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14-出会い
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3ヶ月に一度のヒートにも慣れた。慣れざる得なかった
屈辱的ではあるが熱の発散の為に手を伸ばす事も……受け入れざる得なかった。
ダディは何度と無く海斗に頭を下げていたらしい。菫とヒートを過ごして下さい、と。でも海斗は首を振った。海斗に好かれてはいると思う。けれど、『菫に手を出せば将来俺は詰むとαの直感が警告を発している』と言って海斗は私に手を伸ばしはしない。
その程度なのだ。
上位αは、本気で欲しくなったモノはなりふり構わず奪っていく。私は、海斗にとってそこまでの価値があるΩではなかったのだ、ただそれだけ。
そして、そんな海斗を想い続けられるほど、ヒートは甘くない。私達の関係は戦友のようなモノになった
「さすが菫だな」
海斗と並んで、廊下に張り出された成績順位表を見る。
「海斗もね」
視線が合って、二人でふふ…っと笑った。
「お似合いの二人だよね~」と誰かが言っている。「番ってないのが不思議…」「さっさと番えば良いのに。まだだから、D組のΩがワンチャン狙いでヒートレイプしかけてくるんじゃんねぇ」
……そうか、海斗はヒートレイプされかけたのか。ジッと見つめると海斗が困ったように私をみる
「それでも、菫のおかげで頻度は低いよ?俺の周囲のαに羨ましがられるからな」
「お役に立てて光栄です」
将来有望な海斗に告白してくるΩは多い。一度は丁寧にお断りをするらしいが、それでも引き下がらない場合、『菫より優れている所が貴方にあると?』と言うらしい。
私も同じだ。『海斗以上の甲斐性を証明して?』と言えば大抵は去って行く。ギブアンドテイクだ。
ただ、それでも諦めない輩はいる。薬をキメて『私達は運命なんだ』とか、とちくるった事をしてくる。
よくやるよな、と思う。
αの意思を排除して無理に番えば、冷遇される可能性が高い。実家が太ければまだしも……でも、ワンチャンに賭けたいくらいΩの気持ちも分からないでもない。Ωの生殺与奪は番次第なのだ。番が裕福かどうかでその後の生活が決まる。変なαに捕まって性風俗で働かせられるよりも、冷遇であっても安全な場所で生活できる可能性に賭けたい、もしかしたらαに執着されて豊かな人生を送れるかもしれない、と夢想する。高位αの運命であれば、自分が最も優先され裕福な生活が保証される……。
「菫ちゃん、1位おめでとう」
優実が笑顔で駆け寄ってきた。そういう優実だって上位に載っている
「帰りにカフェでお祝いしよう?九頭くんもどう?」
「……やめておくよ」
優実が笑顔で海斗を誘うが目は笑っていない。当人だけに伝わる社交辞令だ。
優実と海斗の相性はあまり良くない。
ヒートの度に痩せる私を見て、何もしない海斗に憤りを感じているのだ。海斗が私の偽りのパートナーを演じるから、他の人が私に手を出せない。発散する相手がいるだけでもヒートは軽くなるのに、その道を海斗が塞いでいるから。でも、代わりに変なαもよってはこない。私をトロフィー扱いしようとする輩は上位種の海斗のマーキングに恐れをなすのだ
優実と二人でカフェに向かっていると、ダディから電話がかかってきた。カフェに行く途中にある和菓子屋さんでおはぎを買ってきてほしいといわれた。人気のあるカフェだし優実には先に行ってもらった。
「おはぎとすあまと…」
購入した和菓子をダディに報告をしながらカフェを目指している途中だった。
いい香りがした。こんな裏道にスィーツやさんなんてあったっけ?
何気なく香りのする方に視線をやると小学生くらいの男の子と目が合った。
ドクン…!
心臓を鷲掴みされたかのような衝撃を受けた。
スマホが私の手から滑り落ちる
『菫?……菫!?』
発熱している。
全身が熱い。鼓動だけがやけに鮮明で、身体の奥から何かが滲み出す。
喉が熱く、肌がざわめく。
知らない匂いが鼻の奥を突き抜けて、理性のすべてを塗りつぶしていく。
崩れ落ちた体で、なおも男の子を求めて這うように進む。
男の子は目を見開いて凍り付いたように動かない
『菫!抑制剤を打て!』
ダディの怒鳴り声にハッとした。
慌てて鞄から注射器を取り出して太ももに打ち付けた。
逃げろ逃げろ、手足の自由が利くうちに逃げるんだ。
この子に、近づいてはいけない。
彼はまだ、小学生の男の子だ。
「あ、あの…」
そろり、彼が近寄ってくる。心臓を押さえて苦しそうにしながら近付いてくる
あどけない目で、私を見上げている。
その視線に何の下心もない。
なのに。
身体が、彼の声一つに反応してしまう。
αの香りが、こんなにも強いなんて知らなかった。
生まれ変わる前の世界には、こんな感覚は存在しなかったのに。
どうにかスマホを拾い、ゆっくりと後ずさり踵を返した。
「待って!!君だろう!?」
苦しそうにしながらも男の子が私に叫ぶ。
私が発情しているのだ。彼だってラットになりかけているはず。でも、彼はまだ小学生だ。誰彼かまわずに襲ったりはできない。身動きできない彼をおいて逃げ出した。
『菫!優実ちゃんに連絡した!その先で落ち合え!車も手配した』
ダディが叫ぶ。泣きながらその指示に従った。
体が熱い。
発情しているのだ。
それも、男の子、そう、子供のα相手に発情した!
まるで、獣だ獣。
汚らわしい。
気持ち悪い!
この体が気持ち悪い!!
助けてよ!助けてよ!
小学生に発情する?
こんな世界、私の世界じゃない!!!!!
屈辱的ではあるが熱の発散の為に手を伸ばす事も……受け入れざる得なかった。
ダディは何度と無く海斗に頭を下げていたらしい。菫とヒートを過ごして下さい、と。でも海斗は首を振った。海斗に好かれてはいると思う。けれど、『菫に手を出せば将来俺は詰むとαの直感が警告を発している』と言って海斗は私に手を伸ばしはしない。
その程度なのだ。
上位αは、本気で欲しくなったモノはなりふり構わず奪っていく。私は、海斗にとってそこまでの価値があるΩではなかったのだ、ただそれだけ。
そして、そんな海斗を想い続けられるほど、ヒートは甘くない。私達の関係は戦友のようなモノになった
「さすが菫だな」
海斗と並んで、廊下に張り出された成績順位表を見る。
「海斗もね」
視線が合って、二人でふふ…っと笑った。
「お似合いの二人だよね~」と誰かが言っている。「番ってないのが不思議…」「さっさと番えば良いのに。まだだから、D組のΩがワンチャン狙いでヒートレイプしかけてくるんじゃんねぇ」
……そうか、海斗はヒートレイプされかけたのか。ジッと見つめると海斗が困ったように私をみる
「それでも、菫のおかげで頻度は低いよ?俺の周囲のαに羨ましがられるからな」
「お役に立てて光栄です」
将来有望な海斗に告白してくるΩは多い。一度は丁寧にお断りをするらしいが、それでも引き下がらない場合、『菫より優れている所が貴方にあると?』と言うらしい。
私も同じだ。『海斗以上の甲斐性を証明して?』と言えば大抵は去って行く。ギブアンドテイクだ。
ただ、それでも諦めない輩はいる。薬をキメて『私達は運命なんだ』とか、とちくるった事をしてくる。
よくやるよな、と思う。
αの意思を排除して無理に番えば、冷遇される可能性が高い。実家が太ければまだしも……でも、ワンチャンに賭けたいくらいΩの気持ちも分からないでもない。Ωの生殺与奪は番次第なのだ。番が裕福かどうかでその後の生活が決まる。変なαに捕まって性風俗で働かせられるよりも、冷遇であっても安全な場所で生活できる可能性に賭けたい、もしかしたらαに執着されて豊かな人生を送れるかもしれない、と夢想する。高位αの運命であれば、自分が最も優先され裕福な生活が保証される……。
「菫ちゃん、1位おめでとう」
優実が笑顔で駆け寄ってきた。そういう優実だって上位に載っている
「帰りにカフェでお祝いしよう?九頭くんもどう?」
「……やめておくよ」
優実が笑顔で海斗を誘うが目は笑っていない。当人だけに伝わる社交辞令だ。
優実と海斗の相性はあまり良くない。
ヒートの度に痩せる私を見て、何もしない海斗に憤りを感じているのだ。海斗が私の偽りのパートナーを演じるから、他の人が私に手を出せない。発散する相手がいるだけでもヒートは軽くなるのに、その道を海斗が塞いでいるから。でも、代わりに変なαもよってはこない。私をトロフィー扱いしようとする輩は上位種の海斗のマーキングに恐れをなすのだ
優実と二人でカフェに向かっていると、ダディから電話がかかってきた。カフェに行く途中にある和菓子屋さんでおはぎを買ってきてほしいといわれた。人気のあるカフェだし優実には先に行ってもらった。
「おはぎとすあまと…」
購入した和菓子をダディに報告をしながらカフェを目指している途中だった。
いい香りがした。こんな裏道にスィーツやさんなんてあったっけ?
何気なく香りのする方に視線をやると小学生くらいの男の子と目が合った。
ドクン…!
心臓を鷲掴みされたかのような衝撃を受けた。
スマホが私の手から滑り落ちる
『菫?……菫!?』
発熱している。
全身が熱い。鼓動だけがやけに鮮明で、身体の奥から何かが滲み出す。
喉が熱く、肌がざわめく。
知らない匂いが鼻の奥を突き抜けて、理性のすべてを塗りつぶしていく。
崩れ落ちた体で、なおも男の子を求めて這うように進む。
男の子は目を見開いて凍り付いたように動かない
『菫!抑制剤を打て!』
ダディの怒鳴り声にハッとした。
慌てて鞄から注射器を取り出して太ももに打ち付けた。
逃げろ逃げろ、手足の自由が利くうちに逃げるんだ。
この子に、近づいてはいけない。
彼はまだ、小学生の男の子だ。
「あ、あの…」
そろり、彼が近寄ってくる。心臓を押さえて苦しそうにしながら近付いてくる
あどけない目で、私を見上げている。
その視線に何の下心もない。
なのに。
身体が、彼の声一つに反応してしまう。
αの香りが、こんなにも強いなんて知らなかった。
生まれ変わる前の世界には、こんな感覚は存在しなかったのに。
どうにかスマホを拾い、ゆっくりと後ずさり踵を返した。
「待って!!君だろう!?」
苦しそうにしながらも男の子が私に叫ぶ。
私が発情しているのだ。彼だってラットになりかけているはず。でも、彼はまだ小学生だ。誰彼かまわずに襲ったりはできない。身動きできない彼をおいて逃げ出した。
『菫!優実ちゃんに連絡した!その先で落ち合え!車も手配した』
ダディが叫ぶ。泣きながらその指示に従った。
体が熱い。
発情しているのだ。
それも、男の子、そう、子供のα相手に発情した!
まるで、獣だ獣。
汚らわしい。
気持ち悪い!
この体が気持ち悪い!!
助けてよ!助けてよ!
小学生に発情する?
こんな世界、私の世界じゃない!!!!!
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