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side正義(父)
父は熊に取り憑かれました。
しおりを挟む・・・終わらないな。
・・・もういいかな。
『盛り上がってますね。
おめでとうございます、セイギ。
今、丁度来日してるんです。
私、今!まさに今!日本のゲームに凝ってまして!
今回は若い男女が恋に落ちて告白する、会話形式のクイズゲームを多く買いました。
日本が作った会話クイズだから、これらは日本文化を基準に作成されているんでしょう?
それなら、この告白を現実で実践すればいいんじゃないですか?
これらを参考にプロポーズプランを練ればいい、と思いませんか。
近いうちに食事でもしましょう、セイギ。
日本式告白を生で経験できるなんて素晴らしい!!
セイギが実践し易い作品のセレクトは私がします!
是非とも君をサポートするチャンスを私にください!』
お、ここに来てまともな意見が。(そうでもない)
日本のゲームを参考資料に、か、一理あるな。(ない)
週末の昼飯でも予定が合うのなら行くのか。
『ヤッホー、セイギ!
落ち着いて聞いて!
イベントは、プロポーズして終わりじゃ無いわよ!
プロポーズ成功後は、愛の時間よ!?
ファニーチャーよ!ベッドが要るわ!
入浴設備もあると、アメイジングね!
自宅で済ませよう、なんてナンセンスな事、考えてないでしょうね!?
あり得ないわ!
絶対ダメよ!』
そうか、仏壇前は駄目か。
『それいいアイディアよ。
確かにプロポーズ後のプランは必要ね。
ホテルのレストランで、ディナー中のプロポーズ。
これなら、ホテルに部屋を取っておいても不自然じゃないわ。
ハイグレードな部屋ならきっと盛り上がるわよ。
相手に心を尽くしているアピールにもなるんじゃ無いかしら?
どう?』
成る程、ホテルでディナーか。
亮太を家事から解放してあげられるし。
だが熊だ。熊をどうすれば・・・
『アタシ、今NYに居るんだケド、泊まってるホテル、メチャ夜景が綺麗よ、the statue of Libertyが見えんの。
オンナを口説いてシケコムなら夜景キラキラがよくない?』
夜景?・・・そうだろうか?
ただのLED群だろ。
『よぉ、セイギ!
暫く日本に居る予定だが、明後日から一ヶ月位、京都のジジイを訪ねるつもりなんだ。
プロポーズするなら、俺の泊まってるホテルの部屋、貸してやるぜ?
このホテル、夜景の見せ方をすごく考えてて、芸術的だぞ。
俺が日本に居る間は、いつも東京のホテルの部屋は俺用にリザーブしとくんだ。
セイギのプロポーズのプランが決まれば、連絡しろよ。
ホテル側にも協力するよう言っとくから。
わざわざホテルのレストランに行くなんて面倒くさいことしなくても、ディナーもルームサービス取ればいいじゃないか。』
『あれ?アンタ東京に家持ってなかった?』
『ああ、飽きたから手放したんだ。
その代わり日本の・・・
まだまだメッセージは続いている。
終わらない・・・もう疲れたな・・・それでいいか。
正装のホテルディナーした後で、夜景を見ながらプロポーズしよう。
皆に『貴重な情報感謝します。検討させて頂きます。証人の為の生放送の件、実現する事になったら、連絡します。よろしくお願いします。』と返信し、ウィンドウを閉じる。
パソコンも閉じて目を揉んでいると、同じ部屋で受験勉強している亮太が心配げに私を見ていた。
「父さん、大丈夫?
眉間にしわが寄ってるよ。
そんなに難しい内容なの?」
「うん?そうでも無いよ。
色々な意見があるからまとめづらくてね。
でも、概ね方向性は固まったよ。
ふぅ。パソコンの見過ぎは駄目だね。」
もうすぐ、君の希望を叶えてあげるからね。
「無理しないでね。」
「ありがとう、亮太。」
愛してるよ。
◆◆ ◆ ◆ ◆ ◆◆
「・・・と言う訳でね、市井くん。
大きくまとめると、『日本式告白は突き詰めればYuinou。』なんだってね。」
その次の日、熊が生き物で無くてもいいか相談すべく、市井くんとの昼食時に告白について調べた事を伝える。
「・・・ソレ本気で言ってます?」
市井くんが今まで見たことの無い悲愴な顔をしていた。
※因みに父のメッセージツールのグループは友人達各々が自分の国の言葉で書き込むため、世界中の言語で溢れています。
皆読めるから問題はないです。
亮太くんが覗いてもぱっと見分からない仕様。
応援ありがとうございます!
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