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第2章 跪いて足をお舐め
#39 悪役令嬢⑨
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馬車がようやく城門をくぐった。
そこからは車寄せの道がカーブを描いて左に伸びており、その先に駐車している馬車の列が見える。
どうやらそこに馬車を止めて、あとは歩けということらしい。
御者が馬たちの鼻面を車寄せに向けるのを確認して、ルビイは最後の問いを発することにした。
「そういえば、今年の武闘会にはマリウス皇子も出場するって聞いたけど、本当なのかしら?」
これはターニャからの情報である。
彼女に会ったことは、スナフにも話してあった。
「よく知ってるな。それはまだ公表されていないはずだが…さては、出どころは妹か」
パイプをふかしながら、スナフが言った。
園遊会の席上は禁煙なので、今のうちに吸い溜めしておこうという腹らしい。
「皇子はこの夏にも結婚するだろう。となれば、来年には王位継承という可能性が高い。王はもうかなりのお歳だからな。だが、オタクで文人タイプのマリウスには何の武勲もない。せめて武闘会で優勝させて、ミネルヴァ一の勇者という称号を授けたいんじゃないか」
「優勝させるって言ったって、武芸の素人には無理じゃない? 仮に幸運が続いて、皇子がいいところまで行けたとしても、最後にはさっき話に出たアギもいるわけでしょう?」
「そんなもの、金さえ積めば、なんとでもなるだろう」
不愛想な口調で、正一が口をはさんだ。
「ヤラセ、八百長なんとでも言うがいい。いくら実力勝負の世界とはいえ、皇子相手にまともに戦うやつがいると思うか? 今年は本来、マリウス一択で決まりのはずだったのさ」
「はずって…?」
「ルビイ、おまえだよ」
スナフが吹き出し、煙にむせた。
「おまえはおそらく手加減しないだろう。だからおまえの参加を予測して、王宮は急きょアギを出場させることにした。マリウスと当たる前に、おまえをつぶすためにな」
そこからは車寄せの道がカーブを描いて左に伸びており、その先に駐車している馬車の列が見える。
どうやらそこに馬車を止めて、あとは歩けということらしい。
御者が馬たちの鼻面を車寄せに向けるのを確認して、ルビイは最後の問いを発することにした。
「そういえば、今年の武闘会にはマリウス皇子も出場するって聞いたけど、本当なのかしら?」
これはターニャからの情報である。
彼女に会ったことは、スナフにも話してあった。
「よく知ってるな。それはまだ公表されていないはずだが…さては、出どころは妹か」
パイプをふかしながら、スナフが言った。
園遊会の席上は禁煙なので、今のうちに吸い溜めしておこうという腹らしい。
「皇子はこの夏にも結婚するだろう。となれば、来年には王位継承という可能性が高い。王はもうかなりのお歳だからな。だが、オタクで文人タイプのマリウスには何の武勲もない。せめて武闘会で優勝させて、ミネルヴァ一の勇者という称号を授けたいんじゃないか」
「優勝させるって言ったって、武芸の素人には無理じゃない? 仮に幸運が続いて、皇子がいいところまで行けたとしても、最後にはさっき話に出たアギもいるわけでしょう?」
「そんなもの、金さえ積めば、なんとでもなるだろう」
不愛想な口調で、正一が口をはさんだ。
「ヤラセ、八百長なんとでも言うがいい。いくら実力勝負の世界とはいえ、皇子相手にまともに戦うやつがいると思うか? 今年は本来、マリウス一択で決まりのはずだったのさ」
「はずって…?」
「ルビイ、おまえだよ」
スナフが吹き出し、煙にむせた。
「おまえはおそらく手加減しないだろう。だからおまえの参加を予測して、王宮は急きょアギを出場させることにした。マリウスと当たる前に、おまえをつぶすためにな」
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