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7話

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「一度ディオース王国に行ってみるか」
「どうして?」
「その黒いフードを被った人物がいるかもしれないだろ?」

 ディオース王国にいたとしても、顔が分からなかった人物を見つけることはできるのだろうか。似た雰囲気の人、体格の人は多くいる。その中から、あの人物を見つけることは不可能に近い。
 それに。

「私は行けないわ」

 追放されたのは昨日。それなのに、すぐに戻るなんておかしな話だ。食料がなくなれば行くことはあるだろうが、まだ食料はある。それに、なくなった場合はソレイユ王国に行くつもりでいたのだ。
 それなのに堂々とディオース王国に行くことはできない。

「行けるだろ」

 何を言っているんだと言いたげな顔をして言うノワールに、ルージュは少し嫌な予感がしていた。
 ノワールはルージュのカバンを開くと、もしも誰かが入って来てカバンを見つけられて宝石箱を見られても、魔法石が取られないようにと全て取り出すとポケットにしまった。そしてカバンはベッドの下に隠した。
 黙ってその様子を見ていたが、着替えを見られたことに気がついたルージュは恥ずかしくなり赤面した。そして、うさぎになった。
 まるでわざとルージュをうさぎにするためにそうしたかのようだ。ノワールは口元に笑みを浮かべた。

「さあ、行くか」

 嬉しそうに笑みを浮かべてそう言うと、ルージュを抱き上げた。こうなってしまえば、嫌だと言ってもどうすることもできないだろう。
 けれど、黒いフードの人物がディオース王国にいるかもしれないのなら行ってみるのはいいだろう。見つけることができなくても、相手が接触してくる可能性もあるのだから。
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