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第四章

6−華

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ヒート、この時期になると、由希は必ず帰ってきてくれる。

ここは由希と私の家なのに、由希は以前のマンションを解約していない。結婚を機に二人で住もうって言ったのに。
あの毒婦
アレが現れてから由希は変わった。佐藤に似た外見のあのβ。人の心を吸い尽くすような、禍々しい黒い瞳。穢れなんて知れませんとでもいうかの如く、わざとらしい位に健康的な躰。
汚し尽くしてやらないと気がすまない。

大学のαを雇って襲わせようとしたけれど、由希と篠崎を畏れて無理だった。番ってもいないくせに、人の権威を利用するなんて!
βも雇ったけれど、あんな筋肉馬鹿に敵う者はいなかった。
それでも、学外のαにまでは知れ渡ってないからそれを雇うことにした。
幸い、帝都大学は開かれていて部外者も身分証を提示登録すれば構内に入れる。
先ずは淫乱という噂を流す事にした。βのくせして成績が良い事に不快感を示す者たちにはソレは心地よく響き勝手に尾ヒレを追加して拡散していった。直接手を加える勇気はなくても、噂に乗じるくらいは許されるだろうと思っているらしい。
好都合だ
下卑た目で見る者が増えれば、それが大多数になりそれが普通になる。そのうち、アレを襲う者も出てくるだろう。複数人に輪姦されてしまえばいいのに。

気になるのは、篠崎の存在。どう動くのか。
私としてはあんな淫婦、αに大切にされる価値もない。ヤられてボロボロになって男を見るだけで恐怖を覚えるようになればいい。
篠崎はそこにつけ込む?ボロキレになった淫婦ならば、篠崎が優しさを見せればコロリといって依存しないと生きられない生物になるわね。
それとも、手垢が着くのを嫌がって守りに入るかしら。
守りに入るなら入るで、さっさと監禁して由希の目に映らないようにしてほしいわ。…………この場合、協力体制を取ったほうがよさそうね。
どちらにしろ、あの図太さ。佐藤の時ほど簡単にはいかない。佐藤は簡単に砕け散って由希の前からいなくなってくれたのに。

カチリ
玄関ドアがあいた。
「由希!」
愛しいツガイに抱きついた。
「……まだ、ヒートになってないね」
「もうなるわ。」
慌てて由希を引き留める。
ツレナイ番。
私のヒートの時しか来てくれない。
「ヒートになったら呼んでって言ったでしょ」
「なってるってば!」
誘惑フェロモンを飛ばす。由希がよろめいて、目がトロンとし始める。
私と由希は相性がいい。これを運命というのかもしれない。
私は由希を初めてみた時にヒートになったし、由希は他のΩのフェロモンには対抗できるけれど、私のだけは無理、無条件降伏になる。

ベッドに連れていき、再びフェロモンを当てると、由希がラットになった。
王子様のような由希が私を求めて獣のようになる瞬間がすき。

一週間、愛を確かめ合いましょうね。
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