーユ様は修道院で躾け直されるみたいですよ、もう一生表舞台には出てこれないみたいですよ、それで責任をとってイッシュロイヤー家のお取り潰しが決定したようです」

(お父様が知ったら複雑だろうなぁ……)

　元実家の転落ぶりにアメリアは溜息を出すしかなかった。


「そうか、まぁいずれはそうなるだろうと思っていた」

　帰宅したアメリアはロナウドに話をしたらあっさりとした答えが返ってきた。

「お父様は没落する事に気づいていたんですか？」

「聖女が現れた、と言う時点で時代の変わり目が来たな、と予測は出来た。　それにスチュアートは……、言っては悪いが役目不足だ。　きっとしくじりをするだろうと思っていたがまさか娘に足を引っ張られるとは思わなかっただろう」

「ミラーユは更生できるんでしょうか？」

「それは難しいな、多分ミラーユが行くのは特別修道院、過ちを侵した令息令嬢が行く場所だ。彼処はかなり厳しいと言うし黒い噂もあるからな」

「黒い噂……」

　その噂がなんなのか聞きたい気持ちもアメリアにはあったがグッと堪える事にした。