悪徳貴族になろうとしたが

石のやっさん

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旅立ち

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【???】


「貴様は何者だ、我々はこの森で静かに暮らしていた、それなのに何故なんだ」


「私の名前は聖教国のホルムニクス勇者にて 聖闘士ディアス、魔族を滅ぼす聖なる闘士、その試作品です」


「試作品だと」


「今聖教国では魔族を倒す為に私の様なホルムニクス勇者が作られている、その数は1000完成次第、魔族に対して宣戦布告を行う」

「何だと、貴様俺を舐めているな、俺はハイリザードマンだ、竜を祖先に持つ、最強のリザードマン、お前等、相手にならぬ」

「ほう、名前を聞いておこうか?」

「俺の名前はリガルダ」

「そうか、ならば...」



「何故だ、何故こんな事をするんだ、やめろおおおおおおおおーーーーーっ」

リガルダの両手、両足を切断してその辺に放り出してある。

そしてその前では他のリザードマンを片っ端から殺している。


「リガルダ様助けて...」

「誰か誰かお母さんを助けて」


「トカゲが煩いな、お前から先に殺してやろう」


「嘘、嘘、何で娘がこんな事に、いやあああああああああーーーーっ」

「可哀想だからお前も殺してやるよふあははははははっ」

沢山のリザードマンの死体が転がる中ディアスという存在は笑っていた。


「貴様、殺してやる、殺してやるぞーっ」

「ハイリザードマンなら手足は直ぐに生えるのだろう? まぁ聖都で待っているから魔王とやらに頼むんだな、最も1000のホルムニクス勇者が迎え撃つがな...死体が増えるだけだ」




【聖女パーティー】


「本当に良かったのですか?」

「仕方ないだろう? すっかり根回しされてこれで俺が一緒に行かなければ背信者みたいじゃないか?」

「すみません、巻き込んで」

いや、完全に最初から巻き込むつもりだったでしょうが。

「いや、でもルディウスも嬉しくない? 両手に花なんだからさぁ」

確かにホワイトもグレーテルも可愛いし...美少女だ。

昔の世界なら休みの日の朝にやっていた実写の美少女の魔女っ娘みたいな感じだ。

だけど...俺はロリコンでないから関係ない。

せめて16歳いや18歳、理想は20歳~28歳位が理想だ。

10年後は楽しみではあるが...今は無理だ。

「あはははっそうだね」

「何でかな、ルディウスが余り楽しそうじゃない気がする」

「グレーテル、そんな事は無いよ」

「そうよね、聖女の私が傍に居るんだから幸せよね」

いや、ミルカとレイラという俺にとってドストライクな美女とルドルという優れた執事と離れて ガキにしか見えない少女と一緒。

どちらが幸せかは誰でも解るだろう? ロリコンで無ければね。


「そうだね...うん幸せだな」


「何で棒読みなのよ」



【ルドルと奴隷たち】

「母さんには伝えてあるから、この旅が終わるまで実家で待っててくれる? お金はホワイトが出してくれるから竜車を頼んだから案外楽だと思うよ」


「聖女様に賢者様に請われて魔王討伐の旅、本当に成長しましたな」

《今迄は醜女に囲まれた挙句年増ばかり...幸い聖女様も賢者様も美少女、これでルディウス様も真面になるでしょう》


凄ーく短期間だけどな。


「これもルドル達のお陰だな」

「あのルディウス様、私達...」

「レイラは離れたくありません...一緒に連れていって下さい」


「1年、1年で全部終わらせるからそれまで待っていてくれ、これでも貴族だから生活も安心してくれ、ルドル、奴隷ではなくメイドとして扱う様に母上に頼んでくれ」


「承知しました」


「解りました、待っています」

「待っていますから、必ず帰ってきてください」


「解ったから安心してくれ」



【聖女と賢者と】


「それで今後はどうするんだ?」

「そうね、実力をつけながら、魔族領を目指す事になるのかな?」

「そこで魔王と最終決戦...そう言う事だね」


やはりガキだ、ちゃんと考えて無い。

勝てるのか?

相手の国にたった3人で乗り込んで、普通に考えたら魔王に着くまで死ぬだろう。

それをやらせようと国もアホだ。

「お金は?」

「これがあるわ、ジャァーン教会発行の特別カード、これがあれば教会のつけで幾らでも買い物ができるのよ」

「私はこれ、アカデミー経由で国がお金を払ってくれるんだよ」

「俺はこれでも貴族の息子なんだが、案外一番貧乏かもな」


「何をいっているの? Wなんだから直ぐに教会と国両方からカード貰えるわよ」

「グレーテル何を言っているのかな?」

「あっあははははっ そうだね」

「Wって何?」

「何でもないんだよ...うん」

「怪しい」

賢者って頭良いんじゃないのかよ...まさか只の学問女じゃないよな?

頭痛が増えた。

勘違い

【???】


「俺の名前は王国騎士団の人造勇者、ルーリアス、汚らしい魔族など滅ぼしてくれる」

「勇者だと?可笑しいな、俺の情報では勇者は死んだ、そう報告を受けたが」

「ふぅ、何も解っていないな...あの勇者は既にデーターを抜き取られた只のカスだ、そうで無ければ子供に等殺されるわけ無いわ」

「カス?」

「そうだ、帝国、聖教国、王国で実験に使い、データーを抜いたカス、それがあいつだな、そしてその完成品の一つが俺って訳だ」

「お前が勇者の力を持っていると?」

「まぁな」

「ふはははっ、ならばこの俺がお前を葬り去る事にしよう、本物の魔族の前に現れたお前が馬鹿なのだ」

「ならば、やって見ろ」

その数分後、

魔族を名乗るその男は膝磨づいて倒れていた。


「魔族とはこんな者か? これなら皆殺しに出来る...容易い...殺して置こう」

「貴様...」

「もう用済みだ、魔族は俺達ならただのオモチャ、解ったからどうでも良い...死ね」

隠れて他の魔族が見ているのを確認するとルーリアスはその魔族の心臓を抉りだした。


「魔族が滅ぶのも時間の問題だ」

そう言い捨てるとルーリアスは静かに立ち去った。




【聖女パーティー】


「可笑しいわね...幾ら何でも魔物が少なすぎる、何かあるのかしら」

「そういう事もあるよ、ホワイトは気にしすぎだと思うよ」

「だけど、グレーテルこんなに出会わない事は普通は考えられないわ」

「そうね、だけど出会わないならそれでいいんじゃないかな?」

「そうね...だけどこれじゃ連携も組めないし、困るわ」

「まぁそのうち、出会うわよ」

「ルディウスはどう思う?」

「俺は余り経験が無いから、2人に任せるよ」

「そう、解ったわ」



【賢者グレーテル】


う~ん、困ったな。

こんなに愛されて私はどうしてあげるべきなんだろう?

ルディウスが良く抜け出すから様子を見に後をつけたんだよ。

男の子だし、幾らクールなルディウスでもね...その色々あるじゃん。

まぁ変な物見ても黙っていて置く位は考えていたんだよ。

娼館にでも行くのかな、そんな感じで様子を見ていたらさぁ、外に出て行くんだ。

外に出て行くって事は最悪の場合《逃げ出す》そう考えなくちゃいけないよ。

ルディウスからして見たら既に伯爵家の跡取りだし、魔王を討伐しても余り出世や報酬に魅力は無いだろうし。

あれだけ才能があるんだから、私やホワイトだって報酬になりえない。

あんな美形でしかもとてつもない才能、全て知ったら王族だって婚姻を結びたくなると思うよね。

王国だって帝国だって直ぐに姫を差し出してくるわ。

アルトランだってベーダだって、あんなに性格が悪いのにお見合いの話が持ち上がる程だもん。

つまり、全部持っているんだから、魔王と何て戦う意味がないよね。

もう既に成功者なんだからさぁ...

そんな人が今更、魔王討伐の旅に行く必要はないわよ。

《逃げられちゃうのかな...「お前もホワイトも戦わないで良いよ」嘘でも嬉しかったな》

幾ら私やホワイトが可愛くても、魔王と戦う地雷つきじゃ恋人なんて出来ないよ。

死ななければ、アルトランやベーダが...あれなら居ない方が良い、うん。

なのに...

何やってんの?

たった1人でリザードマンの集落襲って、私やホワイトに何も言わないで...

嘘でしょう? 本当に私に戦わせない気なの。

私が此処に居るのは良く無いわよね。

きっと私が気がつかない様に《戦うつもりなんだ》。

だったら私も気がついていない振りしてあげよう。


私は黙ってその場を立ち去った。



【ホワイトとグレーテル】


「本当に平和ね、まだ雑魚としか会わないなんて」

「そうだね」

《多分ルディウスが先に倒してくれているからね》

「それで、貴方が本以外の買い物なんて珍しいわね、どうした心境?」

「うん、まぁルディウスみたいな男の子がいるから少しはおしゃれでもしようかと思ってね」

「そうね、少し位はおしゃれにした方が...ってなんで下着店に来ているのよ」

「いや、ルディウスに頼んだのは魔王討伐なんだよね、死に物狂いの戦いになるんだ、だったらそれなりの事は返すべきだと思うんだよね私」

「ですが...まだルディウス戦ってないじゃない、本当に戦ってくれるのか、まだ解りません」

「そう? ならそのうち自分の目で確かめてみたら?」

「何を言っているんですか?」

「まぁ良いや、私はもうルディウスを本気で信じたわ、口説かれたし、凄く誠実なのが解ったから」

「それで...えっ何ですかその紫色のスケスケの下着は?」

「いや、男の子ってこう言うの好きそうだと思うんだよね...うんこれに決めた」

「あの、グレーテル、本気でそんなの買うんですか? そんな破廉恥な」

「うん、身を捧げるならこういう方が喜ぶかなって思うんだよね」


彼奴どんだけ私が好きなのかな?

先回りして強い魔物を倒すなんて、ルディウスが本気で私が戦わない未来の為に頑張るなら。

私は他の事を頑張るよ...



【三人】

「ちょっと、何でグレーテルがルディウスの部屋に行こうとしているのよ...しかもそんな下着姿で」

「いや、私って凄ーく、ルディウスに愛されているからさぁ、うん一緒に寝てあげる位しようと思って」

「あんた、賢者でしょう、そんな事して子供でも出来たら」

「あっ、もしそう言う事するなら避妊魔法掛けるから大丈夫よ」

「あんたね~」

「ルディウスも1人より私が一緒に寝た方が嬉しいわよね」

確かに可愛いけど、ロリッ子がスケスケ下着着ている様にしか見えない。

流石にこれは俺が居た世界じゃ完全に犯罪だ。

「まだ、そう言う事は早いと思う」

「ほら、ルディウスも驚いているじゃない? 帰るわよ」

「ルディウス、ルディウス?」

「えっ」

「私が欲しくなったら何時でも声かけて、ちゃんとお相手するからね」

「いや」


「ほら行くわよ、このエロ賢者!」

グレーテルは引き摺られホワイトに連れ去られた。


俺、何か懐かれる様な事したかな?



【ホワイト&グレーテル】


「グレーテル、あんた何考えているの? まだ馬の骨とも鳥の骨とも解らない男相手に、賢者の自覚持ちなさいよ!」

「それ、ルディウスの事言っているの? あれ程、誠実な男なんて居ないわ、貴方の方こそめが腐っているんじゃない?」

「何で、そこ迄信じられるのよ、馬鹿じゃないの」

「別に良いじゃない、私はルディウスが好きなのよ、あの人は特別、本物の男だわ...彼が望んでくれるなら夜伽だってなんだってしてあげるわよ...悪い?」

「何でそこ迄なれるのよ」

「ホワイト、貴方の方が馬鹿だわ、私や貴方が彼に頼んだのは《勇者の代わりに魔王の討伐》なのよ? 長い旅の末、辿り着く前に殺されるかも知れない、もしたどり着いても魔王に勝てず死ぬかも知れないのよ...男にそれを望むなら、自分の全てを捧げるべきだと思うの」

「私だって、それが本当だと信じたなら、信じられたならそうします、だけどまだ信じられない」

「聖女って頭が固いのね、まぁ良いわ、既に彼は充分に...まぁ自分の目で見て見れば良いわよ」

「言われなくてもそうするわ」



【ある日の深夜】


「またルディウスが出掛けようとしているわね、ほらホワイト起きなさい」

「なぁにグレーテル、こんな夜中に」

「ルディウスが出かけるわ」

「男の子だもん、花街にでも行くんでしょう、放って置いてあげれば良いじゃない」

「多分、違うと思う、良いからついてきて」

「全くもう」


二人はルディウスの後を気がつかれない様についていった。

魔族が居た。


「嘘、ルディウスは魔族の内通者だったの、信じられない」

「違うわ、貴方は何を見て来たの、その目はガラス玉なのかな?」

見ていて信じられない...遠くからだから声は聞こえないけど、ルディウスが魔族を倒していた。

しかも、あの体躯はどう見ても上級魔族だ。

「これはどういうこ事なの?」

「この前はハイリザードマンだったわ、ホワイト何で私達の旅に強力な敵がいないのかな?」

「まさか」

「そう、まさかよ出会う前に全部ルディウスが倒しているからよ...多分」

「何で...何でそんな事しているのよ」

「私、前に彼に言われたの...私には戦わないで欲しいんだって...自分が戦うからホワイトにもね」

「...」

「ルディウスって凄いよね、《一緒に戦ってあげる》それすらいう人だって居なかった、騎士だろうと聖騎士だろうと誰もね、だけど彼は《私達じゃなくて自分が戦ってくれるんだって》」

「そんな」

「うん、だから私は決めたのよ...ただ一人私を《女の子》として見てくれる男の子、そして私の為に命を賭けて戦ってくれる男の子、命懸けで好きになってくれるなら、私だって何でもしてあげたくなるわよ」

「私の目が曇っていたのかな...」

次の日ホワイトはグレーテルと一緒に下着を買いに出かけた。


ルディウスの考えとは別に勘違いが広がっていく。



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