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第2章 跪いて足をお舐め

#41 暗黒武闘会①

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 人垣をかき分けて前に出た。

 その瞬間、ルビイはあまりのことに喉の奥でうめいた。

 凄絶な光景が目の前で展開されていた。

 地面から一段高くなったリングの上で、上半身裸の男が足元に仰向けに倒れたもうひとりの男を、こぶしで容赦なく殴りつけている。
 
 肉を打つ痛ましい音が響き、その合間に敗者の悲鳴が切れ切れに混じる。

 打たれている男の顔面はもはや血まみれで、どこが目鼻なのかもわからない。

 敗者が動かなくなると、リングから蹴落として巨漢が叫んだ。

「次! 次、死にてえのはどいつだ?」

 しんと静まり返る観客たち。

 目を覆うばかりの残酷さに、声も出ないといった雰囲気だ。

 ルビイは冷徹なまなざしで巨漢を見上げた。

 剃り上げた頭部はきれいな紡錘形をしている。

 頬に彫られた稲妻型の刺青。

 首は太く、筋肉の盛り上がった腕や太腿は、ルビイの胴回りほどもありそうだ。

「あれが鬼熊殺しのアギ…?」

 ルビイにしがみついたサトが、声を震わせてつぶやいた。

「だめです。危険すぎます。いくらルビイさまでも…ここは、帰りましょう」

「そうはいかないわ」

 ルビイはドレスを脱いだ。

 ライダースーツを改良した戦闘服があらわになる。

 動きやすいように、上は肩までの胴着の形。

 下は太腿のつけ根までの短いパンツスタイルになっている。

「持ってて」

 脱いだドレスをサトに押しつけると、ルビイは言った。

「怖いのなら、あなただけパーティー会場に戻ってなさい」





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