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13>>義妹への仕返し
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バチッ、バリッ、と雷魔法が響く音が何度も何度も聞こえます。
「貴女なんか要らないのよ!
この失敗作! 出来損ない!!」
キーーッ、と高い声を更に高くしながらララーシュがヒステリックに雷魔法を飛ばします。
雷魔法も五属性の複合技で、光魔法からの派生ではないかと言われています。ですが前世を思い出したわたくしには、この雷魔法は光の魔力ではなく風の魔力系ではないかと思います。だって静電気の強い版でしょ? ピカピカ光るけど光の魔力とは違う物理的なものだと思うんですよね。
「……っ!!」
なんて、無関係な事を考えていたらララーシュが飛ばした雷魔法が頭を掠めました。鋭い痛みが頭を駆け抜けて悲鳴を上げそうになります。でもわたくしの喉はただ引き攣って声が出る事はありません。声を出して痛がれば、もっと怒られるからです。体が『悲鳴を上げてはいけない』と覚えさせられてしまったのです。
ですが、ララーシュはそれに眉を顰めます。彼女はきっと悲鳴を聞きたいのでしょう。
「もう! つまんない!! なんとか言ったらどうなの!?」
「や、止めてちょうだい……」
「嫌よ! 悪いのは貴女なんだから!? 貴女がみんなに謝るのが先でしょ!!」
バリンッと彼女の飛ばした小さな雷が壁に当たって弾けます。
わたくしはそれに肩を窄めて身を縮こませます。
「わ、わたくしは何も……」
「じゃあ、貴女じゃなかったら誰なのよ!! 無能な貴女が何かやったとしか考えられないんだから!! 白状しなさい!!」
「……っ!!」
バリバリバリバリッと一層大きな音が響きます。
頭に血の上ったララーシュが大きな雷を頭の上に作っていました。
「や、止めて……っ!」
さすがにあんなのを食らっては堪りません。大火傷どころではない気がします。
ですが頭に血が上ったララーシュにはそれがわからないのです。青筋を立てた鬼の形相でわたくしを睨みつけてきます。
「貴女なんか……要らないのよ……」
そう言ってララーシュはわたくしに雷魔法を放とうとしました。
「っ!!」
わたくしも咄嗟でした。
咄嗟に、
ララーシュの頭に上った血を下げたのです。
ゴンッ!!!
っと大きな音を立ててララーシュが後頭部から床に倒れました。
頭の血が一気に下に下がったのです。急激な貧血を起こしたような状態のララーシュは一瞬で意識を失って倒れたのです。そして受け身も取れない体はそのまま後ろに倒れて後頭部と床が激突しました。ララーシュの意識が途切れた瞬間に魔法も消えます。
「ら、ララーシュ……?」
恐る恐る声を掛けたわたくしに、義妹は返事をしてくれません。
「だ、誰かっ!! 誰か来てください! ララーシュがっ!!!」
ララーシュの名前を出せばメイドなどがわたくしの声にも反応してくれます。
廊下に待機してたであろうララーシュ付きの侍女たちが慌てて部屋に入ってきて、ララーシュを介抱します。
わたくしを睨み付けてきますが、彼女たちもわたくしに何かができるなどと思ってはいないので、混乱しながらもララーシュを連れて部屋を出て行きました。最後に出ていく一人が
「呪われてんじゃないの……」
とわたくしを睨みながら呟いて去っていきました。
『わたくしが呪われているのに、被害があるのはわたくしとは別の人』だなんて、なんて面白い“呪い”なんでしょう。言った本人はおかしいとは思わないのでしょうか?
とはいえ皆がわたくしを無能だと思っているので、わたくしが何をしても、わたくしのせいにはならないのは嬉しいものですね。
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バチッ、バリッ、と雷魔法が響く音が何度も何度も聞こえます。
「貴女なんか要らないのよ!
この失敗作! 出来損ない!!」
キーーッ、と高い声を更に高くしながらララーシュがヒステリックに雷魔法を飛ばします。
雷魔法も五属性の複合技で、光魔法からの派生ではないかと言われています。ですが前世を思い出したわたくしには、この雷魔法は光の魔力ではなく風の魔力系ではないかと思います。だって静電気の強い版でしょ? ピカピカ光るけど光の魔力とは違う物理的なものだと思うんですよね。
「……っ!!」
なんて、無関係な事を考えていたらララーシュが飛ばした雷魔法が頭を掠めました。鋭い痛みが頭を駆け抜けて悲鳴を上げそうになります。でもわたくしの喉はただ引き攣って声が出る事はありません。声を出して痛がれば、もっと怒られるからです。体が『悲鳴を上げてはいけない』と覚えさせられてしまったのです。
ですが、ララーシュはそれに眉を顰めます。彼女はきっと悲鳴を聞きたいのでしょう。
「もう! つまんない!! なんとか言ったらどうなの!?」
「や、止めてちょうだい……」
「嫌よ! 悪いのは貴女なんだから!? 貴女がみんなに謝るのが先でしょ!!」
バリンッと彼女の飛ばした小さな雷が壁に当たって弾けます。
わたくしはそれに肩を窄めて身を縮こませます。
「わ、わたくしは何も……」
「じゃあ、貴女じゃなかったら誰なのよ!! 無能な貴女が何かやったとしか考えられないんだから!! 白状しなさい!!」
「……っ!!」
バリバリバリバリッと一層大きな音が響きます。
頭に血の上ったララーシュが大きな雷を頭の上に作っていました。
「や、止めて……っ!」
さすがにあんなのを食らっては堪りません。大火傷どころではない気がします。
ですが頭に血が上ったララーシュにはそれがわからないのです。青筋を立てた鬼の形相でわたくしを睨みつけてきます。
「貴女なんか……要らないのよ……」
そう言ってララーシュはわたくしに雷魔法を放とうとしました。
「っ!!」
わたくしも咄嗟でした。
咄嗟に、
ララーシュの頭に上った血を下げたのです。
ゴンッ!!!
っと大きな音を立ててララーシュが後頭部から床に倒れました。
頭の血が一気に下に下がったのです。急激な貧血を起こしたような状態のララーシュは一瞬で意識を失って倒れたのです。そして受け身も取れない体はそのまま後ろに倒れて後頭部と床が激突しました。ララーシュの意識が途切れた瞬間に魔法も消えます。
「ら、ララーシュ……?」
恐る恐る声を掛けたわたくしに、義妹は返事をしてくれません。
「だ、誰かっ!! 誰か来てください! ララーシュがっ!!!」
ララーシュの名前を出せばメイドなどがわたくしの声にも反応してくれます。
廊下に待機してたであろうララーシュ付きの侍女たちが慌てて部屋に入ってきて、ララーシュを介抱します。
わたくしを睨み付けてきますが、彼女たちもわたくしに何かができるなどと思ってはいないので、混乱しながらもララーシュを連れて部屋を出て行きました。最後に出ていく一人が
「呪われてんじゃないの……」
とわたくしを睨みながら呟いて去っていきました。
『わたくしが呪われているのに、被害があるのはわたくしとは別の人』だなんて、なんて面白い“呪い”なんでしょう。言った本人はおかしいとは思わないのでしょうか?
とはいえ皆がわたくしを無能だと思っているので、わたくしが何をしても、わたくしのせいにはならないのは嬉しいものですね。
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