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第06章 竜界編
16 雷竜の力
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全竜の姿に変化した蓮太が雷竜に殴りかかる。だが蓮太は力の一割も出していない。それにもかかわらず、雷竜は全力で蓮太の攻撃をガードし続けていた。
《くっそっ!! 一撃一撃が重いっ!》
《オラオラどうした雷竜っ! 修行した力ってなぁそんなもんか!》
《うっせぇぇぇぇぇぇぇっ!! オラァッ!》
《おっと》
あえて隙を見せると的確に隙をついてくる。雷竜の格闘センスは他の竜に比べ抜きん出ていた。
《はぁっ、はぁっ! くそっ、神経加速させても当たらねぇとはっ! バケモンがっ!》
《はぁん? なるほどなぁ。雷で神経系をイジってやがったのか。止めときな、脳が焼き切れちまうぜ?》
《テメェを倒せんなら死んでも構わねぇんだよっ! 氷竜をいたぶった罪……その命で償えっ! ハァァァァァァァァァッ!!》
雷竜の両腕に雷の力が集まっていく。
《貫けぇっ! 【超電磁砲】!!》
《むっ! 【リフレクション】!》
蓮太は正面から凄まじい速さで向かってくる砲撃に対し腕をクロスし、反射魔法を使った。
《あ、しまっ──》
《シャアァァァァァァッ!》
反射した砲撃は雷属性だ。つまり、雷竜は跳ね返ってきた砲撃を受け、さらにパワーアップしてしまった。
《水の泡ったな全竜っ!! 【瞬雷】!!》
フッと雷竜の姿が消えた瞬間にはもう雷竜の姿は蓮太の懐にあり、雷竜の渾身の一撃が蓮太の腹に叩き込まれた。
《ラァァァァッ!! 【超電磁砲:双螺旋】!!》
《ば、バカなっ! ぐぶっ──》
蓮太の腹に風穴が開く。真っ赤な鮮血が雷竜を朱に染め上げた。
《くたばりやがれ全竜っ!》
《ちっ!》
蓮太は後方に転移し、腹に手を当てた。
《……エクストラヒール》
《なっ!? か、回復魔法……だと!?》
蓮太の傷が塞がる。だが失われた血までは戻らない。そこで蓮太はアイテムボックスからネクタルを取り出し、瓶を口に咥えた。
《やってくれんじゃねぇか》
《……お前、全竜じゃないな。誰だ!》
《ほう? なぜそう思う》
雷竜は警戒しながらもこう口にした。
《全竜は怪我をした事すらねぇ。だから完全回復魔法なんざ使えねぇんだ。それに……アイテムボックスなんてスキルは持っちゃいなかった!》
《ふっ……ははははははははっ! よっと》
《──っ!?》
蓮太は変化を解除し、本来の姿を晒した。
《ま、まさか……神……竜?》
《おう。いかにも俺は神竜だ。名前はレンタ、悪いが全竜は俺が殺らせてもらったぜ》
《ぜ、全竜を殺った!? ほ、本当か!?》
《ああ。クソ雑魚だったわ。ワンチャンお前の方が強いかもよ》
《は……はははっ、そうか……野郎ようやく死にやがったか! はははははははっ!》
雷竜は腹を抱えて笑っていた。そこで雷神刀が雷神の姿になり顕現した。
《全く、ワシを使えば腹に穴なんぞ開かなかったものを》
《え? ま、まさか……貴方様は……ら、雷……神! ははぁっ!》
雷神の姿を見た雷竜はその場に跪いた。
《よい、頭を上げよ雷竜》
《はっ!》
そんな雷神に蓮太が尋ねた。
《え? お前らどんな関係?》
《ふむ。関係は特にない。だが、雷を使う竜には大小の差はあれど等しく加護を与えておる。ワシの加護があるとないとでは技の威力、成長速度が全く違うのだ。主もワシを腕に宿した時に使ったであろう?》
《あれな……。もう二度と宿るなよ》
《かかかかかっ》
《あ、あの~……》
ん?
なにやら毒気を抜かれた雷竜が蓮太達に話し掛けた。
《レンタ様は雷神様の試練を越えられたのに……なぜ俺の技を受けたんでしょうか?》
《ああ、それはお前の力を知りたかったからだよ》
《俺の力?》
《そうだ。俺は元人間でな》
《へ?》
《知らない間に闇竜に血を飲まされてさ、竜になっちまったんだわ。で、他の奴らも血を飲ませたおかげで地上世界にいられなくなっちまってよ。それでとりあえずいつでも地上に戻れるように神竜になったんだ》
《な、なんか壮絶な人生っすね……》
《まぁな。俺はのんびり暮らしたいって言ってんだけどさ。向こうからトラブルがひっきりなしにやってくるわけよ》
蓮太は巻き込まれ体質だった。
《それでな、今塔の近くに拠点を建てて全員で暮らしてんだ。お前も来いよ雷竜》
《……ぜ、全員って……。氷竜の奴もいるんですか?》
《いや、まだだ。この後向かう予定だ》
《そ、それ! 俺もついていっちゃダメですか?》
《なに?》
雷竜は再び蓮太に向かい頭を下げた。
《俺は……っ! 昔氷竜が全竜の野郎にヤられている事を見ている事しかできなかった! ブルっちまって動けなかったんだ! だから……一言謝りたいんだ!》
《そうか。わかったよ雷竜、ついてきな》
《あ、ありがとうございますっ! 道中の露払いは俺が!》
《いや、それは必要ない》
《え?》
蓮太は雷竜に天竜と自分の子ども達の暴れっぷりを話した。
《て、天神竜~? そんな種族初めて聞きました》
《そりゃあ俺が最初だろうからな。まぁ、そんなわけでこの竜界にはもう全竜の蒔いた種は残っちゃいない。属性竜以外はな》
《そうだったんすね……。俺が修行してる間に色々変わっちゃいましたね》
《良い方向にな。後は氷竜を仲間にして竜界を統一するだけだ。これが終わればのんびり暮らせる。行くぞ雷竜》
《うっす!》
こうして雷竜を味方にし、蓮太は残る最後の一体である氷竜がいる北へと向かうのだった。
《くっそっ!! 一撃一撃が重いっ!》
《オラオラどうした雷竜っ! 修行した力ってなぁそんなもんか!》
《うっせぇぇぇぇぇぇぇっ!! オラァッ!》
《おっと》
あえて隙を見せると的確に隙をついてくる。雷竜の格闘センスは他の竜に比べ抜きん出ていた。
《はぁっ、はぁっ! くそっ、神経加速させても当たらねぇとはっ! バケモンがっ!》
《はぁん? なるほどなぁ。雷で神経系をイジってやがったのか。止めときな、脳が焼き切れちまうぜ?》
《テメェを倒せんなら死んでも構わねぇんだよっ! 氷竜をいたぶった罪……その命で償えっ! ハァァァァァァァァァッ!!》
雷竜の両腕に雷の力が集まっていく。
《貫けぇっ! 【超電磁砲】!!》
《むっ! 【リフレクション】!》
蓮太は正面から凄まじい速さで向かってくる砲撃に対し腕をクロスし、反射魔法を使った。
《あ、しまっ──》
《シャアァァァァァァッ!》
反射した砲撃は雷属性だ。つまり、雷竜は跳ね返ってきた砲撃を受け、さらにパワーアップしてしまった。
《水の泡ったな全竜っ!! 【瞬雷】!!》
フッと雷竜の姿が消えた瞬間にはもう雷竜の姿は蓮太の懐にあり、雷竜の渾身の一撃が蓮太の腹に叩き込まれた。
《ラァァァァッ!! 【超電磁砲:双螺旋】!!》
《ば、バカなっ! ぐぶっ──》
蓮太の腹に風穴が開く。真っ赤な鮮血が雷竜を朱に染め上げた。
《くたばりやがれ全竜っ!》
《ちっ!》
蓮太は後方に転移し、腹に手を当てた。
《……エクストラヒール》
《なっ!? か、回復魔法……だと!?》
蓮太の傷が塞がる。だが失われた血までは戻らない。そこで蓮太はアイテムボックスからネクタルを取り出し、瓶を口に咥えた。
《やってくれんじゃねぇか》
《……お前、全竜じゃないな。誰だ!》
《ほう? なぜそう思う》
雷竜は警戒しながらもこう口にした。
《全竜は怪我をした事すらねぇ。だから完全回復魔法なんざ使えねぇんだ。それに……アイテムボックスなんてスキルは持っちゃいなかった!》
《ふっ……ははははははははっ! よっと》
《──っ!?》
蓮太は変化を解除し、本来の姿を晒した。
《ま、まさか……神……竜?》
《おう。いかにも俺は神竜だ。名前はレンタ、悪いが全竜は俺が殺らせてもらったぜ》
《ぜ、全竜を殺った!? ほ、本当か!?》
《ああ。クソ雑魚だったわ。ワンチャンお前の方が強いかもよ》
《は……はははっ、そうか……野郎ようやく死にやがったか! はははははははっ!》
雷竜は腹を抱えて笑っていた。そこで雷神刀が雷神の姿になり顕現した。
《全く、ワシを使えば腹に穴なんぞ開かなかったものを》
《え? ま、まさか……貴方様は……ら、雷……神! ははぁっ!》
雷神の姿を見た雷竜はその場に跪いた。
《よい、頭を上げよ雷竜》
《はっ!》
そんな雷神に蓮太が尋ねた。
《え? お前らどんな関係?》
《ふむ。関係は特にない。だが、雷を使う竜には大小の差はあれど等しく加護を与えておる。ワシの加護があるとないとでは技の威力、成長速度が全く違うのだ。主もワシを腕に宿した時に使ったであろう?》
《あれな……。もう二度と宿るなよ》
《かかかかかっ》
《あ、あの~……》
ん?
なにやら毒気を抜かれた雷竜が蓮太達に話し掛けた。
《レンタ様は雷神様の試練を越えられたのに……なぜ俺の技を受けたんでしょうか?》
《ああ、それはお前の力を知りたかったからだよ》
《俺の力?》
《そうだ。俺は元人間でな》
《へ?》
《知らない間に闇竜に血を飲まされてさ、竜になっちまったんだわ。で、他の奴らも血を飲ませたおかげで地上世界にいられなくなっちまってよ。それでとりあえずいつでも地上に戻れるように神竜になったんだ》
《な、なんか壮絶な人生っすね……》
《まぁな。俺はのんびり暮らしたいって言ってんだけどさ。向こうからトラブルがひっきりなしにやってくるわけよ》
蓮太は巻き込まれ体質だった。
《それでな、今塔の近くに拠点を建てて全員で暮らしてんだ。お前も来いよ雷竜》
《……ぜ、全員って……。氷竜の奴もいるんですか?》
《いや、まだだ。この後向かう予定だ》
《そ、それ! 俺もついていっちゃダメですか?》
《なに?》
雷竜は再び蓮太に向かい頭を下げた。
《俺は……っ! 昔氷竜が全竜の野郎にヤられている事を見ている事しかできなかった! ブルっちまって動けなかったんだ! だから……一言謝りたいんだ!》
《そうか。わかったよ雷竜、ついてきな》
《あ、ありがとうございますっ! 道中の露払いは俺が!》
《いや、それは必要ない》
《え?》
蓮太は雷竜に天竜と自分の子ども達の暴れっぷりを話した。
《て、天神竜~? そんな種族初めて聞きました》
《そりゃあ俺が最初だろうからな。まぁ、そんなわけでこの竜界にはもう全竜の蒔いた種は残っちゃいない。属性竜以外はな》
《そうだったんすね……。俺が修行してる間に色々変わっちゃいましたね》
《良い方向にな。後は氷竜を仲間にして竜界を統一するだけだ。これが終わればのんびり暮らせる。行くぞ雷竜》
《うっす!》
こうして雷竜を味方にし、蓮太は残る最後の一体である氷竜がいる北へと向かうのだった。
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