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少しくらい躊躇してくれたっていいじゃん!!

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暫く料理を満喫してから、目的の場所へと向かった。

「ここって…時計塔?」
「ご明察。」

王都で一番高い場所にある時計塔。ここに来れば王都の街が一望できる。

うわぁ~、ちょっと手すりが古くて危なっかしいけど、すごく内装は凝っているし、高さも十分にあって、学園も見える。
夜に来たら綺麗だろうな~。

でもここは人がいっぱい。これだけ人がいるんだからシャーサも一緒に来ても良かったんじゃ?

「ここから飛ぶ。」
「え?」

そう言って兄様は私の手を引っ張り、時計塔から文字通り、飛び降りた。

「ぎゃあああ!!落ちる…あれ?落ちない。」

落下するような感覚はなく、ちゃんと地に足がついている感じがする。

おそるおそる目を開けると、兄様がいた。そしてゆっくりと下を見ると、下の方に街がある。
さー…っと、血の気が引いていくのを感じる。

どうしよう…私、東京タワーとかの展望台の、下がガラスになっているやつ、苦手なんだよな…

「おーい、あんちゃん!先に彼女さんに言っとかねえと、怖がっちまうぞ!」
「…そう、なのか?」
「おう!ほれ、彼女さん、顔が真っ青じゃねえか!」

えーと、私、彼女じゃないです…。
というか兄様も否定してよ!

「ごめん、ユーク、高いところ苦手だった?」
「いや、こんな感じの、下が見えてるところが苦手なの…」

あっ、しょんぼりしちゃった。しょんぼりされるよりも先にこのガラスっぽい足場を何とかしてほしいんだけど…

「ありがとう。」
「いいってことよ!かーっ、若いねえ~。」

そして兄様は私を抱き上げると、また、飛んだ。しかも今度は落下するタイプ。

「ぎゃああああ!!!」


「あぁぁ~、怖かった…」

あんな経験、前も含めて人生で初めてなんだけど!!というか今後あるだろうか…

「あとさ、兄様…」
「何?」
「そろそろおろして…重いし、恥ずかしい…」

さっきからおろしてくれない…もう私十歳だよ!?半分成人してるんだよ!?なのにずっと姫抱っこされてるんですけど!?

うう…恥ずかしいやら、悲しいやら…
こんなことならもっとダイエットしておくべきだったよ…
デブだと思われたらどうしよう!?

「ユークは重くない。」
「重いよ!むう…自分で歩ける!」

自分で言って傷ついております。ハイ。
だって最近お腹周りにお肉がついてきたような気がするんだよ…

「気にしなくていいのに。俺はユークがどれだけ重かろうと抱っこできるし、愛してるから。」
「えっ……ふ、ふんだ!私が気にするの!!」

そういうのは好きな人に言うんだよ?妹に言っちゃってどうするのさ!

「はい、着いたよ。」
「おろして!」

兄様から目を離すと、息をのむような光景が目の前に広がっていた。
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