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16話

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(大丈夫)

 ルージュはノワールに言われたら、本当に大丈夫な気がしてきていた。ゆっくりと息を吐き、二度深呼吸をしてもう一度目を閉じた。

(大丈夫。私なら、この怪我を治すことができる)

 両手だけに意識を集中する。ノワールが触れている両手が熱い気がした。この熱さをルージュは知っていた。
 両手から徐々に体全体に広がっていく熱さ。結界を張ってから感じることのなくなった熱さがとても懐かしかった。

「『ヒール』」

 魔法を唱えると、さらに両手が熱くなった。目を閉じていても分かるほど、白く淡い光がノワールを覆った。
 光が消えてルージュが目を開くと、ノワールがゆっくりと起き上がった。失血からふらふらするのか、倒れそうになるのを急いで支える。
 支えられながら服を捲って傷口を確認するノワールは、ゆっくりと息を吐いた。
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