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マックスの手を取り、自分の小屋へ二人で走り出す。
深く積もった雪のせいで、足が取られ、ふらつきながら。
偶にバランスを崩して、二人して、雪に転がるように倒れると、くすくすと笑い合い、見つめ合い、また、貪るようにキスをする。
そうやって、雪まみれのまま小屋になだれ込むと、小屋の中にはマックスの香りが充満して、エリオットは腰が砕け、床にへたりと座り込んだ。
もうその香りだけで、たまらない。
自分の体を思わず掻き抱くと、その腕をマックスが半ば強引に解いて抱き寄せた。
「…っエリオット…。いいね…?」
耳元でマックスが囁く。
いつも落ち着いた柔らかなマックスの声が、上擦っている。
吐息交じりのその囁きは、今のエリオットにとって、もはや耳朶への愛撫だった。
耳から頬へ、頬から首へと下降していくマックスの唇が、エリオットの熱をどんどん高めていく。
エリオットは儘ならない返事の代わりに、マックスの頭を抱え、きゅ、と抱きしめた。
マックスが顔を上げると、熱でうるんだエリオットの目が、全てを物語っていた。
もう一度深く口づけ、エリオットの粗末な衣服を剝いでいく。
骨がうっすらと浮いている貧相な自分の体が恥ずかしくて、俯いて顔を逸らすが、マックスはそれも赦さない。
エリオットが逸らした顔を両手で包み込み、こちらを向けさせると、額に、ちゅ、とキスを落とした。
「…きれいだ。こんなに綺麗なものは、今まで見たことが無い。」
黄金の瞳は今にも蕩けそうだ。
本当に蜂蜜みたい。
エリオットもマックスにキスがしたいのに、熱に浮かされた体は言うことをきかない。
上体を自分で起こすことも儘ならないので、近くにあったマックスの腕に、ちゅ、ちゅと必死に唇を寄せた。
まるで小鳥が啄むような、拙いキスは、マックスをさらに昂らせた。
「っ、エリオット、君という人は…!」
マックスは自分の衣服も脱ぎ捨てると、エリオットの薄い胸に顔を埋めた。
乳首に唇を寄せると、エリオットが小さく声をあげた。
「うっ、ひっうっ、」
「エリオットは、胸が好き?」
「そ、な、こと、きかない、でぇ、」
「唇を寄せただけでこれでは、この先が、心配になるよ、」
マックスはそのままパクリと桃色の飾りを口に含んだ。もう片方は長い指で弄びながら、エリオットの表情を窺っている。
「ひっ、ああ、まっくす、やだ、」
口に含んだ方は舌で丹念に愛撫し、指でつつくように弄られているもう片方は、時折わざと爪を立てられる。
「いじわる、しない、でぇ、」
エリオットが涙ながらに訴えると、マックスは胸にちゅ、とキスを落として、エリオットに向き合った。
「…ごめんね、エリオットのこと、すごく大切で、可愛がりたいのに、どうしようもなく、辱めてしまいたくなるんだ、」
乳首を虐めるのを止めたマックスは、エリオットの唇に深いキスを落とした。
口内を貪るようなキスに、エリオットが必死に応えていると、マックスの意地悪な指先は、するするとエリオットの下腹部まで下りてきて、へそを擽る。
ごめん、なんて謝っていたくせに、マックスはまるで遠慮がなく、今度は指だけでなく、唇で、先ほどと同じようにキスをしながらどんどん下降していく。
そうして行きついた先での胸への愛撫を思い出し、エリオットは恥ずかしさと、確かにそこにある期待で、おかしくなってしまいそうだった。
「あ、あ、まっ、くす、」
エリオットは、目をぎゅ、と瞑り、マックスの名を呼ぶのが精一杯だった。
とうとう足の付け根まで到達したキスは、そこではたりと下降を止めた。
期待していた感触が無くて、エリオットが恐る恐る目を開け、そこを見ると、ふるふると立ち上がる自分自身をマックスが見つめている。
「や、やだぁ、みない、で、」
「うれしいよ、エリオット。すごく、可愛い。」
Ωのくせに、浅ましくも主張するそれが、マックスに観察されている事実が直視できず、エリオットは思わず顔を逸らす。
すると今度は、自身の先端に、暖かいなにかが触れて、弾かれるように上体を起こした。
「な、なに、して、る、の…!ま、っくす、やだ、やめてぇ、ひぁ、あ、」
あろうことかマックスは、震えるエリオットのそれに舌を這わせ、ぺろりと先端を舐めたのだ。
「ん、ふ… エリオットは、どこも、本当に良い匂いがする…」
この国で国王の次に尊い身分の皇太子が、こんな粗末な小屋の固いベッドで、自分の中心を舐めている。エリオットは羞恥心で脳が焼き切れそうだった。
「やぁ、そん、なとこ、きたない、やめてぇ、まっくす、や、あ」
「エリオットに、汚いところなんて、ないよ。どこもかしこも、百合の香りがする…」
ちゅ、ちゅ、とエリオットの花芯に絶えず唇を寄せながら、マックスは愛おしそうに目を細めた。
「ゆ、り…?」
「そうだよ、エリオット。君は子供の頃から、ずっと、白百合のような香りがするんだ。だからあの頃から私は、君はきっとΩだと分かっていたよ。」
そこを可愛がるのを一旦やめたマックスが起き上がり、エリオットの首筋に顔を埋める。
「清廉で、凛としていて。この香りを嗅ぐと、僕は癒されて、でも、同時に…」
首の後ろの柔らかい皮膚にマックスの唇が触れ、ぴり、としたわずかな痛みを感じる。
強く皮膚を吸われ、それが執拗に何度も繰り返される。
Ωにとって、他人から一番守らなければならない、最も脆弱な急所を、目の前のαに晒し、いいようにされている。
その事実にエリオットは小さな震えを止めることができない。
恐ろしいのに、どうしようもなくそれが、
「 とても、昂って、抑えられない…」
首の皮膚に、尖った鋭利なものが当てられる。マックスの白く、美しい配列で並んだ歯を思い出す。
上品に整列した歯の中で、異質な尖った犬歯。
あの鋭い歯が、皮膚を突き破る瞬間を想像し、エリオットは目を細めた。
恐ろしい。とても怖い。でも、どうしようもなく嬉しい。
ぐ、と、当てられた歯に圧を感じる。
いよいよ、噛まれるのだ。
ぎゅ、と目を閉じる。体の奥から何かがどんどん湧き上がってくる。
だが、当てられた犬歯がエリオットの皮膚に食い込むことは無かった。
深く積もった雪のせいで、足が取られ、ふらつきながら。
偶にバランスを崩して、二人して、雪に転がるように倒れると、くすくすと笑い合い、見つめ合い、また、貪るようにキスをする。
そうやって、雪まみれのまま小屋になだれ込むと、小屋の中にはマックスの香りが充満して、エリオットは腰が砕け、床にへたりと座り込んだ。
もうその香りだけで、たまらない。
自分の体を思わず掻き抱くと、その腕をマックスが半ば強引に解いて抱き寄せた。
「…っエリオット…。いいね…?」
耳元でマックスが囁く。
いつも落ち着いた柔らかなマックスの声が、上擦っている。
吐息交じりのその囁きは、今のエリオットにとって、もはや耳朶への愛撫だった。
耳から頬へ、頬から首へと下降していくマックスの唇が、エリオットの熱をどんどん高めていく。
エリオットは儘ならない返事の代わりに、マックスの頭を抱え、きゅ、と抱きしめた。
マックスが顔を上げると、熱でうるんだエリオットの目が、全てを物語っていた。
もう一度深く口づけ、エリオットの粗末な衣服を剝いでいく。
骨がうっすらと浮いている貧相な自分の体が恥ずかしくて、俯いて顔を逸らすが、マックスはそれも赦さない。
エリオットが逸らした顔を両手で包み込み、こちらを向けさせると、額に、ちゅ、とキスを落とした。
「…きれいだ。こんなに綺麗なものは、今まで見たことが無い。」
黄金の瞳は今にも蕩けそうだ。
本当に蜂蜜みたい。
エリオットもマックスにキスがしたいのに、熱に浮かされた体は言うことをきかない。
上体を自分で起こすことも儘ならないので、近くにあったマックスの腕に、ちゅ、ちゅと必死に唇を寄せた。
まるで小鳥が啄むような、拙いキスは、マックスをさらに昂らせた。
「っ、エリオット、君という人は…!」
マックスは自分の衣服も脱ぎ捨てると、エリオットの薄い胸に顔を埋めた。
乳首に唇を寄せると、エリオットが小さく声をあげた。
「うっ、ひっうっ、」
「エリオットは、胸が好き?」
「そ、な、こと、きかない、でぇ、」
「唇を寄せただけでこれでは、この先が、心配になるよ、」
マックスはそのままパクリと桃色の飾りを口に含んだ。もう片方は長い指で弄びながら、エリオットの表情を窺っている。
「ひっ、ああ、まっくす、やだ、」
口に含んだ方は舌で丹念に愛撫し、指でつつくように弄られているもう片方は、時折わざと爪を立てられる。
「いじわる、しない、でぇ、」
エリオットが涙ながらに訴えると、マックスは胸にちゅ、とキスを落として、エリオットに向き合った。
「…ごめんね、エリオットのこと、すごく大切で、可愛がりたいのに、どうしようもなく、辱めてしまいたくなるんだ、」
乳首を虐めるのを止めたマックスは、エリオットの唇に深いキスを落とした。
口内を貪るようなキスに、エリオットが必死に応えていると、マックスの意地悪な指先は、するするとエリオットの下腹部まで下りてきて、へそを擽る。
ごめん、なんて謝っていたくせに、マックスはまるで遠慮がなく、今度は指だけでなく、唇で、先ほどと同じようにキスをしながらどんどん下降していく。
そうして行きついた先での胸への愛撫を思い出し、エリオットは恥ずかしさと、確かにそこにある期待で、おかしくなってしまいそうだった。
「あ、あ、まっ、くす、」
エリオットは、目をぎゅ、と瞑り、マックスの名を呼ぶのが精一杯だった。
とうとう足の付け根まで到達したキスは、そこではたりと下降を止めた。
期待していた感触が無くて、エリオットが恐る恐る目を開け、そこを見ると、ふるふると立ち上がる自分自身をマックスが見つめている。
「や、やだぁ、みない、で、」
「うれしいよ、エリオット。すごく、可愛い。」
Ωのくせに、浅ましくも主張するそれが、マックスに観察されている事実が直視できず、エリオットは思わず顔を逸らす。
すると今度は、自身の先端に、暖かいなにかが触れて、弾かれるように上体を起こした。
「な、なに、して、る、の…!ま、っくす、やだ、やめてぇ、ひぁ、あ、」
あろうことかマックスは、震えるエリオットのそれに舌を這わせ、ぺろりと先端を舐めたのだ。
「ん、ふ… エリオットは、どこも、本当に良い匂いがする…」
この国で国王の次に尊い身分の皇太子が、こんな粗末な小屋の固いベッドで、自分の中心を舐めている。エリオットは羞恥心で脳が焼き切れそうだった。
「やぁ、そん、なとこ、きたない、やめてぇ、まっくす、や、あ」
「エリオットに、汚いところなんて、ないよ。どこもかしこも、百合の香りがする…」
ちゅ、ちゅ、とエリオットの花芯に絶えず唇を寄せながら、マックスは愛おしそうに目を細めた。
「ゆ、り…?」
「そうだよ、エリオット。君は子供の頃から、ずっと、白百合のような香りがするんだ。だからあの頃から私は、君はきっとΩだと分かっていたよ。」
そこを可愛がるのを一旦やめたマックスが起き上がり、エリオットの首筋に顔を埋める。
「清廉で、凛としていて。この香りを嗅ぐと、僕は癒されて、でも、同時に…」
首の後ろの柔らかい皮膚にマックスの唇が触れ、ぴり、としたわずかな痛みを感じる。
強く皮膚を吸われ、それが執拗に何度も繰り返される。
Ωにとって、他人から一番守らなければならない、最も脆弱な急所を、目の前のαに晒し、いいようにされている。
その事実にエリオットは小さな震えを止めることができない。
恐ろしいのに、どうしようもなくそれが、
「 とても、昂って、抑えられない…」
首の皮膚に、尖った鋭利なものが当てられる。マックスの白く、美しい配列で並んだ歯を思い出す。
上品に整列した歯の中で、異質な尖った犬歯。
あの鋭い歯が、皮膚を突き破る瞬間を想像し、エリオットは目を細めた。
恐ろしい。とても怖い。でも、どうしようもなく嬉しい。
ぐ、と、当てられた歯に圧を感じる。
いよいよ、噛まれるのだ。
ぎゅ、と目を閉じる。体の奥から何かがどんどん湧き上がってくる。
だが、当てられた犬歯がエリオットの皮膚に食い込むことは無かった。
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