王子様の白百合

伏見うづら

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マキシはエリオットの手を取り、自分の手で包み込む。

そのまま二人分の手を自分の額に寄せ、祈るように目を閉じた。



「私は、Ω性が蔑視されている現状が許せなくて、そのために力を尽くしてきた。」



切実なその様子に、エリオットは黙ってその様子を見つめるしかできなかった。



「…Ω性の人々のために、教育や就職の制度を整えた。これまでの意識改革のために、官吏の採用試験から第二性の要件も撤廃した…。この春からは、Ω性の官吏が、十数名誕生する。」



森には新聞も届かない。

エリオットが屋敷を離れた7年の間に、社会がそれほど変わるなんて、俄かに信じ難かった。



「君に出会うまでは、それは全部、あの子のためだった。自分が然るべき地位に就いて、あの子達Ωが虐げられることなく、幸せに暮らせる国を作りたかった…。いつか、あの子、エリオットを迎えにいくために…」



「…え」



「次期国王として正式に皇太子になった後、ようやくエリオットを迎えに行けると思ったのに、ラザフォード伯爵家から、エリオットは亡くなったと聞かされて、私がどれほど自分を責めたか…。そんなときに君が現れたんだ。」



今すぐ目の前のマキシに抱き着いて、エリオットはここだと叫びたいのに、うまく声が出ない。胸の高鳴りが抑えきれなくて、爆発してしまいそうだった。



何も返さないエリオットに気が付いて、マキシは、はっと顔を上げた。



「違うんだ。君とエリオットを重ねて、君をエリオットの代わりにしていたわけじゃない…!でも、なぜだか、自分でも分からないうちに、君を見るとエリオットと一緒にいた頃のような、温かくて、愛おしい気持ちが溢れて、」



エリオットは、涙を流しながら、マキシを見つめ、微笑んだ。



「…マックス、」



懐かしいその呼び名に、マキシ、いや、マックスは目を見開いた。



「、エリオット、なのかい…」



マックスはエリオットの頬に手を伸ばした。



「本当に、エリオット、君なのかい…?」



顔の輪郭を、鼻筋を、耳の形を。一つ一つ確かめるように指を滑らせる。



そうしてようやく確認を終えると、強く、強く、エリオットを抱きしめた。

もう一度目が合うと、どちらともなく深く唇を合わせた。



エリオットは自分の内側から湧き上がるような熱に、身が焦がされそうだった。

それはきっと、マックスも同じだと、何故だかそう確信が持てた。

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