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第四章 不思議な世界
第百三十一話 船員パナックの依頼
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パナックさんからの話はナイデラ交易国に到着してから聞くことにした。特に家族からも一緒に話を聞いて、状態も確認したい。
またSランクの冒険者に依頼するとなると高いので、一先ずは興味があるから診てみると言っておく。家族も安心するように身分は証すがそんな話にしておけば良いだろう。
……
パナックさんのお願いを聞くことにしたからか、パナックさんが色々とやってくれる。僕たちが出来る事に手は出さないが、煩わしい思いをしないように影で動いてくれているようだ。
そんな感じの船旅で、ナイデラ交易国に到着した。
……
ナイデラ交易国の港に入り、手続きを済ませて下船し辺りを見渡すと、活気に溢れた港に見えた。
船もこんなに航海に出ていたのかと思うほど多かった。
ここから見える範囲でも様々な種族の人がいる。オーション市よりも人間族の割合が少ないように感じる程だ。
「さあ先に宿を探して、その後はパナックさんの家に行かないとね。待ち合わせは夕方に冒険者ギルド前だけど……」
「早めに宿を決めちゃいましょ! 今は昼だから、あっという間に暗くなっちゃうわよ。」
「我たちはどうする? 一緒に診る? それかこの大陸を確認しに飛ぶ?」
「ん~、僕たちがわからないこともわかるだろうから、今日は一緒に来て。」
僕たちは少し話し合って、今日はパナックさんたちを皆で診ることにした。それで次の日からは必要なら別行動をとることにした。
……
港から出て入国の手続きを簡単に済ませ僕たちはナイデラ交易国の雰囲気を感じた。
隣が宗教国家だからか、宗教国家から分離したのか、既に神殿が目に入ってきた。
神殿の周囲には同じようなローブを着た人たちが行き交っており、ジルアキラン教団の制服といえるものだろう。
珍しいものはこの教団だけで、僕たちはパナックに聞いたおすすめの宿を探した。
その宿はすぐに見つかり、チェックインも済ませて冒険者ギルドに向かった。
……
パナックは打ち合わせ通り冒険者ギルド前に立っていた。
何か哀愁が漂う雰囲気……船の上とは違うパナックがいた。
そのパナックさんの案内で、冒険者ギルドには一度も入らず案内された家の前まで来た。
ん~、僕は何でこの依頼をただ素直に受けているのだろう?
普段なら何か裏がないか警戒する場面だろうに、何かに突き動かされている気がした。
「ここが俺の家だ。たぶんこの時間はリンダとボフトだけが寝ているはずだ。夜になると娘たちが帰ってくる。」
「――奥さんと孫が動けないのに、誰も見ていないの? 僕なら心配で……」
「……そうも言っていられない……診てもらうにも金がな……」
「――だからって……」
「そう、だからこそ頼む! 何とか! ――助けてくれ……」
……
「――パナックさんの家以外にもこんな状況になっている人がいるの?」
「……いるな……何故か俺は軽症だが。ああ、他にも軽症な奴もいるが、軽症な俺たちでも実は治療院から薬は買って飲んでるんだ。」
「ふ~ん、何か怪しいわね……ここは名探偵サクラが謎を解き明かさないとね。」
ここで名探偵が何故?
既に何か不思議な事でも見つけたのか?
「ズバリ! あなたたちは薬で生かされている! うん、治療院の薬が命綱ね。――ってことは治療院が法外な金額で薬を売っている……で、あなたたちが困窮している。――だから治療院がこの病気をどうにかして広めてるんだわ!」
……治療院陰謀説……
「……サクラさん……治療院は親身になってくれてますぜ! ――俺にはどう調合されているのか、薬の事はわからないが、聞く限りだと材料が高価なんですぜ。――サクラさん……」
ん~、薬は高い……でも治らない病気……。ただ何とかそれでもすぐに死なない状況にはなる……ん~?
そんな話をしていても今は何も解決しないので、僕たちはパナックさんに連れられてパナック家に入った。
案内されたパナック家の寝室にはリンダ、ボフトが苦しそうに寝ていて、見た目も痩せ細り不健康そうだ。
「クロウ、ソフィア、ちょっと何の病気か解析してくれない? 僕とサクラがわからない事までこの世界の事はわかるでしょ? だから頼むよ。」
「はい、私たちが鑑定した方が良いでしょうね。知識の差でもわかることが違うと思いますから。一応治療法までわかるように頑張ってみますね。」とソフィアが言うとクロウと一緒に寝ている二人を見始めた。
「ラウールさん……信用するが、妖精と鳥――従魔がわかるんですかい? それに世界?」
「あ~、色々と気になる言葉や行動があっても、出来るなら気にしないで! 僕たちにも色々と内緒な事があるから。」
パナックさんはそれで何も言わなくなった。今はただソフィアとクロウの動きを見ている。
……
「我わかった! ソフィアももういいでしょ。ラウールでもサクラでも、強めに回復魔法を使って治していいよ! 原理はわからなくても、パナックにやったみたいにごり押しで大丈夫。」
……ごり押しでって言われたから、僕たちは分担して回復魔法を使ってみた。
すると僕もサクラも相手を回復することに成功した。
ただ、このまましていてもどうやって病気になるかがわからないと、また同じ病気になる可能性がある。
目の前の光景を見ていたパナックさんに、病気になった辺りの話を聞いてみることにした。
またSランクの冒険者に依頼するとなると高いので、一先ずは興味があるから診てみると言っておく。家族も安心するように身分は証すがそんな話にしておけば良いだろう。
……
パナックさんのお願いを聞くことにしたからか、パナックさんが色々とやってくれる。僕たちが出来る事に手は出さないが、煩わしい思いをしないように影で動いてくれているようだ。
そんな感じの船旅で、ナイデラ交易国に到着した。
……
ナイデラ交易国の港に入り、手続きを済ませて下船し辺りを見渡すと、活気に溢れた港に見えた。
船もこんなに航海に出ていたのかと思うほど多かった。
ここから見える範囲でも様々な種族の人がいる。オーション市よりも人間族の割合が少ないように感じる程だ。
「さあ先に宿を探して、その後はパナックさんの家に行かないとね。待ち合わせは夕方に冒険者ギルド前だけど……」
「早めに宿を決めちゃいましょ! 今は昼だから、あっという間に暗くなっちゃうわよ。」
「我たちはどうする? 一緒に診る? それかこの大陸を確認しに飛ぶ?」
「ん~、僕たちがわからないこともわかるだろうから、今日は一緒に来て。」
僕たちは少し話し合って、今日はパナックさんたちを皆で診ることにした。それで次の日からは必要なら別行動をとることにした。
……
港から出て入国の手続きを簡単に済ませ僕たちはナイデラ交易国の雰囲気を感じた。
隣が宗教国家だからか、宗教国家から分離したのか、既に神殿が目に入ってきた。
神殿の周囲には同じようなローブを着た人たちが行き交っており、ジルアキラン教団の制服といえるものだろう。
珍しいものはこの教団だけで、僕たちはパナックに聞いたおすすめの宿を探した。
その宿はすぐに見つかり、チェックインも済ませて冒険者ギルドに向かった。
……
パナックは打ち合わせ通り冒険者ギルド前に立っていた。
何か哀愁が漂う雰囲気……船の上とは違うパナックがいた。
そのパナックさんの案内で、冒険者ギルドには一度も入らず案内された家の前まで来た。
ん~、僕は何でこの依頼をただ素直に受けているのだろう?
普段なら何か裏がないか警戒する場面だろうに、何かに突き動かされている気がした。
「ここが俺の家だ。たぶんこの時間はリンダとボフトだけが寝ているはずだ。夜になると娘たちが帰ってくる。」
「――奥さんと孫が動けないのに、誰も見ていないの? 僕なら心配で……」
「……そうも言っていられない……診てもらうにも金がな……」
「――だからって……」
「そう、だからこそ頼む! 何とか! ――助けてくれ……」
……
「――パナックさんの家以外にもこんな状況になっている人がいるの?」
「……いるな……何故か俺は軽症だが。ああ、他にも軽症な奴もいるが、軽症な俺たちでも実は治療院から薬は買って飲んでるんだ。」
「ふ~ん、何か怪しいわね……ここは名探偵サクラが謎を解き明かさないとね。」
ここで名探偵が何故?
既に何か不思議な事でも見つけたのか?
「ズバリ! あなたたちは薬で生かされている! うん、治療院の薬が命綱ね。――ってことは治療院が法外な金額で薬を売っている……で、あなたたちが困窮している。――だから治療院がこの病気をどうにかして広めてるんだわ!」
……治療院陰謀説……
「……サクラさん……治療院は親身になってくれてますぜ! ――俺にはどう調合されているのか、薬の事はわからないが、聞く限りだと材料が高価なんですぜ。――サクラさん……」
ん~、薬は高い……でも治らない病気……。ただ何とかそれでもすぐに死なない状況にはなる……ん~?
そんな話をしていても今は何も解決しないので、僕たちはパナックさんに連れられてパナック家に入った。
案内されたパナック家の寝室にはリンダ、ボフトが苦しそうに寝ていて、見た目も痩せ細り不健康そうだ。
「クロウ、ソフィア、ちょっと何の病気か解析してくれない? 僕とサクラがわからない事までこの世界の事はわかるでしょ? だから頼むよ。」
「はい、私たちが鑑定した方が良いでしょうね。知識の差でもわかることが違うと思いますから。一応治療法までわかるように頑張ってみますね。」とソフィアが言うとクロウと一緒に寝ている二人を見始めた。
「ラウールさん……信用するが、妖精と鳥――従魔がわかるんですかい? それに世界?」
「あ~、色々と気になる言葉や行動があっても、出来るなら気にしないで! 僕たちにも色々と内緒な事があるから。」
パナックさんはそれで何も言わなくなった。今はただソフィアとクロウの動きを見ている。
……
「我わかった! ソフィアももういいでしょ。ラウールでもサクラでも、強めに回復魔法を使って治していいよ! 原理はわからなくても、パナックにやったみたいにごり押しで大丈夫。」
……ごり押しでって言われたから、僕たちは分担して回復魔法を使ってみた。
すると僕もサクラも相手を回復することに成功した。
ただ、このまましていてもどうやって病気になるかがわからないと、また同じ病気になる可能性がある。
目の前の光景を見ていたパナックさんに、病気になった辺りの話を聞いてみることにした。
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