王子様の白百合

伏見うづら

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「っ…駄目だ、番になるのは、まだ…」



「、どうして…?」



理性で首筋に噛みつくのを抑えたマックスは、必死に熱と衝動を耐えているようだった。

今すぐに噛みついて欲しかったエリオットが不安げにマックスを見上げる。



マックスは、汗で張り付いたエリオットの前髪を労るよう剥がしながら、苦しそうに眉を下げ、それでも微笑んだ。



「…君が何より大切なんだ。ちゃんと正式に婚姻を結んで、それから君を番にしたい。そのために僕は今日まで、色んな準備をしてきたんだから。Ωのヒートのせいで番になったなんて言われたくない。Ωは卑しい性なんかじゃない。」



エリオットは涙が溢れた。

マックスはエリオットの頭を撫でながら続けた。



「だって僕らは、本能じゃなく、愛し合って番になるんだから。」



マックスが幸せそうに微笑むと、エリオットは堪らない気持ちになった。

大昔から続く偏見や慣習を、年若い後継者であるマックスが打ち砕くのは、どれほど大変だったか想像に難くない。

自分がとっくに諦めてしまった幸せのために、マックスはずっと戦っていたんだ。

自分と、幸せになるために。



エリオットはマックスに抱きついた。

強く強く、離さないように力を込めた。



震える体をゆっくりと開いていく。

恥ずかしくて爆発しそうだった。

でも今すぐ一つになりたかった。一瞬だって待てない。



自分で足を抱えて、マックスを見つめる。



「…まっくす、きて…」



自分が自分じゃないみたいだった。

それでもこれがただの熱に浮かされた性衝動ではないことに自信が持てる。

マックスだから。

マックスと一つになるためなら、どんな恥ずかしいことも出来る気がした。



「っ、エリオット、」



マックスも余裕がないようだった。

トラウザーズを脱ぎ捨て、張り詰めた中心をエリオットの蕾に押し当てる。

マックスは最後の理性を振り絞り、いきなり押し入りたい気持ちを堪える。



「、エリオット、僕も、余裕がないみたい…でも、なるべく、優しく、」



「…マックス…僕も、耐えられないから、優しくなくてもいい、よ。だから、はやく、」



エリオットが全部言い終わるか否かのうちに、マックスはぐっとエリオットの中に押し入った。

2つの熱が1つになる。その事実がどうしようもなく愛おしい。

そこからはもう、どちらともなく激しく求めあった。



早くなる律動は、マックスのせいなのか、エリオットのせいなのか分からない。

エリオットの口からは言葉にならない嬌声が絶えず零れ落ちた。

マックスはそれを一つも逃すまいと、何度も何度も口づけた。



自分の中にいるマックスも限界が近いのが分かった。

果てる前に自身を抜こうとするマックスにエリオットはぎゅっと抱き着いた。

もう何かを諦めたりしない。この人を諦めたりしない。

しがみついて、離すまいと力を込めた。



高みへと二人で上り詰める瞬間、エリオットはなんとか言葉を紡いだ。



「まっ、くす、ぼく、いま、とてもしあわせ、だよ…」



必死にしがみつくエリオットに観念したマックスは、エリオットの中で果てた。



「僕を、諦めないでいてくれて、ありがとう、まっくす…」



エリオットはそのまま、深い眠りに落ちていった。

それはエリオットの人生の中で、最も幸福な瞬間だった。


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