39 / 60
第二章
6ー智則
しおりを挟む
岡田先輩は不思議な人だ。
借りたスマホを返すと、ヒーヒーと笑っている。あ~腹が痛いって、何がそんなに可笑しいのか。
「あ~大丈夫。アイツ体調が悪いんじゃなくて、取り込み中、そうまさに取り込み中なだけだから」
…………更に笑っているし。仲良さげだし、心配はないって言うならそうなんだろうな。
…………いいな。親友って感じがする。俺には友人はいても親友はいないから。一番親しい優は時々壁を感じるから。お前はβだから…………って線引する。けれど、俺はα様だって感じではなく智則がβであることに傷つけられているって感じで、自己防衛の線引を感じ取る。
猫が背中を丸めて威嚇してくるあれに似ている。これ以上は近寄ってくるなって。
身を守る為の線引をズカズカ崩す訳にもいかないから……羨ましいな。
「もう出るって言ったんだろう?暫くしたら来るから、唐澤に案内させるよ。篠崎君だっけ?秋葉くんは唐澤が案内するから、意味、解るよね?」
「唐澤先輩はご結婚されているとうかがってます。」
由希にぃ、結婚してたんだ。というか、岡田先輩、篠崎と初対面だよな?篠崎だって由希にぃとは合ったことが無いはず……。それにキャンパスツアーと結婚ってどんな関係が?
「君に関係ない」
「関係ないわけないでしょう?わかるでしょう」
まただ、また。α同士の暗号のようなやり取り。優も俺には理解出来ない目的語や主語の無い会話をα同士でしていた。
「…今ならまだ間に合う。手を引け」
「もう、遅い。捕らえられた」
さっき知り合ったばかりの篠崎がピリピリしながらいう。岡田先輩も殺気立ってる。つい先程まで腹を抱えて笑っていた人には見えない。
「岡田先輩、俺、篠崎と回る約束してて、由希にぃが嫌でなければ皆で回りたいんですけど……。」
「地獄絵図……」
岡田先輩がボソッと何かを言っていたがききとれなかった。
三人で待っている間は針の筵で、やってきた由希にぃが救いの天使に見えた。
いや、天使と言うには…………淫靡?
何か、めちゃくちゃ色気がある。
「智則」
そう言われて、つい、出できた単語。
「お帰りなさい」
小さい頃、ウチに遊びに来た由希にぃに言われて癖になっていた
『僕が智則のウチに遊びに来た時は、お帰りなさいって言って。僕は…………』
「ただいま、智則」
くすりと笑いながら言われた。覚えてくれていたんだな。照れくさくてクスクスと笑いが漏れた。
「…………オレ、いらなくね?」
岡田先輩が何か言ったけど聞き取れなかった。
「智則。とりあえず回らねぇ?」
「ああ、ゴメン篠崎。」
篠崎の事忘れてた。紹介しないと。
「由希にぃ、こちらは同じ科の篠崎。篠崎、こちら俺らの先輩で岡田先輩と唐澤先輩。唐澤先輩は俺の兄貴分。」
「兄貴分か、そうか、兄貴分ね。クラスメイトの篠崎隼人です。よろしくお願いします。」
篠崎が握手のために由希にぃに手を差し出したのに、岡田先輩が横から奪いとっていた。
由希にぃは手持ち無沙汰になったのか俺の頭をポンポンとした。俺も身長伸びたんだけど。まぁ、由希にぃは190前後、上からされるのは仕方ないか。
そういえば、漢字がかけたり掛け算正解すると、こんな風にしてくれたな。
懐かしい。
これも覚えてくれていたのだろうか
ふふっと笑いが漏れた。
「これで分かったか」
岡田先輩が篠崎に言う。
「兄貴分ならそんなものでは?」
篠崎も言う。篠崎、なんでそんなに岡田先輩に喧嘩ごしなんだろうか。
あ、そういえば……
「由希にぃ、結婚したんだね。おめでとう!」
借りたスマホを返すと、ヒーヒーと笑っている。あ~腹が痛いって、何がそんなに可笑しいのか。
「あ~大丈夫。アイツ体調が悪いんじゃなくて、取り込み中、そうまさに取り込み中なだけだから」
…………更に笑っているし。仲良さげだし、心配はないって言うならそうなんだろうな。
…………いいな。親友って感じがする。俺には友人はいても親友はいないから。一番親しい優は時々壁を感じるから。お前はβだから…………って線引する。けれど、俺はα様だって感じではなく智則がβであることに傷つけられているって感じで、自己防衛の線引を感じ取る。
猫が背中を丸めて威嚇してくるあれに似ている。これ以上は近寄ってくるなって。
身を守る為の線引をズカズカ崩す訳にもいかないから……羨ましいな。
「もう出るって言ったんだろう?暫くしたら来るから、唐澤に案内させるよ。篠崎君だっけ?秋葉くんは唐澤が案内するから、意味、解るよね?」
「唐澤先輩はご結婚されているとうかがってます。」
由希にぃ、結婚してたんだ。というか、岡田先輩、篠崎と初対面だよな?篠崎だって由希にぃとは合ったことが無いはず……。それにキャンパスツアーと結婚ってどんな関係が?
「君に関係ない」
「関係ないわけないでしょう?わかるでしょう」
まただ、また。α同士の暗号のようなやり取り。優も俺には理解出来ない目的語や主語の無い会話をα同士でしていた。
「…今ならまだ間に合う。手を引け」
「もう、遅い。捕らえられた」
さっき知り合ったばかりの篠崎がピリピリしながらいう。岡田先輩も殺気立ってる。つい先程まで腹を抱えて笑っていた人には見えない。
「岡田先輩、俺、篠崎と回る約束してて、由希にぃが嫌でなければ皆で回りたいんですけど……。」
「地獄絵図……」
岡田先輩がボソッと何かを言っていたがききとれなかった。
三人で待っている間は針の筵で、やってきた由希にぃが救いの天使に見えた。
いや、天使と言うには…………淫靡?
何か、めちゃくちゃ色気がある。
「智則」
そう言われて、つい、出できた単語。
「お帰りなさい」
小さい頃、ウチに遊びに来た由希にぃに言われて癖になっていた
『僕が智則のウチに遊びに来た時は、お帰りなさいって言って。僕は…………』
「ただいま、智則」
くすりと笑いながら言われた。覚えてくれていたんだな。照れくさくてクスクスと笑いが漏れた。
「…………オレ、いらなくね?」
岡田先輩が何か言ったけど聞き取れなかった。
「智則。とりあえず回らねぇ?」
「ああ、ゴメン篠崎。」
篠崎の事忘れてた。紹介しないと。
「由希にぃ、こちらは同じ科の篠崎。篠崎、こちら俺らの先輩で岡田先輩と唐澤先輩。唐澤先輩は俺の兄貴分。」
「兄貴分か、そうか、兄貴分ね。クラスメイトの篠崎隼人です。よろしくお願いします。」
篠崎が握手のために由希にぃに手を差し出したのに、岡田先輩が横から奪いとっていた。
由希にぃは手持ち無沙汰になったのか俺の頭をポンポンとした。俺も身長伸びたんだけど。まぁ、由希にぃは190前後、上からされるのは仕方ないか。
そういえば、漢字がかけたり掛け算正解すると、こんな風にしてくれたな。
懐かしい。
これも覚えてくれていたのだろうか
ふふっと笑いが漏れた。
「これで分かったか」
岡田先輩が篠崎に言う。
「兄貴分ならそんなものでは?」
篠崎も言う。篠崎、なんでそんなに岡田先輩に喧嘩ごしなんだろうか。
あ、そういえば……
「由希にぃ、結婚したんだね。おめでとう!」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
121
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる