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第40話 幸運の女神に愛された男
しおりを挟む「そうなんですか? ララアさん、『月の理解者』に入るんですか?」
本来は冒険者はお客様でもあるから「様」をつけて呼ぶ。
だが、ララアはその様付けが嫌いらしく、親しい職員には「さん」に変えて貰っているそうだ。
「ええっ理人さんを凄く気に入ったもので…」
なんだか受付のケティ嬢の様子がおかしい。
「あの…ララアさんもう討伐は…」
「うん、そりゃ採取専門のパーティだから、し.な.いかな!」
「ハァ~やっぱりですか…Bランクのララアさんが討伐してくれないと、塩漬けが出来そうで怖いんですけど」
「あはははっ、もし討伐依頼があったらリーダーの理人さんを通してね」
「あの『幸運の女神に愛された男』と言われる理人さんと一緒で討伐相手なんて現れますかね…ララアさんどう思います?」
「あははははっ、どうだろうね」
「その顔、絶対に会わない…そう思ってますね?」
《私と邪神様の器の理人さん…魔族や魔物は喜んで跪くよね》
「まぁね」
「あの『幸運の女神に愛された男』ってなんだ?」
「理人さんの字(あざな)ですよ」
「字?」
「そうです、能力の高い冒険者には字という別の呼び名が付くんです、Fランクでついたのは私も初めてですね」
「それが『幸運の女神に愛された男』という字ですか?」
「だって理人様、討伐ゼロなのに危険な場所から無傷で帰ってくるんですよ! プレートだってもう90枚を超えましたよ、90人以上が死んだ場所から討伐ゼロで無傷で帰ってくる…幸運じゃなくちゃ奇跡じゃないですか」
《あながち間違ってないわね…まぁ正確には邪神と魔人に愛された男だけどね》
「そんな風に呼ばれているんですか?」
「ええっ…本当に奇跡としか思えませんから…あの、すみません、冒険者のスキルや技術を聞くのはマナー違反なのは解っていますが、どうにか教えて…」
そう言われても俺にも解らないな。
「そうよ…」
ララアが凄むとケティさんは仕事に戻った。
「はい、これで登録は終わりました…ララア様がBランクなので個別のランクはそのままですが、パーティランクはBになりましたおめでとうございます」
そうか…個別のランクは上がらなくてもパーティランクは上がるんだな。
「ララアさん、良かったの?Bランクなのに…」
「あはははっ、別に構いませんよ、私はランクに興味がなかったのに勝手にあがっただけですから」
なんだか悪い気がする。
「そう言えば『深淵を見る者達』から伝言がありますよ」
「深淵を見る者達?」
「ああっ、そう言えばパーティとしてまだ交流がないんでしたね…和也様と美瑠子様のパーティです」
そうか、彼奴らも城から出てきたのか懐かしいな。
「それで、どんな伝言ですか?」
「はい、宿屋ホーリーインに居るから尋ねてきて欲しいそうです」
「そうですか、ありがとうございます」
今度、月子と一緒に訪ねてみようか?
応援ありがとうございます!
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