庶民的な転生公爵令嬢はふわふわ生きる

くしゃもち

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なんかちょっとだけ、兄様が小さく見えた日

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「ということで、今日は授業お休みさせていただきます。」

「そりゃまた珍しいこって。」

兄様が風邪ひくなんて珍しい~。

あ、○○は風邪ひかないとかじゃないよ?むしろそれは私…

基本的にみんな元気っこだからね~。うちの家族は。

で、

「何が珍しいの?」

「いやぁね、親族が風邪ひいたから看病します~、そんでもって講義休みまーす。なんて人間、お貴族サマには居ないからさ~、新鮮に思えるわけよ。」

まあ、そうだよね~。本来なら。

というかミーナさんも一応貴族でしょうが。

「ぐったりしてる兄様の顔が十八禁だから、使用人までメロメロにしていく勢いなのよ~。」

何年もうちで勤めているシャーサだって危ういかもしれない…

「じゅうはっきん?まあいいや。じゃあ今日は休みってことで。」

「え、こんなに軽い感じでいいの!?」

自分から言ったことだけど、家族の体調不良のために休むこともできるのか。スゴイ。

「ああ、そこは多分大丈夫だ。ユークの成績なら留年する恐れもないし。」

よっしゃー!実技でいい点出しててよかった~。

「やった~!じゃあ、ごきげんよう。」

「あー、気をつけて看病するんだぞー?あ、明日も無理そうなら先に言ってくれよ。」

はーい~、でも明日は行きたいな~。では、看病頑張らないと!


「ただいま~。兄様大丈夫…じゃないよね。」

ノックをしてからゆっくりと兄様の部屋に入る。あ、手洗いうがいはちゃんとしたよ?

あーあ、いつ見ても殺風景な部屋だね…

一杯物があっても微妙っちゃあ微妙なんだけど。

「おかえり…あつい…」

「あー!急に立ち上がったらダメ!兄様は休んでて!」

もう、すぐに自分でやろうとするんだから…

「ゆーくが、うつる…」

「大丈夫だって~。だから早く寝て!」

ちゃーんと、手洗いうがいもこまめにするから~。

「じゃあせめて…」

あれ?なにかキラキラしたものが私の周りを囲んだような…?

「兄様何したの!?」

「ちょっと、しんたいきょうか。」

しんたいきょうか…身体強化だと!?

「もう、ダメじゃん!ただでさえ身体が弱ってるのに魔力使っちゃ!」

「いいの…。これでおれも、あんしんするから。」

むう…そう言われたら諫められない…

「じゃあ、とにかく兄様はゆっくりしておいて!私はなにか兄様が食べられそうなものの食材買ってくるから!」


でも、何を作ろう…?

体に優しい物…おかゆとか?

でもな…個々のお米ってほぼタイ米だからおかゆにしてもあまり美味しくないような…

とりあえずリンゴをすりおろしたものと…あとはどうしよう…

パンがゆもなあ…あんまりお勧めできないし…

あ、あれ作ろうっと!


今から作るのは茶わん蒸し。

でも私、茶わん蒸しを蒸したことないんだよな~。電子レンジでパパっと作ってたから。

でも今は魔術がある!今回も簡単に作るぞ!

まずは卵を溶いて、出汁を入れる。

この時、卵一個と出汁の割合は、三対一くらいの割合にする。

昔はテキトーに作ってテキトーに焼いて微妙になってたからな~。

妙にしょっぱくて、妙に硬くなって、まずいわ~、ってなったよー。

というわけで、レシピを覚えてから作るようにしましたとさ。

で、ゆっくり溶いたら綺麗な網でこして…

二つの容器に入れる。

蒸さない茶わん蒸しってね~、一つの卵で二人分作れる優れモノなんだよ~!

そして正念場、火を通す!

ゆっっっくりと火を通して…水も足してスチームみたいに…

よっし!多分上手くできた!多分!

一口味見っと…

おお~、なんかトルゥンッってなってる!トルゥンって!

味もおいしいし、大成功!

心残りなのは…海老とか、銀杏とか、かまぼことか、ゆり根とか…具材を入れたかったぁぁぁぁ!!!

まあ、病人に食べさせるのには大丈夫…かな?


「兄様、できたよ。食べれる?」

ううむ、まだ熱ある…苦しそう…

「…たべれる。」

お盆に置いてそっと前に出す。

「たべさせて。」

「え?」

イマ、ナントオッシャイマシタ?

食べさせて?あーん?あの、リア充がする?

失礼、私怨が出てしまいました。

「てに、ちからが、はいらない。」

なるほど…えい!背に腹は代えられぬ!

ここは恥を忍んで…

「はい、あーん!」

半ばヤケクソ状態で、スプーンですくった黄色いプルンプルンを兄様の口に入れるのでした。

「ん…おいしい…」

あ、兄様の顔、緩んでる。

…恥ずかしかったけど、いつもの恩返し、ちょっとだけできたかな?

「これ食べたらちゃんと寝てね?」

「ん…。」


あ、額に乗っけるタオルの水、ぬるくなってる。入れ直そうっと~。

「どこいくの?」

「あ、水替えにいくの。ぬるくなってきたでしょ?」

「…」

あれ、容器が冷たくなってきて…

「兄様また!」

魔術使ってたら治らないよ!もう!

「それより…ゆーく、ここいいて。」

「…その代わり、治るまで魔術使っちゃダメだよ?」

「ん。」

どこかに行く用事もないし、今日はいっか。

暫くぼーっとしていると、じんわりと熱い兄様の手が私の手を包み、兄様の顔に引き寄せ、頬に当てた。

「!?に、兄様?」

「ちょっとだけ、こうしていて。」

兄様の頬は、熱くて、さらさらしていた。

私がもう一つの手を額に当てると、心地よさそうに目を細めて、そのまま目を閉じ、すぅ、と寝息を立てた。

そういえば、前世の年齢を含めると私って兄様よりうーんとお姉さんなんだな。

いつも甘えてばっかりいるけど、たまにはこんな日もいいよね。


翌日、完全回復した兄様の姿を見て、

やっぱり兄様は兄様がいいな。

と思った。

だってまだまだ兄様に甘えたいんだもん。
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