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少年期[797]起爆剤となる咆哮
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オルディア王国の第二王子であるゼブリックがゼルートたちの働きに感心している中、親であるガレンやレミアたちも息子やその仲間たちの働きに驚きながらも、あれぐらいはやってみせるだろうという気持ちもあった。
(まぁ、それにしても初っ端から派手にやったな、ゼルートの奴。冒険者や宮廷魔術師の中でも、あんな短時間であそこまで強力な魔法を展開できるのは、おそらくゼルートぐらいだろ)
ガレンはゼルートが最初に発動したメテオワイバーンスコールの威力、効果範囲にも十分驚かされたが、その後に発動した煉獄の凶弾と天竜の戯れの展開スピード。
基本的に剣術をメインに戦うガレンからすれば、強烈な広範囲攻撃魔法を使用した後に、速攻で二種類もの特大魔法を放つ……そんなことが出来る相手など、最も敵対したくない。
(ふふ、いきなりとんでもない事をするじゃない。流石私とガレンの息子ね!!!)
息子の行動に感嘆しながらも、敵対すれば本当に恐ろしい存在だと感じているガレンに対し、母親であるレミアはゼルートの暴れっぷりに感心しかしていなかった。
他家の夫人たちとのお茶会では長男のクライレット、長女のレイリアの自慢が堪え切れずに漏れてしまうレミアだが、勿論ゼルートの手紙や耳に入る話もうっかり自慢している。
そんなレミアにとって、子供たちが活躍している様は非常に誇らしかった。
故に……子供たちにとって、自分も自慢出来る親でありたいという思いが強い。
「ガレン、私たちも暴れましょうか」
「あぁ、賛成だ。ただ……レミア、君は一応魔法使い。後衛なのだから、あまり前に出過ぎないように気を付けてくれよ」
「えぇ、勿論そこは気を付けるわ」
冒険者時代を思い返すと、ガレンはやはりそこが少し心配に思ってしまうが、今心配しても仕方ないので頭を切り替える。
「死にたい奴から掛かって来い!!!!!」
自分たちよりも前方の位置から、明らかに自分たちの息子の声が聞こえた。
「「…………」」
元気はつらつ過ぎる息子の声が聞こえたガレンとレミアは、思わず固まってしまった。
勿論敵兵や冒険者たちを潰すために、進撃の脚は止めてない。
止めてはいないが……それでも数秒の間、自身の顔が完全に無表情になっていたのには気が付いた。
息子はいきなり後方から前方に飛び出し、とんでもない挑発を敵側に向けて放ったのだと……流石にこの発言には、ガレンとレミアもただただ驚いた。
だが……オルディア王国側の兵士や冒険者、騎士たちにとっては背中を押し、闘志を更に奮い立たせてくれる起爆剤となった。
「「「「「「うぉおおおおおおおおおおおッ!!!!!!!」」」」」」」
「ふむ、ゼルートらしい宣言だな。頼もしさを感じる内容だ……そう思わないか、ガレン」
「あ、あぁ……そ、そうだな」
「ただ、ゼルートらしい優しさもあるがな」
「優しさ? ……なるほど、そういうことか。確かにそういった部分もあるな」
死にたい奴から掛かって来い。
つまり、死にたくない奴は逃げても構わない、とも捉えられる内容。
実際に、ゼルートは基本的には自分に襲い掛かってくる者にしか攻撃していない。
遠距離攻撃でうっかり殺ってしまうことはあるが、それは戦場なので仕方ないと言える。
ただ、自分との戦闘を避ける冒険者などは、むやみに追いかけて殺そうとはしない。
そういった部分は、やはりゼルートの良心が反映されている……かもしれないが、違う場所に向かったところで敵がいることに変わりはない。
ゼルートやゲイルとの戦闘を避けたところで、もしかしたらガレンやグレイス、アルゼルガたちに殺されてしまう可能性だってある。
ただ単純に、その一瞬でゼルートやゲイルには殺されなかったが、逃げたところで殺される相手が変わっただけ……なのかもしれない。
(まぁ、そういったところも含めて戦場だ)
ガレンは心の帯を締め直し、冒険者時代から使っている愛剣を抜いた。
(まぁ、それにしても初っ端から派手にやったな、ゼルートの奴。冒険者や宮廷魔術師の中でも、あんな短時間であそこまで強力な魔法を展開できるのは、おそらくゼルートぐらいだろ)
ガレンはゼルートが最初に発動したメテオワイバーンスコールの威力、効果範囲にも十分驚かされたが、その後に発動した煉獄の凶弾と天竜の戯れの展開スピード。
基本的に剣術をメインに戦うガレンからすれば、強烈な広範囲攻撃魔法を使用した後に、速攻で二種類もの特大魔法を放つ……そんなことが出来る相手など、最も敵対したくない。
(ふふ、いきなりとんでもない事をするじゃない。流石私とガレンの息子ね!!!)
息子の行動に感嘆しながらも、敵対すれば本当に恐ろしい存在だと感じているガレンに対し、母親であるレミアはゼルートの暴れっぷりに感心しかしていなかった。
他家の夫人たちとのお茶会では長男のクライレット、長女のレイリアの自慢が堪え切れずに漏れてしまうレミアだが、勿論ゼルートの手紙や耳に入る話もうっかり自慢している。
そんなレミアにとって、子供たちが活躍している様は非常に誇らしかった。
故に……子供たちにとって、自分も自慢出来る親でありたいという思いが強い。
「ガレン、私たちも暴れましょうか」
「あぁ、賛成だ。ただ……レミア、君は一応魔法使い。後衛なのだから、あまり前に出過ぎないように気を付けてくれよ」
「えぇ、勿論そこは気を付けるわ」
冒険者時代を思い返すと、ガレンはやはりそこが少し心配に思ってしまうが、今心配しても仕方ないので頭を切り替える。
「死にたい奴から掛かって来い!!!!!」
自分たちよりも前方の位置から、明らかに自分たちの息子の声が聞こえた。
「「…………」」
元気はつらつ過ぎる息子の声が聞こえたガレンとレミアは、思わず固まってしまった。
勿論敵兵や冒険者たちを潰すために、進撃の脚は止めてない。
止めてはいないが……それでも数秒の間、自身の顔が完全に無表情になっていたのには気が付いた。
息子はいきなり後方から前方に飛び出し、とんでもない挑発を敵側に向けて放ったのだと……流石にこの発言には、ガレンとレミアもただただ驚いた。
だが……オルディア王国側の兵士や冒険者、騎士たちにとっては背中を押し、闘志を更に奮い立たせてくれる起爆剤となった。
「「「「「「うぉおおおおおおおおおおおッ!!!!!!!」」」」」」」
「ふむ、ゼルートらしい宣言だな。頼もしさを感じる内容だ……そう思わないか、ガレン」
「あ、あぁ……そ、そうだな」
「ただ、ゼルートらしい優しさもあるがな」
「優しさ? ……なるほど、そういうことか。確かにそういった部分もあるな」
死にたい奴から掛かって来い。
つまり、死にたくない奴は逃げても構わない、とも捉えられる内容。
実際に、ゼルートは基本的には自分に襲い掛かってくる者にしか攻撃していない。
遠距離攻撃でうっかり殺ってしまうことはあるが、それは戦場なので仕方ないと言える。
ただ、自分との戦闘を避ける冒険者などは、むやみに追いかけて殺そうとはしない。
そういった部分は、やはりゼルートの良心が反映されている……かもしれないが、違う場所に向かったところで敵がいることに変わりはない。
ゼルートやゲイルとの戦闘を避けたところで、もしかしたらガレンやグレイス、アルゼルガたちに殺されてしまう可能性だってある。
ただ単純に、その一瞬でゼルートやゲイルには殺されなかったが、逃げたところで殺される相手が変わっただけ……なのかもしれない。
(まぁ、そういったところも含めて戦場だ)
ガレンは心の帯を締め直し、冒険者時代から使っている愛剣を抜いた。
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