庶民的な転生公爵令嬢はふわふわ生きる

くしゃもち

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不安の吹き飛ばし方、発見です!

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「えぇ…ほんとに切るの?」

「うん。ちょこっとだけでいいからねー。」

いや、ほのぼのの何言ってるんだこの成人男性は。可愛く言っても内容は全然可愛くねーよ。

「じゃあ……さん、にー、いち!!」

ううう……ピリってしてからビリビリする…。この痛み嫌なんだよなー。

風が吹いたりでもしたらすっごく痛いもん。

あーあ、血が出てきた。

え?血が地面に落ちて青い何かになった!?

「ふーん。よし、成功だねー!」

「父様!それ何!?血から出てきたよ!?」

地面に触れた瞬間に真っ赤な血がキラキラした水色の石に変わった…。

え?私って人間…だよね?

「分かっただろう?これがアリュール家の固定魔法だ。ユーク、さっき傷つけた所を見てみて。」

見てみてって…まだビリビリして……ん?してない?ほんとだ、してない!

というか傷が塞がってる!?なんで!?やっぱり私って人外??

「父様…」

「その癒しの力はサフィー、母様の家系であるローゼルク王家の力だ。まあそれは自分自身にしか効かないけどね。」

はい、と渡された私の血?をまじまじと見つめる。

どこからどう見ても宝石…。これが本物の宝石?

「何か宝石に知りたいことを言ってみなさい。どんなものでも宝石は答えてくれる。お前の能力は『知』に分類されるからね。」

知りたいこと…知りたいこと…あ、あれ分かるかな?

「私がこの前に食べた飴菓子の味を教えて!」

『クコと呼ばれる実が使われています。安くて甘いと近年有名になってきています。』

おー!本当に教えてくれる!なんか地球のスマホに入ってる人工知能みたい!

「あ…消えた?」

「どうやらユークの宝石は消耗型みたいだね。」

なんだよ消耗型って。消耗型じゃない宝石もあるのか。

「父様のは?」

「ん?知らなかったのかい?魔法創造だよ。」

へー、魔法創造か~。だから父様しかできないのか~。

ってえええええええええ!?

「魔法創造って父様限定なの!?」

「そーだよー。ほんと、別のやる気のある人にこれ渡せたらいいんだけどね~。あ、でもそうなったら父様無職になっちゃうね~。あはは~。」

あはは~じゃないよ!というか父様、本当に振れ幅凄いな…。

さっきまできりっとしてたから見直したのに。

「父様すっごいチートだね!」

ちなみにチートという言葉はあった。ううむ、基準がわからない。

「いや、ユークの力も例に無いくらいの精度だよ。」

「精度?」

「ああ。だって力を使ったときユークはすごく大まかな質問をしたよね?でも宝石は答えてくれた。だから使いようによっては…」

「待って!自分で考える!」

確かにざっくりとした質問でもできたな。ということは

「過去の、学者さんも知らないようなこともわかる!?」

「せーかい~。もっと言えばあらゆることを知れる。だから恐ろしいんだ。」

「恐ろしい?」

なんで?これを使ったら歴史学者が分からないようなことも、病気の特効薬の作り方もわかる。

「人によっては、なんでも知っている事を気味悪いと感じたり、悪用してやろうと考える人もいる。だからこの力はここぞという時にしか使ってはいけないよ。」

「…そっか、はーい。」

そんなことを考える人もいるんだね。

だから父様も仕事の時にしか使っていないのか。

まあいいや。サーシャとホットケーキ食べようっと。気にしたら負け負け。


「兄様、入ってもいい?」

「ん、いいよ。」

ノックをしてから許可を求めると短い返答が返ってきた。

「どうした?もう寝る時間なのに。」

「ねえねえ、今日兄様と一緒に寝てもいい?」

「…なんで?」

「なんかね、ちょっと怖くなったの。」

昼のことが衝撃的過ぎて目を閉じて眠れない。なんかもぞもぞするの。

「いいよ。サーシャには?」

「言ったよー。なんかほっぺゆるゆるだった。」

「そっか。」

寝られないからサーシャに、兄様に一緒に寝てもらう、と言うと微笑ましいものを見る目で見られた。

解せぬ。まあいいや、わーい、兄様のベッドもふっかふか~。あったか~。


「兄様、起きてる?」

「ん。起きてる。」

「私のね、宝石は知の宝石だったの。」

「知ってる。」

知ってたか。あ、確かにあの場に兄様もいたな。

「ねえ、兄様は何でも知れる私のこと、気味悪いと思う?嫌いになった?」


前世で病気にかかった時、皆混乱していた。

だってまだ特効薬がなかったから。それに死亡率も高かった。

だから隔離されるまでの短い間にたくさんの罵倒を受けた。

勿論他の人に移さないように細心の注意を払い、外にも出なかった。でも罵倒を受けた。

何故かって?罵倒は全て前世の親からだったからだ。

政治家の優しい父親は、私が感染してから、向ける目は怒りと蔑みだけとなり、口からは暴言しか出なくなった。

世界中飛び回るキャリアウーマンの綺麗な母親は、「私のせいだ」「産まなきゃよかった」とうわごとのようにつぶやくようになった。


もうあんな思いはしたくない。嫌われたくない。泣きたくない。

「大丈夫、俺はユークのことを嫌いにならない。」

そう言って頭を撫でられた。

「ほんと?やろうと思えばどんなことでもわかっちゃうんだよ?」

「安心して、俺はユークがユークである限り、嫌いにならないし、気味が悪いとも思わない。」

なんか兄様によしよしされる度に私の中の黒いものが消えてなくなる、そんな気がした。

「兄様、」

「ん?」

「ありがと。大好き。おやすみ。」

なんだか恥ずかしくなったので自分から言い始めた話なのに切り上げて寝ることにした。

「じゃあ、ユークは俺と結婚してくれる?」

「兄弟は結婚できませ~ん。」

「出来たら?」

「う~ん、」

なんだか今日はぐいぐい来るな…確かに顔と性格と将来性と声はいいしな~、って完璧じゃん!

興味のあること以外に無頓着なところがマシになったら完璧な物件だね。

「多分兄様と結婚すると思うよ。兄様以上の人、見たことないし。(比較対象、前世で出会った男性たち)じゃあ、おやすみなさい~。」

うわ~、もう瞼重くなってきた。

横から言質がどうとかこうとか言ってるけど…まあいいや、お休みなさーい。
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