Ωにうまれて

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児童虐待の表現があります。
ご注意ください
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あと二年、そう思いながら弓を引いた。
こんな風に自由に過ごせるのもあと二年、大切に過ごしたい

無心で弓を引く。

何かが目の端に映る

突っ立ったまま、こちらを見つめと茫然と涙を流している姿勢の綺麗な男。
それが智則だった。



僕は二年後とある家の後妻に入ることが決定している。僕がオメガに生まれたからだ。

僕は、Ωだ。一般的なβ夫婦の間に生まれたΩ。

僕のバースが判明するまでの我が家は平和だった。両親は真面目に働き可愛い可愛い妹がいて。けれど僕がオメガと判明した直後からウチは崩壊した。僕は彼らの子供ではなくなった。ちがう、彼らが所有権を持つ金のなる木になった。

僕がΩということがどこから漏れたのか不明だ。
Ωの数は少ない。男性タイプのオメガは更に数が少なく希少らしい。黒い服を着たあからさまに怪しげな男が僕の価値を両親に説明していた。

試しに…と、両親は一度僕を斡旋業者に渡すと、もう一度も二度も同じなのだろう。お金が必要になった時に斡旋業者に電話をする、そんな形になっていた。

彼らは、僕を貸し出すだけで、そこで何があったかなどの確認はしない。良心が咎めるとかではなく、知らないことにしたいのだろう。
やがて両親は浪費というものを覚えた。僕が変態の餌食となっている間、両親と妹の3人で旅行に行ったり高級な外食をしたりと周囲が羨むような生活をしていた。
週末に僕を大人に貸し出す。
自分たちが働いて得る日当より僕を斡旋する方が稼げる、両親がそのことに気が付くのに時間はかからなかった。2人は働くのをやめ、僕の稼ぎだけで生活するようになった。
周囲の人たちは僕らの家族のありようを不思議に思っていた。どうせんだ。両親ともに働いてもいないのになぜか外食が多い。ブランド品も持ち歩いて高級外車に乗っている。
けれど、働いていないから無収入ということで市からの援助を受けていた。医療費も給食費も無料だし家賃補助もでて何かがあれば現金支給も市からされていた。
そのせいだろう、近隣の住民が妬み、市にたれ込んだのだ。あのうちは怪しいと不正受給ではないかと
調査が入った。僕はこの大人が両親を優しかったころの両親に戻してくれると、そう思った。
けれど、なにも変化なかった。


妹が言う。「お兄ちゃんは良いよね、家事手伝わなくていいんだから」
「だったら、いくらでもかわるよ！お前も知らないヤツに身体中なめ回されてみろよ！」
僕はキレて言い返した。
僕は商品だ。だから、綺麗な手でいなくてはならない。皿洗いなど、させてもらえないのだ。数分の皿洗いと数時間にも及ぶ屈辱とだったら皿洗いの方が良いに決まっている
そうか、商品は綺麗じゃなきゃいけない。ならば汚くなればいいのだ。

僕は自分の胸に包丁で傷をつけた。

「お兄ちゃん、何してるの！？」
「ぼくが醜くなれば、もうあんなヤツらに触られないですむ！」
「やめてよ！お金がなくなっちゃう！」
「ははは」
僕は笑いながら連中が大好きな胸を傷つけた。妹は知っていて、それでも、そんな事をいったのだ。
「これで、商品価値が無くなる！お前が商品になればいい！僕が羨ましかったんだろ！」
「やめて、お兄ちゃん！」

妹の悲鳴と僕の狂ったような笑い声に、近所の人が通報した。
警察がきて、救急車がきて、そして、、、傷は大したことがないと判断された。跡にはならないらしい。
「なんで、そんな事したの？」
警官に聞かれたけれど、恥ずかしくて答えられなかった。
お前は悪い子なの。お前がしていることは、とってもみっともないの。だから、人には言ってはダメ。お前が恥ずかしい思いをするからね。
両親にいわれていた。

商品な僕が着ている服は良いもので、だから、虐待が疑われることもなかった。
そのまま家に帰された。

「お前はΩだよ。醜くなっても、Ωにさわりたいおじさんはいっぱいいるの」


そう、言われてしまった。

週末に貸し出された先では、傷に引くどころか、傷口を広げるように舌を這わされ、痛みにすすり泣いた。
「ああ、いいね。まるで感じてるみたいじゃないか。いつもみたいな無反応じゃないのいいねぇ」
その週末は地獄だった。

もう二度と自分を傷つけないと誓った