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3章 ゲーム開始?

18.男爵家と王家の事情

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 滅多に学園には現れないウィリアム王子だが、決まった行事、所謂いわゆる学園祭や馬術競技大会や剣技大会といった大掛かりな催しの際には必ず側近達数人を伴い学園にやって来る。

 そして何故かオリヴィエ・アボット男爵令嬢が彼の行く先々ですっ転んだり、ずぶ濡れになっていたり、落とし物をしてウロウロしているのである・・・ 


『気を引く為の演出なのだろうか?』


 と、怪訝な顔で思わず見つめればこれ幸いと猫なで声を上げ更にすり寄って来るため、ウィリアムは彼女が大の苦手だった。

 側近達や護衛騎士達にその都度阻まれるのだが、めげずに繰り返す彼女はある意味胆力があり余っている勇者である。



 尤もウィリアムにとっては彼女そのものより実はアボット家自体が厄介な相手だった。


 ごく最近になって彼女の父親であるアボット男爵の領地から魔力を帯びた鉱石が発見されて注目を浴びるようになったのだが、その鉱石に光属性の魔力を与えると高い浄化作用が生まれる事が判明し、その鉱石の塊を魔素の発生する森や沼に設置すると魔素が薄くなり魔獣の被害が格段に抑えられる事が分かったからだ。

 一躍注目を浴びるようになったアボット男爵は突然転がり込んだ幸運に恐れをなして、鉱石の採掘権利をまるっと王家に献上したのだ。

 儲かるのなら男爵家が取り仕切れば良いと素人なら思う所だが、人足の手配や流通ルートの確保、そして何より運転資金とそれを運用する能力。

 其れがアボット男爵には足りない事は一目瞭然だった。

 ある意味アボット男爵は実直で手堅い男でもあったのだ。

 庶子であるオリヴィエの母を愛妾として迎え入れたのも、領民を不作から来る貧困から守るために受け入れた、裕福な平民との事実婚だったのだから。

 因みにオリヴィエの母は美しい娘だったが、若い頃は奔放で有名だった為所謂行き遅れで男爵よりも10歳ほど年上だった。

 養蚕業で裕福な商家の父親も手を焼く娘を受け入れてくれて貴族との繋がりが出来る為互いにwin―winだったのだろう・・・その証拠にオリヴィエはアボット家の庶子として貴族院にきちんと届け出がされていたのである。



 
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