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第一章
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智則は今日も可愛い
ただ最近笑顔に影が見えるようになってきた
智則のあの満面の笑みを奪うものを許せない
智則に嫌がらせをする奴には制裁を加えているが、効果は限定的だ。
αとして未熟な者達は己より上位のαである由希に対するリスペクトという本能がまだ備わっていない
3日もするとその恐怖を忘れ再び智則にいたずらを仕掛ける。失神させる位の威圧をやれば違うのだろうが、それをすると唐澤家に連絡がいってしまう。
智則がβという事実に俺の両親が恐慌したのはつい先日のこと。それから過干渉になった。松井の事件はβには諦念をα社会にかなりの恐怖を与えたのだ。
俺が智則を諦めるようにと、Ωをあてがうのに忙しない。一向に興味をいだかない俺にじれた親は、商売Ωを用意するまでになった。夜中にヒート中のΩに乗られて起きた時は何のホラー映画かと思った。カラーは当然していたが、小4にレイプを考える親、異常だ。
大体、俺はまだ精通もしていない。それなのに、こんな事を企てたところで……逆に精通が早まったらどうするつもりなんだか。
俺が意図的に遅らせている精通……体の成熟に反している以上、何がきっかけになるか不明だというのに。俺が安心して遠くから智則を見守れる理由はそれなのに。
『それだけじゃないと思うけどね』
島野がいう。どういう意味だろう?
智則が同級生に小突かれているのが見えた。
アイツは1週間前に軽くシメたやつだ。イラッとする
智則がまぶしすぎるのだろう。構わずにはいられない。そうでなければ上級生に注意をされる相手をいじめたりはしない。めんどくさいから。
智則に目を奪われる自身への苛立ち、もしくは好きな子ほどいじめてしまうというそれもあるのだろう。
智則をいじめるものの中には幼稚園時代智則に告白をしていた者もいる
幼い彼らは松井事件をあまり知らない。
智紀がβということに対してあまり危機感はない。ただ、番えないのだということだけを知らされている。智則君に好意を抱くのはやめなさいという言葉と共に。
そして彼らは親の言うことを真に受けてそのまま距離を取ろうとしているのだろう。ただ距離を取る、の取り方がわからないのだ。好きだと言った相手から離れることもできずただただいじめる
智則の戸惑いはいかほどだろう
幼稚園の時に親しくしていた友達が急に離れたり敵意をむき出しにしてくるの大混乱もしただろう。
もっとも俺自身もそうなんだけれども
登校する智紀を見つめていると島野が近づいてきた
「また、智則をみてる」
「最近いじめがひどいみたいで。何で深澤何もしないのだろう。隣にいるだけだ」
「俺は深澤の気持ちわかるけどな。今、智則にはほぼ全てが敵なんだよ。そんな中で深澤だけが智則の隣にいる。αにとって番の特別な位置にいられることは蜜にも等しい」
「俺には分からない。智則の笑顔の方が大事じゃないか」
島野は少し憐れみのこもった目で俺をみた。
「お前まだ……自分の方が近い位置にいると思っているんだろう。確かに智則は深澤には甘えてはいない。頼ってはいないように見えるから、だから、そう思えるんだよ。それとお前まだ精通来てないんだよな。来たらわかるよ。αが番にどれだけ暗くて醜い思いを抱いてしまうのが。その前に、βへの想いは断ち切れ」
俺の精通と深澤のそれのどういう関係があるのだろうか
深澤は智則を笑顔にできていない。
この時、俺が自分の心情をもう少し分析していたらこんな未来にはなっていなかったのに。また違えたのだ
チャンスは細々とあったのに。
幼い頃を思い返すたびに、昔の自分を蹴りたくなる……
ただ最近笑顔に影が見えるようになってきた
智則のあの満面の笑みを奪うものを許せない
智則に嫌がらせをする奴には制裁を加えているが、効果は限定的だ。
αとして未熟な者達は己より上位のαである由希に対するリスペクトという本能がまだ備わっていない
3日もするとその恐怖を忘れ再び智則にいたずらを仕掛ける。失神させる位の威圧をやれば違うのだろうが、それをすると唐澤家に連絡がいってしまう。
智則がβという事実に俺の両親が恐慌したのはつい先日のこと。それから過干渉になった。松井の事件はβには諦念をα社会にかなりの恐怖を与えたのだ。
俺が智則を諦めるようにと、Ωをあてがうのに忙しない。一向に興味をいだかない俺にじれた親は、商売Ωを用意するまでになった。夜中にヒート中のΩに乗られて起きた時は何のホラー映画かと思った。カラーは当然していたが、小4にレイプを考える親、異常だ。
大体、俺はまだ精通もしていない。それなのに、こんな事を企てたところで……逆に精通が早まったらどうするつもりなんだか。
俺が意図的に遅らせている精通……体の成熟に反している以上、何がきっかけになるか不明だというのに。俺が安心して遠くから智則を見守れる理由はそれなのに。
『それだけじゃないと思うけどね』
島野がいう。どういう意味だろう?
智則が同級生に小突かれているのが見えた。
アイツは1週間前に軽くシメたやつだ。イラッとする
智則がまぶしすぎるのだろう。構わずにはいられない。そうでなければ上級生に注意をされる相手をいじめたりはしない。めんどくさいから。
智則に目を奪われる自身への苛立ち、もしくは好きな子ほどいじめてしまうというそれもあるのだろう。
智則をいじめるものの中には幼稚園時代智則に告白をしていた者もいる
幼い彼らは松井事件をあまり知らない。
智紀がβということに対してあまり危機感はない。ただ、番えないのだということだけを知らされている。智則君に好意を抱くのはやめなさいという言葉と共に。
そして彼らは親の言うことを真に受けてそのまま距離を取ろうとしているのだろう。ただ距離を取る、の取り方がわからないのだ。好きだと言った相手から離れることもできずただただいじめる
智則の戸惑いはいかほどだろう
幼稚園の時に親しくしていた友達が急に離れたり敵意をむき出しにしてくるの大混乱もしただろう。
もっとも俺自身もそうなんだけれども
登校する智紀を見つめていると島野が近づいてきた
「また、智則をみてる」
「最近いじめがひどいみたいで。何で深澤何もしないのだろう。隣にいるだけだ」
「俺は深澤の気持ちわかるけどな。今、智則にはほぼ全てが敵なんだよ。そんな中で深澤だけが智則の隣にいる。αにとって番の特別な位置にいられることは蜜にも等しい」
「俺には分からない。智則の笑顔の方が大事じゃないか」
島野は少し憐れみのこもった目で俺をみた。
「お前まだ……自分の方が近い位置にいると思っているんだろう。確かに智則は深澤には甘えてはいない。頼ってはいないように見えるから、だから、そう思えるんだよ。それとお前まだ精通来てないんだよな。来たらわかるよ。αが番にどれだけ暗くて醜い思いを抱いてしまうのが。その前に、βへの想いは断ち切れ」
俺の精通と深澤のそれのどういう関係があるのだろうか
深澤は智則を笑顔にできていない。
この時、俺が自分の心情をもう少し分析していたらこんな未来にはなっていなかったのに。また違えたのだ
チャンスは細々とあったのに。
幼い頃を思い返すたびに、昔の自分を蹴りたくなる……
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