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闇夜の夕暮れ(3)
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「ユーグル」
「あ"?」
「こっちに来い」
ユーグルはメルロ様の右腕的存在だ。横柄で粗暴で脳がない。考えてる事も行動も理解できなくて少し苦手だ。
「レイヴィアスと連携をとれ」
「メルロ様、それは無理かと。合わせた事がありません」
「問題ない。ユーグル、出来るよな」
「チッ。メルロ様の命令どおり、ソイツの動きはずっと見てたから出来る」
「だそうだ。他に言い分は?」
「ない、です」
命令?ユーグルがずっと見てた?水面下で進められていた俺の知らない何かに蟠った感情が浮かぶ。だがそれも今は不要だと、感情を殺せと自分に言い聞かせた。
「宜しくお願いします、ユーグル様」
「ケッ、気色わりい」
吐き捨てられた否定に無意識に眉が寄る。俺も苦手としてるが、ユーグルからも好かれてる感じはしていなかった。
「ユーグルでいい」
「はい?」
「様付けなんかすんな。気色わりい」
「……そう、ですか」
それからユーグルと共に戦った。誰かと一緒に戦うなんて初めてだ。知識としてはあるが実際やるとなると難しいだろう、そう思っていたのに案外やりやすい。
いつもなら隙をつかれれば流したり避けたりする事しか出来なかった。でもそこにユーグルがカバーに入ってくれるのだ。ピンポイントで敵に狙われやすい状態の時に助けてくれる。
連携などしなくても倒せるだけの強さを持っていれば問題ないと思っていた。なのにどうだろう。連携するメリットを知ってしまった以上、今後の戦い方に響いてしまいそうだ。
「あ"?」
「こっちに来い」
ユーグルはメルロ様の右腕的存在だ。横柄で粗暴で脳がない。考えてる事も行動も理解できなくて少し苦手だ。
「レイヴィアスと連携をとれ」
「メルロ様、それは無理かと。合わせた事がありません」
「問題ない。ユーグル、出来るよな」
「チッ。メルロ様の命令どおり、ソイツの動きはずっと見てたから出来る」
「だそうだ。他に言い分は?」
「ない、です」
命令?ユーグルがずっと見てた?水面下で進められていた俺の知らない何かに蟠った感情が浮かぶ。だがそれも今は不要だと、感情を殺せと自分に言い聞かせた。
「宜しくお願いします、ユーグル様」
「ケッ、気色わりい」
吐き捨てられた否定に無意識に眉が寄る。俺も苦手としてるが、ユーグルからも好かれてる感じはしていなかった。
「ユーグルでいい」
「はい?」
「様付けなんかすんな。気色わりい」
「……そう、ですか」
それからユーグルと共に戦った。誰かと一緒に戦うなんて初めてだ。知識としてはあるが実際やるとなると難しいだろう、そう思っていたのに案外やりやすい。
いつもなら隙をつかれれば流したり避けたりする事しか出来なかった。でもそこにユーグルがカバーに入ってくれるのだ。ピンポイントで敵に狙われやすい状態の時に助けてくれる。
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