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2章 出会い

9.公爵令嬢の気付き

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 「私のお作法で王子様にお会いして大丈夫かしら?」


 眉根を寄せて若干不安そうにする天使のように可愛く美しい娘を見ながら、両親が微笑ましいと相好を崩す。


「大丈夫。貴女は7年間誰にも負けないくらい頑張っていたのよ? 自信を持ちなさい」


 美しい母の言葉に不安そうにしていた表情が和らぎ、笑顔が戻る。


「はい。お母様」


 ニコリと笑うシルフィーヌは、周りの令嬢達と比べても抜きん出て美しく、王家に仕える使用人達もその笑顔に一瞬釘付けになった。

 流れるようなハニーブロンドはハーフアップにされ白い小花の飾りを彼方此方に散らしてあり、その明るい宝石のような緑の瞳はキラキラとしている。

 陶器のように白い肌に少女らしく丸みを帯びた頬は柔らかな桜色。紅も引いていない唇は花壇の薔薇のようなローズピンク。

 王子の髪の毛を薄くしたような色合いのオレンジ色のドレスに彼の瞳を彷彿とさせるような小さな青いブルーサファイアのあしらわれた装飾品が小さな耳たぶと細い首周りで輝いていて、それを彼女は大事そうにそっと触れた。

 小さな婚約者であるシルフィーヌにウィリアム王子から送られた7歳の茶会デビューのお祝いのアクセサリ―である。



 ――そしてその直後、王族の登場を告げる侍従の言葉が庭園に響いた。



 ×××



 美しい薔薇も色褪せそうなほどに美しい王妃を恭しくエスコートする凛々しい姿の国王陛下に続き、第1王子であるウィリアムと第2王子のアダムが現れる。

 王子達は2歳違いで第1王子のウィリアムは9歳。

 既に子どもの社交デビューである茶会には何度も出席しており洗練された所作で侍従と共に歩いてくる。

 国王によく似た精悍さを秘めた顔にはよそ行きの美しい微笑みが浮かんでいる。

 第2王子のアダムは今年7歳で、正式な茶会に初めての出席なので若干緊張気味なのが見て取れるが流石王族。

 顔には微笑みがうまい具合にきっちり張り付いているようだ。

 2人の王子はスッキリとした白い軍服を模した衣装に身を包んでおり、金のエポレットに同色の飾緒、そして王族を示す赤いサッシュが色鮮やかだった。

 そして、それを一目見たシルフィーヌの身体に衝撃が走り脳内で1つの映像が蘇る。


「え、何? コレってひょっとして乙女ゲーム?!」


 そう小さく呟いた彼女は、そのまま気絶した・・・


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