【石のやっさん旧作】勇者に寝取られた幼馴染が銅貨3枚で売られていた。

石のやっさん

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エリクサール

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オークランドは、滅びた。

あとは残党を殺しながら…戦利品の回収だ。

部下はブータムが犯すように指示したと言っていたが、城には苗床の様な女が居なかった。

妻が居て娘が居たのだから…ブータムが言った通り部下の方が悪かったのだろう。

いずれにしても…戦利品の回収だ。

宝物庫の中を漁ると…価値が解らないのか、リサが持っていた、収納袋(無限)があった。

流石に無限ではないが…多分、小さな城が丸ごと入る容量を持つ。

聖剣すら転がっていた。

そのまま貰っておく。

めんどくさいから、全部丸ごと入れる…えっ、嘘だろう…まさかガイアのパーティの誰かが持っていたのか…神秘の薬、エルクサール

これは、死んでさえなければ全ての病気…怪我を治す奇跡の薬…確か全世界に12本しかない…そのうちの2本が此処にある。

やった…これなら、これなら…リリが治せる。

これこそが、人類最強の治療薬…これで治らなければ、人類の方には治療手段がない。

はやる心を押さえながら、城の宝物や使えそうな物を全部収納袋に突っ込んだ。

リサの袋は同じパーティのせいか使う事が出来る。

城の方が終わったら…横の大きな屋敷に入った。

なんだ、まだ残党が居たのか…

「うわぁぁぁぁーーーっ」

「死ね」

さっきと全然違う…ただのオークを幾ら殺してももうレベルは上がらないのかも知れない。

王城程では無いが此処の宝物庫にもなかなかの物がある…だが、問題はもう一つの扉だ。

「ううっううーーー」

「誰かたすけて…」

やはり、嘘をついていたのは部下だったな…

この世界にはもう人の生きる場所は無い。

逃がしてあげても、誰かに捕まり、殺されるか…さらにひどい事をされるだけだ…

今の俺には彼女達は守れない…

『ごめん』もう俺は人間ではない…「

「魔霧」

オークが簡単に死ぬんだ…人間は簡単に死ぬだろう…

俺は苗床になっている女や檻の中の男を霧を使って殺していった。

皮肉な事に俺の体は人間を殺してもレベルが上がる。

まるで人間は別腹とでもいう様にレベルが上がった。

1件ずつ全て見て周り…生き残りのオーク、苗床状態の人間の女を殺して歩いた。

これだけあれば、一生所か二生三生は遊んで暮らせるだけの物がある…

最初に焼いたり霧で殺してしまったから、少ないが残りのオークは刃物で殺して解体していった。

もしかしたら、これで全員殺したと思うが…最後に

「ファイヤーボール」「光の翼だーーーっ」

瞬く間に炎が広がっていく…これで良い筈だ。

◆◆◆

エルクサールに莫大な金や宝石に経験値…今回の収穫は大きい。

これなら…リリが治せる…これで俺の目的は達成されたのかも知れない。

俺は…リリに少しでも早く会いたくて…これでもかと素早く走って帰った。

少しでも早く…リリに会いたい。

昔のリリに早く会いたい…これで会えるんだーーーっ


奇跡は...

飛び込む様にして宿に帰った。

「どうしたのです、そんなに急いで、何かあったのですか?」

「あう~?」

「ああっ、もしかしたら、お前もリリも治せるかも知れない」

「本当なのです…ああっなんて素晴らしい日なのでしょうか」

俺はエリクサールについてロザリアに話した…

「あの、伝説の秘薬が…手に入ったのですか?…それなら、絶対に治る筈ですわ」

「だが、これで治すには一瞬が勝負だ手伝って欲しい」

「解りましたわ…そのリリさんが終わりましたら…私も」

「安心しろ..必ず治してやる」

「うん?」

リリは無邪気にこちらを見つめている…

◆◆◆

「うぐぅぅぅぅぅーーーーっ」

俺はリリをロザリアと一緒にベッドに括りつけ猿轡を噛ませた。

今から、俺はリリに酷い事をする。

手に入れた聖剣をかざした。

「良いか、俺が首を跳ねて、体の方を投げ飛ばす…その瞬間に…」

「私がエリクサールを振りかければ良いのですわね」

そう、これは一瞬の勝負、エルクサールは『元に戻す』ここ迄壊れてしまった状態であれば、壊れた部分を切断して…正常な部分から再生する必要がある。

だから、首を切断して…リリが死ぬ前にエリクサールを頭に振りかける。

それが必要だ。

「行くぞ…」

「任されましたわ」

「うぐぅぅぅぅぅーーーーっ」

俺は聖剣を振り下ろし、一瞬でリリの首を跳ねた。

その瞬間リリの体を蹴り飛ばす。

「今だ」

「はいですわ」

ロザリアがエリクサールを振りかける。

リリの首が光り輝きだした。

「やった、成功だ」

「やりましたわ」

リリの首から体が生えてきた…だが見た瞬間…

「ああっ、駄目ですわ…リリさんがこれなら…私も、私も…ああっ女神の奇跡が通じないなんて..あああああぁぁぁぁぁぁぁーーーっ絶望しかありませんわーーーっ」

生えてきたリリの体は、切断前の体と全く同じ体だった。

そうか…確か、神官様は言っていた。

『今の状態を体がもう『正常』と判断している』

つまり…エリクサールすら、今の体を正常と判断してこの状態に戻してしまう。

駄目だ…もう人間側には…リリを元に戻す手段はない。

これからは『魔族側』で治す方法を探すしかない。

リリ…ごめん…

その時、リリの猿轡が暴れたショックで外れた…

「リヒト、リヒトーーーーーっ助けて、いやぁあぁぁぁぁーーーっ、嫌だよーーー」

嘘だろう…まさか、エリクサールのせいで…精神の方が治ってしまったのか…

不味い

「死ななきゃ…リヒト見ないで死ななきゃううううーーーっ」

ヤバイ、ヤバイ、リリが舌を噛んでいる、血が出ている。

咄嗟に俺はリリに覆い被さり鼻をつまもうとした。

「嫌ぁ、いやぁぁぁぁぁぁぁーーーっ、このまま、このまま死なせて…今の私を見られたくないーー死なせてーーっ」

何とか鼻を摘まんで..息継ぎの瞬間..指をリリの口に突っ込んだ。

「痛いっ」

だが、痛みなんて気にしている場合じゃない。

噛まれた指を気にしないでもう片方の腕でリリを抱きしめた。

それでも、リリは狂ったように指を噛んでくる。

「うぐ。しましゅてーーーっ」

指からは血が滴り…指の骨が見えている。

リリの為なら指の2本位…要らない。

泣き叫ぶリリを抱きしめながら…絶望から座り込むロザリアを見て…ただただ絶望するしか無かった。
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