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新しい始まり
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記憶が戻ったリリは大変だった。
「こんな汚れた姿で、どうして、どうしてリヒトの前に居られるというのよ...」
「私、本当のゴミだから...捨てるか、殺した方が良いよ..」
これで良い方だ...
悪い方に傾くと...
「いやぁぁぁぁぁぁーーーっ、殺して、私を殺してーーーっ」
と殺してくれと叫びまくるか...油断していると自殺を図ろうとする。
幸い、お金には困っていないのと、ここの宿屋の主人や奥さんはゴブリンなので怖がって俺には文句を言ってこない。
だからリリに付きっ切りで居られる。
ロザリアと俺が交代交代で見ているが...目を離すといつ死ぬか解らない。
だから...仕方ないから脅しを掛けた。
「リリ、俺はお前が好きだ...だからお前が死んだら生きていけない。それで良いなら死ねば良い...だが、お前が死んだら、俺は直ぐに後追って死ぬからな...もし死ぬなら、それは俺を殺すのと同じだ」
それを言った途端、リリは真っ青になった。
「ずるいよ...それを言われたら、私、死ねないじゃない...こんな雌豚...公衆便器以下の姿を晒しても、生きろ...そう言うの」
「ああっ、それでも俺はリリに生きて欲しい」
「解ったよ...その代わり、リヒトが要らなくなったら言って...自分で死ぬから」
「その日は絶対に来ないな」
リリの『死にたい』その気持ちは異常なほど強い。
奴隷紋ですら止められないのだから。
◆◆◆
「リリ、ロザリア、ご飯が出来たよ」
「はーい」
「はいですわ」
悪夢のような一夜が明けて朝が来た。
お金というならもう腐るほどある、もしかして寿命も無いかもしれない俺は兎も角、二人が一生どころか三生生きても使えない位はある。
エリクサールで治った場所が他にもある。
それはリリの腰だ。
流石に歩けない程の異常はエリクサールも可笑しいと捕らえたのだろう...歩けるようになった。
「今日のご飯は卵焼きとサラダとスープにパンだ...懐かしいだろう」
「そういえば、よく昔食べたわね、懐かしいわ」
「美味しそうですわ」
リリが座れるのだから、テーブルで食べても良いが、ロザリアの事情でそうはいかない。
ロザリアの口は股間にある。
ロザリアは大きく股を開くと、ナイフとフォークで股の間の口へと食事を運んで食べている。
男の俺から見ると実に悩ましい。
「リヒト...なんでロザリアを見ているのかな?」
「ちょ、恥ずかしいですわ」
「あっ...ごめん」
二人から白い目で見られた。
「リリ、ロザリア...少し話をして良いか?」
食事が終わり、紅茶を出した後、俺は少し話をすることにした。
「どうしたの? リヒト改まって」
「どうかされましたか?」
「二人の外見、だけど、そのままじゃダメなのか?」
「リヒト...どういう事?...」
「リヒト様...酷いですわ」
最近になって思う事がある。
俺がどんどん魔族として成長しているからかも知れない。
今の俺には外見の拘りは...あまりない。
だって、今や魔族が支配した世界なんだ、人間の美しさに価値なんて無い。
実際に奴隷市場で売られている人間で価値があるのは「筋肉質で壊れない女」だ。
リリもロザリアも人間の目から元は美少女だが...壺屋で売られる程魔族にとっては価値が無い。
「いや、俺が好きになったのはリリの外観じゃない中身だ...そういう意味なら、今のリリでも十分すぎるほどそばに居てくれて嬉しい。ロザリアだって一緒にわずかだが居て良い奴だと解る」
「リヒト?」
「リヒト様?」
「簡単に言うなら、今の姿でも十分魅力的だと言う事だ、それ俺の姿を見てみろよ? 最早魔王その者だぜ...人間の世の中なら、ガイアが聖剣もって追ってきて教会に殺されかねない、醜い姿だ」
「確かにリヒトの姿は美青年だけど...確かに魔王そのものに近く見えるね」
「魔王ってそんな姿なのですか...」
「世界は魔族の物になり...人間の美しさその物の判断基準が今は違う...外を歩けば魔族しかいないし、この宿のオーナーもゴブリンだ...人としての美しなんて最早価値はないと思う」
「そうか...そうだよね人間が負けたから...価値が違うんだ」
「それでも、私は...魔族からも気味悪がられていましたわ」
うっリリは兎も角、ロザリアは違うな。
駄目だ...上手く言えない。
「あーあ、あーあ、上手く言えないけど...充分二人は綺麗だと言う事だ...悪い、ちょっと出かけてくる」
「リヒト...ありがとう」
「リヒト様、ありがとうですわ」
なんだか恥ずかしくなり...俺は振り返らずに外に出た。
「こんな汚れた姿で、どうして、どうしてリヒトの前に居られるというのよ...」
「私、本当のゴミだから...捨てるか、殺した方が良いよ..」
これで良い方だ...
悪い方に傾くと...
「いやぁぁぁぁぁぁーーーっ、殺して、私を殺してーーーっ」
と殺してくれと叫びまくるか...油断していると自殺を図ろうとする。
幸い、お金には困っていないのと、ここの宿屋の主人や奥さんはゴブリンなので怖がって俺には文句を言ってこない。
だからリリに付きっ切りで居られる。
ロザリアと俺が交代交代で見ているが...目を離すといつ死ぬか解らない。
だから...仕方ないから脅しを掛けた。
「リリ、俺はお前が好きだ...だからお前が死んだら生きていけない。それで良いなら死ねば良い...だが、お前が死んだら、俺は直ぐに後追って死ぬからな...もし死ぬなら、それは俺を殺すのと同じだ」
それを言った途端、リリは真っ青になった。
「ずるいよ...それを言われたら、私、死ねないじゃない...こんな雌豚...公衆便器以下の姿を晒しても、生きろ...そう言うの」
「ああっ、それでも俺はリリに生きて欲しい」
「解ったよ...その代わり、リヒトが要らなくなったら言って...自分で死ぬから」
「その日は絶対に来ないな」
リリの『死にたい』その気持ちは異常なほど強い。
奴隷紋ですら止められないのだから。
◆◆◆
「リリ、ロザリア、ご飯が出来たよ」
「はーい」
「はいですわ」
悪夢のような一夜が明けて朝が来た。
お金というならもう腐るほどある、もしかして寿命も無いかもしれない俺は兎も角、二人が一生どころか三生生きても使えない位はある。
エリクサールで治った場所が他にもある。
それはリリの腰だ。
流石に歩けない程の異常はエリクサールも可笑しいと捕らえたのだろう...歩けるようになった。
「今日のご飯は卵焼きとサラダとスープにパンだ...懐かしいだろう」
「そういえば、よく昔食べたわね、懐かしいわ」
「美味しそうですわ」
リリが座れるのだから、テーブルで食べても良いが、ロザリアの事情でそうはいかない。
ロザリアの口は股間にある。
ロザリアは大きく股を開くと、ナイフとフォークで股の間の口へと食事を運んで食べている。
男の俺から見ると実に悩ましい。
「リヒト...なんでロザリアを見ているのかな?」
「ちょ、恥ずかしいですわ」
「あっ...ごめん」
二人から白い目で見られた。
「リリ、ロザリア...少し話をして良いか?」
食事が終わり、紅茶を出した後、俺は少し話をすることにした。
「どうしたの? リヒト改まって」
「どうかされましたか?」
「二人の外見、だけど、そのままじゃダメなのか?」
「リヒト...どういう事?...」
「リヒト様...酷いですわ」
最近になって思う事がある。
俺がどんどん魔族として成長しているからかも知れない。
今の俺には外見の拘りは...あまりない。
だって、今や魔族が支配した世界なんだ、人間の美しさに価値なんて無い。
実際に奴隷市場で売られている人間で価値があるのは「筋肉質で壊れない女」だ。
リリもロザリアも人間の目から元は美少女だが...壺屋で売られる程魔族にとっては価値が無い。
「いや、俺が好きになったのはリリの外観じゃない中身だ...そういう意味なら、今のリリでも十分すぎるほどそばに居てくれて嬉しい。ロザリアだって一緒にわずかだが居て良い奴だと解る」
「リヒト?」
「リヒト様?」
「簡単に言うなら、今の姿でも十分魅力的だと言う事だ、それ俺の姿を見てみろよ? 最早魔王その者だぜ...人間の世の中なら、ガイアが聖剣もって追ってきて教会に殺されかねない、醜い姿だ」
「確かにリヒトの姿は美青年だけど...確かに魔王そのものに近く見えるね」
「魔王ってそんな姿なのですか...」
「世界は魔族の物になり...人間の美しさその物の判断基準が今は違う...外を歩けば魔族しかいないし、この宿のオーナーもゴブリンだ...人としての美しなんて最早価値はないと思う」
「そうか...そうだよね人間が負けたから...価値が違うんだ」
「それでも、私は...魔族からも気味悪がられていましたわ」
うっリリは兎も角、ロザリアは違うな。
駄目だ...上手く言えない。
「あーあ、あーあ、上手く言えないけど...充分二人は綺麗だと言う事だ...悪い、ちょっと出かけてくる」
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