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ルーカス君と初めて一緒に迷宮に入ったので、彼の実力を見ようと思って地下1階の敵を相手にしていると、彼は何度目かの戦闘の後に凄く不満そうに私の方を見てきました。数が少なくなるようにリセットしていたのもあるので、全く手応えが無かったようです。
「迷宮では慎重さも大切だからわかるんだけど、いくらなんでもここまでゆっくりやってたらクロエに付いてきた意味が無いと思うんだけど」
流石にその通りなので、地下2階に降りようと思ってマップを見ているとルーカス君が覗き込んできました。
「へえ、地下1階は丁寧にマッピングしてあるんだな。関心関心」
「あのねえ、私の方が年上なんだから少しはそのつもりで話しなさいよ」
私もルーカス君につられて少し言葉使いが崩れている気がします。ちょっぴりグレースお姉様に似たような口調になってて自分で嫌にならなくもないです。
「はいはい、わかったよ。ん?ここちょっと気になるんだけど」
私の話を全く考慮していない様子でしたが、マップの隅の方が気になるようです。彼が指差しているのは地下1階の入り口からそう遠くない、壁に囲まれてマッピングできていない、部屋一つ分くらいの区画でした。
「ここ、絶対何かあるよ。行ってみようぜ」
そう言ってルーカス君は一人で先に歩き始めました。
シリウスの家ではあんなだったし、昔は家事とか生活が忙しくて男の子の友達なんて一人もいなかったんだけど、男の子ってみんなこんなに勝手なのでしょうか。
まあ私の方がお姉さんだし、我が儘に付き合うのも仕方ないのかな。そうだ、私はお姉さんだ。出来の悪い弟が出来たと思えばいいんだ。
なんて考えながら慌てて後を追いました。途中で何度か敵と遭遇しましたがやはり地下1階の敵はもう相手になりません。
目的の場所でルーカス君は立ち止まって目を凝らしていました。感知のスキルを使っているようです。
「やっぱりあるよ。ここだ」
そう言いながら彼が壁に触れると、なんと扉が現れました。
「すごい!ルーカス君すごいよ!」
私がさっきブツクサ言っていたことを忘れて褒めちぎると、彼は照れ臭そうにしていました。
早速扉を開けて現れた敵を倒すと、そこはマップの通りの小部屋になっていて奥には下に降りる階段がありました。
「ショートカットっていうんだ。こういう迷宮ではよくある構造なんだぜ」
ルーカス君が得意げに教えてくれました。これを使えばいつもより早く地下2階に行けるので、夕方の食堂の手伝いまでの時間を有意義に使えそうです。
地下2階に降りた先も小部屋になっていました。マップを見るとここも今までは侵入不可能な区画だったようです。
「そこに扉があるから外に出られるよ。クロエは地下2階も奇麗にマッピングしてるんだな。なんで地下1階なんかで時間食ってたんだよ」
ルーカス君を試すためだとも言えず、地図に見入っているフリをしてしまいました。
この小部屋も下に降りる階段があります。折角なのでちょっと地下3階まで降りてみましょうか。
「そういう冒険心、いいと思うよ」
やっぱり歳下らしくないルーカス君も賛成してくれたので地下3階に降りてみました。ここはあのムカデが出てくる階です。あれから私も10以上レベルが上がっているので、少しは太刀打ちできるのでしょうか。
「ここは一度来ただけって感じのマッピングだな。一本道の片道になってるじゃん」
まさにその通りでした。グレースお姉様に合わせて強行軍でやってきて最後にひどい目に遭わされましたけど。
「ルーカス君ってやけに迷宮に詳しいよね。ここには入れないはずだけどなんで?」
「クロエってこの街の外に出たことないのか?師匠といるといろいろあるんだよ。迷宮はここだけじゃないんだぜ」
ルーカス君は私より年下だけどいろいろと経験豊富なようでした。街の外なんて出ようと思ったこともなかったです。今回あの家を出ましたけど、そこまでの度胸は無いかもです。
小部屋には更に下に続く階段がありましたが、ルーカス君が扉を見つけたので地下3階のフロアに一度出ることにしました。この先は通路ですが、こちらから見ると部屋に相当するので扉をくぐる時は敵が出現します。
翼の生えたライオンが3体現れました。空中を駆けながら魔術師魔法を使う強敵です。
先制した私の光攻撃魔法で1体を倒すことができました。ルーカス君が2体の魔法を避けつつ時間を稼いでいます。
ルーカス君の攻撃と私の魔法で残りも倒すことができました。なんとか地下3階でも通用するようです。
「金貨が入ってるよ!すげー!」
宝箱には金貨が1枚入っていました。帰還の魔石が安価に手に入るようになったので、今日はかなりの黒字になりそうです。
とはいってもたまたま3体だったので何とかなりましたが、あのムカデが9体とか現れたら私たちではどうすることもできないはずです。
「なあ、さっきのところから地下4階に降りてみないか」
ルーカス君がそんなことを言い出しました。金貨が出たので欲に駆られたというよりは、好奇心のためだと思います。私も少し興味がありますから。
いざとなればリセットスキルがあるし、それも立ち行かなくなれば帰還の魔石を使えばいいので、地下4階に降りるだけ降りてみることにしました。
「迷宮では慎重さも大切だからわかるんだけど、いくらなんでもここまでゆっくりやってたらクロエに付いてきた意味が無いと思うんだけど」
流石にその通りなので、地下2階に降りようと思ってマップを見ているとルーカス君が覗き込んできました。
「へえ、地下1階は丁寧にマッピングしてあるんだな。関心関心」
「あのねえ、私の方が年上なんだから少しはそのつもりで話しなさいよ」
私もルーカス君につられて少し言葉使いが崩れている気がします。ちょっぴりグレースお姉様に似たような口調になってて自分で嫌にならなくもないです。
「はいはい、わかったよ。ん?ここちょっと気になるんだけど」
私の話を全く考慮していない様子でしたが、マップの隅の方が気になるようです。彼が指差しているのは地下1階の入り口からそう遠くない、壁に囲まれてマッピングできていない、部屋一つ分くらいの区画でした。
「ここ、絶対何かあるよ。行ってみようぜ」
そう言ってルーカス君は一人で先に歩き始めました。
シリウスの家ではあんなだったし、昔は家事とか生活が忙しくて男の子の友達なんて一人もいなかったんだけど、男の子ってみんなこんなに勝手なのでしょうか。
まあ私の方がお姉さんだし、我が儘に付き合うのも仕方ないのかな。そうだ、私はお姉さんだ。出来の悪い弟が出来たと思えばいいんだ。
なんて考えながら慌てて後を追いました。途中で何度か敵と遭遇しましたがやはり地下1階の敵はもう相手になりません。
目的の場所でルーカス君は立ち止まって目を凝らしていました。感知のスキルを使っているようです。
「やっぱりあるよ。ここだ」
そう言いながら彼が壁に触れると、なんと扉が現れました。
「すごい!ルーカス君すごいよ!」
私がさっきブツクサ言っていたことを忘れて褒めちぎると、彼は照れ臭そうにしていました。
早速扉を開けて現れた敵を倒すと、そこはマップの通りの小部屋になっていて奥には下に降りる階段がありました。
「ショートカットっていうんだ。こういう迷宮ではよくある構造なんだぜ」
ルーカス君が得意げに教えてくれました。これを使えばいつもより早く地下2階に行けるので、夕方の食堂の手伝いまでの時間を有意義に使えそうです。
地下2階に降りた先も小部屋になっていました。マップを見るとここも今までは侵入不可能な区画だったようです。
「そこに扉があるから外に出られるよ。クロエは地下2階も奇麗にマッピングしてるんだな。なんで地下1階なんかで時間食ってたんだよ」
ルーカス君を試すためだとも言えず、地図に見入っているフリをしてしまいました。
この小部屋も下に降りる階段があります。折角なのでちょっと地下3階まで降りてみましょうか。
「そういう冒険心、いいと思うよ」
やっぱり歳下らしくないルーカス君も賛成してくれたので地下3階に降りてみました。ここはあのムカデが出てくる階です。あれから私も10以上レベルが上がっているので、少しは太刀打ちできるのでしょうか。
「ここは一度来ただけって感じのマッピングだな。一本道の片道になってるじゃん」
まさにその通りでした。グレースお姉様に合わせて強行軍でやってきて最後にひどい目に遭わされましたけど。
「ルーカス君ってやけに迷宮に詳しいよね。ここには入れないはずだけどなんで?」
「クロエってこの街の外に出たことないのか?師匠といるといろいろあるんだよ。迷宮はここだけじゃないんだぜ」
ルーカス君は私より年下だけどいろいろと経験豊富なようでした。街の外なんて出ようと思ったこともなかったです。今回あの家を出ましたけど、そこまでの度胸は無いかもです。
小部屋には更に下に続く階段がありましたが、ルーカス君が扉を見つけたので地下3階のフロアに一度出ることにしました。この先は通路ですが、こちらから見ると部屋に相当するので扉をくぐる時は敵が出現します。
翼の生えたライオンが3体現れました。空中を駆けながら魔術師魔法を使う強敵です。
先制した私の光攻撃魔法で1体を倒すことができました。ルーカス君が2体の魔法を避けつつ時間を稼いでいます。
ルーカス君の攻撃と私の魔法で残りも倒すことができました。なんとか地下3階でも通用するようです。
「金貨が入ってるよ!すげー!」
宝箱には金貨が1枚入っていました。帰還の魔石が安価に手に入るようになったので、今日はかなりの黒字になりそうです。
とはいってもたまたま3体だったので何とかなりましたが、あのムカデが9体とか現れたら私たちではどうすることもできないはずです。
「なあ、さっきのところから地下4階に降りてみないか」
ルーカス君がそんなことを言い出しました。金貨が出たので欲に駆られたというよりは、好奇心のためだと思います。私も少し興味がありますから。
いざとなればリセットスキルがあるし、それも立ち行かなくなれば帰還の魔石を使えばいいので、地下4階に降りるだけ降りてみることにしました。
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