【石のやっさん旧作】勇者に寝取られた幼馴染が銅貨3枚で売られていた。

石のやっさん

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ロザリア

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「リリ帰ったよ~」

「あう、うあ~うわぁぁぁう?」

リリが返してくるが、何を言っているか解らない…意思疎通が出来たら、本当にそう思う。

「あっゴメン、もう話しても良いよ…自己紹介した方が良いかな、俺の名は…」

「知っていますわ…リヒト、勇者パーティの方ですわね…そしてそちらは聖女リリですわ」

勇者パーティと解っていて…俺は兎も角リリに『様』をつけないなんて。

かなりの上級貴族だったのだろう。

「それで、貴方はいったい?」

「私はプランドール侯爵家の娘ロザリアと申します」

侯爵家の令嬢…やはり、魔族が世界を制覇したから…こうなったのか。

「それが何でこんな姿に…」

「それは、私の呼び名に由来するのですわ、私は自分では言いにくいのですが『プランドールの白百合』と呼ばれていましたの…ですが、悪魔の中に同じく『百合』と呼ばれる悪魔が居ましたのですわ」

それがどうかしたのか?

「それがどうかしたのか?」

「ええっ、その悪魔が私の国に顕現しまして、自分の美貌にかなり自信があったようでかなりの方に『自分とどちらが美しい』かを悪魔という事を隠して聞いて歩いたのですわ」

この姿に変えられたと言う事は…多分悪魔が負けたのか。

「それで、貴方の方が美しいと言われ…その結果、その姿にされた…そう言う事か」

「その通りですわ…それで、聖女リリ様、お願いですわ…この姿を…」

「あうわうわ~」

「『あうわうわ~』って…まさか…」

「リリや勇者に起きた事は知っているだろう? この通りリリは心も体も壊れてしまった…これを言うのは忍びないが、リリが全盛期の聖女の時であっても…その姿を元には戻せなかったと思う」

ロザリアの表情が青くなり落胆したのが解かる。

「そんな人類最強の癒し手、聖女様で無理なら、もうこの姿は戻せないのですわね」

これだけの美貌の持ち主が、こんな事されたら、苦痛で仕方ないだろうな…

良く命を絶たなかったな…

正直に話す必要はない。

「だがな、リリは、聖女としての最強呪文『パーフェクトヒール』は覚えて無かった。 死んでいなければどんな物でも治せる究極呪文だ、これなら治せるかも知れない」

「そんな呪文があるのですね」

これは嘘だ…邪神に仕える神官が言っていた。

体が今の状態を正常だと思っている以上…例え、その部分を切除して治そうが…今の状態になるだけだ。

だが…そんな絶望的な事を態々いう事はない。

「まぁな、だがリリは、この通り、精神的にも肉体的にも壊れている…多分、もう治らない」

「確かに、そうですわね…私も噂で勇者パーティの最後は知っていますわ…壊れても仕方が無いですわ」

「ああっ…だが俺は諦めてはいない…どうにかリリが幸せになれる未来を探している」

「そうなのです? リヒト様の武勇は知っていますわ、ですがそれでも勇者には届きませんわ」

ロザリアは何を言っているんだ?

「俺は、別に魔王を倒そうなんて思ってないぜ…リリが幸せならそれで良いんだ! リリが幸せなら、人間も魔族も幾ら死のうと構わない。もし、リリを治してくれるなら、喜んで人類でも、魔族でも笑いながら皆殺しに出来る」

「リヒト様は…勇者パーティに所属していた筈ですわ…」

「そうだ、だが、俺は人間に良く似た魔族、しかも魔王種という種族だった。だから、種族なんて関係ない」

「そんな…それでは、リヒト様は...狂っていますわ」

「ああっ狂っているかもな? 魔王が勝利して全てが狂ったんだ…リリも俺も…だがな、世界は本当は、はるか前から狂っていたんだよ…そんな事にだれも気がつかなかったんだ」

「どういう事ですの?」

「だってそうだろう? ガイアやセシリアやリサが門に吊るされる時に、誰も魔族に石すら投げないでただ見ていた」

そうだ、あいつ等は誰も魔族に何もしなかった。

騎士だっていた筈だ。

「それは、誰だって魔族は怖い、当たり前ですわ」

そこが間違っている。

「だが、俺達はどうだった? 勇者パーティは、魔族相手に死ぬ気で戦わされていたんだぜ、馬鹿だよな、そして死んだら、罵倒だよ…負けたからこんな事になった、だとよ」

「…それではリヒト様はどうお考えですの」

「自分達だけが良ければ良い。それが皆の考えなら『俺も同じにすれば良かった』結果が解っているなら..魔族側に寝返えるだけで…リリも俺も幸せだったかも知れない…いや、戦いにそもそも参加しない…そういう選択もあった…一緒に逃げて二人で暮らせば幸せだった」

「確かにそうかも知れませんわね」

「あっさり認めるんだな」

「私もこんな姿になった途端に、沢山の婚約者候補が全員居なくなりましたわ…そして屋敷からも追い出されましたわ…正直言いまして魔族の世界になった時は、少しざまぁ見ろと思いましたわ…まぁ、まさか自分が最低の奴隷にまで落とされるとは思いませんでしたわね…まぁ食肉よりはましですわ」

しかし、股間から声が聞こえてくるのは何と言えないが…

「だから、俺達は『自分を優先』していきていく、主な目的はリリを元に戻す事だ…だからロザリアを買ったのは、悪魔の情報を知りたかった」

「私は…今話した通り、何もしりませんわ」

「ああっそれなら、俺が外に出ている間のリリのお守りを頼む…まぁ友達みたいにしながら、色々面倒をみてくれ…対価は衣食住の保証とロザリアの体を元に戻す手助けをする事でどうだ?」

「私は奴隷ですわ…そんな存在にそんな対価宜しいのですか?」

「ああっ、俺が欲しいのは奴隷でなく仲間だからな」

「それなら、お願いしますわ」


「あうあうわうわぁぁぁぁーーー」

「ああっ、リリごめん..すぐにご飯の支度するから、ロザリアも少し待っててくれ」

「リヒト様がするのですか?」

「ああっ」

仕方ないだろう…俺しかできねーんだから。



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