こう見えても私、大司教様のお気に入りですけど? それなら私は教会側につきますね


 神聖ローム公国の首都アーヘンは、別名をエクス・ラ・シャペルという。
 その首都アーヘンの真ん中には、華やかな庭園を内包する広大な土地があり、奥には壮麗な造りの建物があった。
 他でもない王家が暮らす、王宮。

 ロームの姫にして、王子レスターの結婚相手である主人公ベルタは、いつも思っていた。
(この王宮は、まるで、どうしようもなく臭いものに、強烈な香りの香水を、振り撒いているようなもの……隠しているつもりで、隠しきれていない……)

 ベルタという心優しい女性にそう思わせるほどに、王家は、腐り切っていた。
 レスターの女遊びの酷さに始まり、そのおこぼれを預かろうとするメイドや大臣たちが後を断たない。
 その中でも必死に我慢し、レスターのことを理解しようと努めるベルタ。

 けれども、彼女は究極の形で裏切られる。
 国内でも有数の貴族たちが集まる、ヴォルムス会議。
 その場にて、レスターは高らかと宣言したのだ。
「俺は、こいつと離婚する!」

 そんな彼女の救いとなったのは、あまりにも意外な集団だった。
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