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3章:あなたが好き
16話
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「最高の女…か。それってベッドの上で楽しい女って意味でいいの?」
「確かに幸奈はベットの上で楽しい女だよ。
でもそれだけじゃなくて、俺が伝えたかった最高って意味は、幸奈としてる時が一番幸せだってことを伝えたかったんだよ」
予想と違った。ってきり私は、身体の相性のことだと思っていた。
嬉しすぎて、思わず顔が弛緩してしまいそうになった。
「それぐらい分かってくれよ。お前が俺の一番の理解者じゃん」
私には無理だと思う。察しのいい女ではないから。
私にできることといったら、好きな時に身体を差し出すことだけだ。
「ごめん。分かってあげられなくて」
「幸奈が謝る必要なんてないんだ。寧ろ伝えた方を間違えた俺が悪い。ごめん」
お互いにぎこちないせいか、気まずい空気が流れ始めた。
私はなんて声をかけたらいいのか分からず、少し戸惑っていた。
そんな時だからこそ、バツの悪そうな顔をしながらも、愁の方から先に口を開いた。
「でも、あながち間違ってはいない。お前はベッドの上で楽しい女だから。
ベットの上でのお前は、感度も良くて、甘い声も可愛くて、テクもある。どれをとってもお前は、最高の女に値する逸材だ」
大袈裟だと思うが、愁にとって最高の女であるという事実だけで私は満足だ。
今の私の立場としては、この上ない最高の褒め言葉だ。これ以上の幸せなんてない。
「そしたら、愁は最高の男だよね。女性が悦ぶポイントを熟知してて、そこばかり重点的に攻めてくるから」
愁は本当に最高の男だ。あんなにセックスで気持ちよくさせられる男なんて早々いない。
毎回、頭の中が真っ白になるくらいの気持ちよさを与えてくれる。
「女を気持ちよくさせることは、男の役目ですから。
それに、目の前で抱いてる女が気持ちよさそうにしてると、男は気持ちよくなれるもんなんだよ。
自分本意なセックスしかできない男なんて、最低な奴がやることだ」
「確かにそうかもしれないね。男も女も双方が気持ちいいことが前提で、成り立つのかもね」
「まぁ、そういうことだ。つまり、お前が気持ちいいと、俺も気持ちいいってことだ」
こうしてたくさん褒められると、なんだか悪い気はしない。
私も愁と同じ気持ちだ。だってあなたとしてる時が一番幸せだから。
「早く幸奈ん家に着かないかな」
近いようで案外、距離がある。もう待てない。お互いに早くしたくてたまらなかった。
「なぁ、ホテルに行かないか?」
初めて愁からホテルに誘われた。まさか愁の方から誘ってきてくれるとは思ってもみなかった。
前々からホテルに行ってみたいなと思っていた。
でも、私から誘うのはなんだかちょっと気が引けた。お金がかかることだから。
私一人が行きたいと思っていても、愁は行きたいと思っていないかもしれないし。
なんてことを考えていたら、誘えないまま月日だけが経過していた。
「行きたい。でも、いいの?ホテル代、私も半分出そっか?」
「お金のことなら気にするな。俺から誘ったんだから。
それに今日は、いつもより多めにバイト代が入ったんだ。だから俺に払わせてくれ」
バイト代が入ったのは本当だ。今日は給料日だから。
でも、多めに入ったというのは嘘であろう。きっと私に遠慮させないためである。
なら、ここはせっかくだし、ご厚意に甘えて、愁に奢ってもらうことにした。
「ありがとう。それじゃ、お言葉に甘えさせてもらいます」
「おう。俺に任せておけ。まぁ、そもそも女の子にホテル代を払わせたりなんかしないけどな」
男のプライドというやつであろう。
私はそのプライドに、花を持たせてあげることにした。その方が愁が喜ぶからである。
「実は少し前から、もっと激しいプレイがしてみたいって思ってたから、ラブホへ行こうかなって考えてたんだ。
ほら、あんまり激しいとうるさくなるから、ご近所さんに迷惑になるし、幸奈ん家じゃ難しいだろう?
それに、たまには贅沢するのも悪くないかなって思ってさ」
学生が一人暮らししているようなアパートだと、どうしても壁が薄い賃貸が多いため、隣人の生活音が聞こえてくることが度々ある。
今まで散々、家でしてきたとはいえ、やっぱり音は気になるものだ。
もし、ホテルだったら、いつもとは違い、気にせずにもっと声が出せる。
愁がずっと気にかけてくれていた。その心遣いがとても嬉しかった。
「うん。たまには悪くないかもね」
二人の体温が最高潮に上昇した。抑えきれない熱を冷ますため、そのままホテルへと直行した。
◇
初めてのラブホに、私は戸惑っていた。
どうやら、部屋を選んでから、入るみたいだ。それがとても新鮮に感じた。
しかも部屋の中の雰囲気が、いかにもといった感じで。
慣れない雰囲気に、なんだか心が落ち着かなかった。
「何キョロキョロしてんだ。今更緊張してんのか?ったくお前はしょうがねーな」
愁の顔が真っ赤なのを見て、愁も緊張しているのだと知った。
「だって、ラブホなんて初めてだから。愁は来たことあるの?チェックインとか慣れてる感じだったし」
「高校の頃に、二歳上の彼女と付き合ってた時に初めて来た。その時、俺は童貞を卒業した」
やっぱり、来たことがあったんだ。しかも口振りから察するに、他にも何人か過去に彼女がいたんだと思う。
愁はモテる。優しくて、顔も良し。そんな人を誰も放っておくわけがない。
薄々気づいてはいたが、それでも心はかなりショックを受けていた。
「って、これからセックスすんのに、他の女の話なんかさせんなよ」
愁がいじけてしまった。寧ろいじけたいのはこちらの方だというのに。
でも、そんな愁が可愛いなと思った。これが所謂、惚れた者の弱みというやつなのかもしれない。
「ごめん。ちょっと気になっただけだから」
「へぇー。俺が誰と来たか気になるんだ。
でも、今は俺のことだけを考えてろよ」
強引に腕を掴まれ、ベッドまで連れて行かれた。そしてそのまま、ベッドに押し倒された。
「途中で止めてってお願いしても、止めないからな。覚悟しておけよ」
強引にキスされた。無理矢理、咥内に割って入ってきた。
あまりの気持ちよさに、思わず声が漏れてしまう。キスだけで蕩けそうだ。
「キスだけでそんな反応されちまったら、今すぐにでも挿れたくなっちまう」
既に私は、いつでも愁を受け入れられる準備が整っている状態だ。あとは愁のタイミング次第だ。
「挿れてもいいよ。今日はもう大丈夫だから…」
「それは絶対にダメだ。もう少し自分の身体を大事にしろ」
優しく髪を掬い、毛先が手から落ちるまで触れてくれた。
愛おしそうに触れるその手つきに、この手が触れてると思うだけで、心も身体もどんどん熱くなっていった。
「片方だけが気持ちよくてもダメだ」
髪に触れていた手が頭へと移動し、優しく頭を撫でられた。
そして、そのまま顔が近づいてきて、おでこにキスをされた。
「俺はこういう甘い時間も味わいたい派なんだ。
だから、こういう時間も大切にしたいって思ってる」
愁の言葉にドキドキした。そう思ってくれていることが嬉しかった。
「私もこういう時間を大切にしたいって思ってるよ。
でもごめんなさい。もう我慢できない。愁がしてくれないなら、私がやる」
頭を撫でていた手を掴み、今度は私の方が愁を押し倒した。
愁は驚いた顔をしていた。隙を見て、ズボンのベルトを外し、チャックを下ろした。
「おい、幸奈!…っ!何してんだよ?」
聞こえないふりをして、パンツも下ろした。
「愁がしてくれないなら、私がするって言ったでしょ?見てて。私の本気を…」
愁の言葉を遮り、私はやりたいようにやらせてもらった。
こんなにも自分に大胆な一面があったなんて、知らなかった。
「へー。分かった。お前の本気、受け止めてやるよ」
その場の勢いに任せてしまったため、その先のことはまだ何も考えていなかった。
今更、どうすればいいのかと慌てふためく。
「いいの?そういう態度でも?後で吠え面かかせてあげるからね」
知識をフル活用し、私は精一杯、攻めるのを頑張った。
そして、頑張りすぎたせいか、気がついたら眠りに落ちていた。
「確かに幸奈はベットの上で楽しい女だよ。
でもそれだけじゃなくて、俺が伝えたかった最高って意味は、幸奈としてる時が一番幸せだってことを伝えたかったんだよ」
予想と違った。ってきり私は、身体の相性のことだと思っていた。
嬉しすぎて、思わず顔が弛緩してしまいそうになった。
「それぐらい分かってくれよ。お前が俺の一番の理解者じゃん」
私には無理だと思う。察しのいい女ではないから。
私にできることといったら、好きな時に身体を差し出すことだけだ。
「ごめん。分かってあげられなくて」
「幸奈が謝る必要なんてないんだ。寧ろ伝えた方を間違えた俺が悪い。ごめん」
お互いにぎこちないせいか、気まずい空気が流れ始めた。
私はなんて声をかけたらいいのか分からず、少し戸惑っていた。
そんな時だからこそ、バツの悪そうな顔をしながらも、愁の方から先に口を開いた。
「でも、あながち間違ってはいない。お前はベッドの上で楽しい女だから。
ベットの上でのお前は、感度も良くて、甘い声も可愛くて、テクもある。どれをとってもお前は、最高の女に値する逸材だ」
大袈裟だと思うが、愁にとって最高の女であるという事実だけで私は満足だ。
今の私の立場としては、この上ない最高の褒め言葉だ。これ以上の幸せなんてない。
「そしたら、愁は最高の男だよね。女性が悦ぶポイントを熟知してて、そこばかり重点的に攻めてくるから」
愁は本当に最高の男だ。あんなにセックスで気持ちよくさせられる男なんて早々いない。
毎回、頭の中が真っ白になるくらいの気持ちよさを与えてくれる。
「女を気持ちよくさせることは、男の役目ですから。
それに、目の前で抱いてる女が気持ちよさそうにしてると、男は気持ちよくなれるもんなんだよ。
自分本意なセックスしかできない男なんて、最低な奴がやることだ」
「確かにそうかもしれないね。男も女も双方が気持ちいいことが前提で、成り立つのかもね」
「まぁ、そういうことだ。つまり、お前が気持ちいいと、俺も気持ちいいってことだ」
こうしてたくさん褒められると、なんだか悪い気はしない。
私も愁と同じ気持ちだ。だってあなたとしてる時が一番幸せだから。
「早く幸奈ん家に着かないかな」
近いようで案外、距離がある。もう待てない。お互いに早くしたくてたまらなかった。
「なぁ、ホテルに行かないか?」
初めて愁からホテルに誘われた。まさか愁の方から誘ってきてくれるとは思ってもみなかった。
前々からホテルに行ってみたいなと思っていた。
でも、私から誘うのはなんだかちょっと気が引けた。お金がかかることだから。
私一人が行きたいと思っていても、愁は行きたいと思っていないかもしれないし。
なんてことを考えていたら、誘えないまま月日だけが経過していた。
「行きたい。でも、いいの?ホテル代、私も半分出そっか?」
「お金のことなら気にするな。俺から誘ったんだから。
それに今日は、いつもより多めにバイト代が入ったんだ。だから俺に払わせてくれ」
バイト代が入ったのは本当だ。今日は給料日だから。
でも、多めに入ったというのは嘘であろう。きっと私に遠慮させないためである。
なら、ここはせっかくだし、ご厚意に甘えて、愁に奢ってもらうことにした。
「ありがとう。それじゃ、お言葉に甘えさせてもらいます」
「おう。俺に任せておけ。まぁ、そもそも女の子にホテル代を払わせたりなんかしないけどな」
男のプライドというやつであろう。
私はそのプライドに、花を持たせてあげることにした。その方が愁が喜ぶからである。
「実は少し前から、もっと激しいプレイがしてみたいって思ってたから、ラブホへ行こうかなって考えてたんだ。
ほら、あんまり激しいとうるさくなるから、ご近所さんに迷惑になるし、幸奈ん家じゃ難しいだろう?
それに、たまには贅沢するのも悪くないかなって思ってさ」
学生が一人暮らししているようなアパートだと、どうしても壁が薄い賃貸が多いため、隣人の生活音が聞こえてくることが度々ある。
今まで散々、家でしてきたとはいえ、やっぱり音は気になるものだ。
もし、ホテルだったら、いつもとは違い、気にせずにもっと声が出せる。
愁がずっと気にかけてくれていた。その心遣いがとても嬉しかった。
「うん。たまには悪くないかもね」
二人の体温が最高潮に上昇した。抑えきれない熱を冷ますため、そのままホテルへと直行した。
◇
初めてのラブホに、私は戸惑っていた。
どうやら、部屋を選んでから、入るみたいだ。それがとても新鮮に感じた。
しかも部屋の中の雰囲気が、いかにもといった感じで。
慣れない雰囲気に、なんだか心が落ち着かなかった。
「何キョロキョロしてんだ。今更緊張してんのか?ったくお前はしょうがねーな」
愁の顔が真っ赤なのを見て、愁も緊張しているのだと知った。
「だって、ラブホなんて初めてだから。愁は来たことあるの?チェックインとか慣れてる感じだったし」
「高校の頃に、二歳上の彼女と付き合ってた時に初めて来た。その時、俺は童貞を卒業した」
やっぱり、来たことがあったんだ。しかも口振りから察するに、他にも何人か過去に彼女がいたんだと思う。
愁はモテる。優しくて、顔も良し。そんな人を誰も放っておくわけがない。
薄々気づいてはいたが、それでも心はかなりショックを受けていた。
「って、これからセックスすんのに、他の女の話なんかさせんなよ」
愁がいじけてしまった。寧ろいじけたいのはこちらの方だというのに。
でも、そんな愁が可愛いなと思った。これが所謂、惚れた者の弱みというやつなのかもしれない。
「ごめん。ちょっと気になっただけだから」
「へぇー。俺が誰と来たか気になるんだ。
でも、今は俺のことだけを考えてろよ」
強引に腕を掴まれ、ベッドまで連れて行かれた。そしてそのまま、ベッドに押し倒された。
「途中で止めてってお願いしても、止めないからな。覚悟しておけよ」
強引にキスされた。無理矢理、咥内に割って入ってきた。
あまりの気持ちよさに、思わず声が漏れてしまう。キスだけで蕩けそうだ。
「キスだけでそんな反応されちまったら、今すぐにでも挿れたくなっちまう」
既に私は、いつでも愁を受け入れられる準備が整っている状態だ。あとは愁のタイミング次第だ。
「挿れてもいいよ。今日はもう大丈夫だから…」
「それは絶対にダメだ。もう少し自分の身体を大事にしろ」
優しく髪を掬い、毛先が手から落ちるまで触れてくれた。
愛おしそうに触れるその手つきに、この手が触れてると思うだけで、心も身体もどんどん熱くなっていった。
「片方だけが気持ちよくてもダメだ」
髪に触れていた手が頭へと移動し、優しく頭を撫でられた。
そして、そのまま顔が近づいてきて、おでこにキスをされた。
「俺はこういう甘い時間も味わいたい派なんだ。
だから、こういう時間も大切にしたいって思ってる」
愁の言葉にドキドキした。そう思ってくれていることが嬉しかった。
「私もこういう時間を大切にしたいって思ってるよ。
でもごめんなさい。もう我慢できない。愁がしてくれないなら、私がやる」
頭を撫でていた手を掴み、今度は私の方が愁を押し倒した。
愁は驚いた顔をしていた。隙を見て、ズボンのベルトを外し、チャックを下ろした。
「おい、幸奈!…っ!何してんだよ?」
聞こえないふりをして、パンツも下ろした。
「愁がしてくれないなら、私がするって言ったでしょ?見てて。私の本気を…」
愁の言葉を遮り、私はやりたいようにやらせてもらった。
こんなにも自分に大胆な一面があったなんて、知らなかった。
「へー。分かった。お前の本気、受け止めてやるよ」
その場の勢いに任せてしまったため、その先のことはまだ何も考えていなかった。
今更、どうすればいいのかと慌てふためく。
「いいの?そういう態度でも?後で吠え面かかせてあげるからね」
知識をフル活用し、私は精一杯、攻めるのを頑張った。
そして、頑張りすぎたせいか、気がついたら眠りに落ちていた。
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