悪徳貴族になろうとしたが

石のやっさん

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教皇と八大司教

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教皇に八大司教のうちの3人、実際一緒に座ってみると流石に無言になる。

普通に貴族として生きて来てもこの席に座る事は無いだろう。

ホワイトとグレーテルが羨ましい。

まぁ、もう場慣れしているのだろうな。

黙っていても仕方がない、俺が話そうとすると教皇が口を開いた。

「この度の事は大変申し訳ございません、我々がついていながら、この様な事が起きるなんて」

「そうですね...正直怒りを抑えるのに精一杯で...」

「それで、この話しを勇者様はどの様にしたいと思いますか、この度の件は全て勇者様の想い通りに致します」

こうは言うが何処まで通るのかは解らない、相手は一国の王や枢機卿だ。

「最初にお伝えいたしますが、枢機卿は自害なさりました、自分の教会での立場も継承も一切を放棄した上です、自分の判断ミスを恥じたようです」

自害か...これで許してやるべきなんだろうな。

「解りました、枢機卿はそれで不問で良いです、それでアルフ国王は?」

「今の所は何の罰も与えていません、それでどの様にしたいか勇者様に方針を聞こうと思いまして」


殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す。

駄目だルディウスの意思が《殺す》という方に俺を引っ張って行く。

ハァハァこれじゃ駄目だ。

国王だけでなく、その家族や貴族国民まで皆殺しにしろ...駄目だ駄目だ駄目だ。

そこまでする事は無い...そんな過剰な復讐をしてはいけないんだ、それは復讐じゃ無くて虐殺だ。

駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ


「勇者様、顔色が悪いですがどうかなさいましたか?」

「ハァハァすみません...今の私が何か何か意見を言うとかなり酷い事を言いそうです」

「あの、司教如きが言う事ではありませんが、思いのままで良いのですよ? 母親を殺されたのですから、どんな事でも構わないと思います」

「かなり惨い事だ聞いております、何でも言って下さい」


やはり俺が決めないといけないのか...なら。


「神に仕える者として最大の慈悲を与えて下さい、その上で最大の罪として裁いて下さい」


これで良い筈だ、教皇や八大司教は、慈悲深いと聞く、その慈悲の心で考えて、そして最大の罪として裁く...こんな感じが良いだろう。

これなら王位を剥奪して投獄10年とか、もしくは王都追放位だろう。

俺の母親と故郷を滅ぼしたんだ、その位当然だ。


「解りました、今の勇者様の言葉を胸に刻み、私と八大教皇が必ずや罰を与えます、その上で損害も賠償させます」

「頼んだ...それでお願いがあるのですが」

「勇者様、お願いだなんて、この教皇勇者様の為なら、何でも致しますよ! 何なりとご命令下さい」

「これは我儘です、本来なら俺は学園卒業まで3年あり、偽勇者達も2年あった筈です」

「確かにそうですな? 学園に戻りたいのですかな?」

「違う、だからそうだな、半年~1年 ホワイトとグレーテル、それに俺にとってはたった3人の知り合いルドルとミルカとレイラを預かって貰いたいのだ」

「預かるのですか? それは構いませんが、それで勇者様は何処に行くのですか?」

「帝国」

「帝国に何しに行くのでしょうか?」

「帝国を取り戻しに行く」

「そんな、流石の勇者様でも一人では危なすぎます、せめて聖女様や賢者様をお連れ下さい」

「今の俺は腸が煮えくりかえっている、八つ当たりしたくて仕方がない、そんな姿を仲間には見せられない、だから教皇お願いする、1人で行かさせてくれ」


「す、す、素晴らしい、流石は勇者様です、それでしたら聖教国と帝国の間にある砦を差し上げましょう、小さな城もありますから自由にお使い下さい、そこに、そうですな聖女様も賢者様も行って頂き、お三方も行って頂きましょう、大丈夫強固な砦ですから万が一はありません、そこから帝国に攻め入り、魔族達を倒して下さい、厳しくなったら直ぐさま退却してくれば良いのです...その代り必ず通信水晶と生命石はお持ちください」

「生命石?」

「はい、二つありまして、その一つを持った方の命に危険が迫るともう一つの石が黒く染まります、危なくなったら直ぐに助けに参ります」

「有難うございます」

「礼なんてとんでもありません、我々は当然の事をしているだけでございます」

「それでも礼は言わせて貰うよ、ありがとう」

只でさえ勇者は目に入れても痛くない教皇に八大司教がお礼を言われた。

この言葉はどんな美女に愛を囁かれるより魅力的に思えただろう...その結果、更に彼等は暴走する。


「勇者様、戦いの場に行かれては休む暇はありません、折角なのでこの街で2・3日休まれては如何でしょうか?」

「そうだな、そうさせて貰おうか?」




【教皇と3人の大司教】


「本物は違いますな...見た瞬間から惚れ惚れする様な御方です」

「あれでこそ、勇者様、しかも剣聖のジョブまで女神様が愛されるわけだ」


「その様ですね、審議官も携わった者も処刑して正解でした、あれ程の方とあんな頭の可笑しい偽物を間違える等、目が腐っていたのでしょう」


「教皇様?」

「良いですか? 今の教会はマイナスなのですよ! 勇者様に沢山の物を与える筈が奪ってばかりです...何と私は情けない教皇なのでしょうか? まずはあの国王をどうにかしないとなりません」


「それでどの様に?」


「簡単ですよ、国王は破門にして世界追放、最初の通り城も王妃も王女も全部勇者様に差し上げましょう」


「やはり、それが一番宜しいかと思いますね」

「逆らった者は全部破門、破門される事を恐れ、貴族や騎士は絶対に動きませんな」

「女神の敵にされたら世界が敵に回るのです...最早人として扱われないでしょうな」

「ですが、王権はどうしますかな? あれは教会でも剥奪出来ません」


「王子は同じ様に破門の上世界追放、王妃と王女がルディウス様の側室か奴隷ならそれもルディウス様の物ですよ、そうは思いませんか?」

「その通りです、教皇様」


「いや、実に《神に仕える者として最大の慈悲を与え、その上で最大の罪として裁く》勇者様のお言葉に忠実な話ですな」


ルディウスは見誤った。

彼等の、優しい慈悲は女神の元にある、その女神の御使い勇者を産んだ聖母の様な存在を殺して、勇者を怒らせた者への慈悲など欠片すら無い。

狂った信仰が、王国に破滅をもたらす。


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