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学園4年生編
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しおりを挟む後半◯◯◯◯視点
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サメ騒動の次の日、早朝。涼しい風が吹く中、トッピーに跨り誰もいない砂浜をのんびり散歩する。
ザザァ…という波の音…いいねえ。こう…素敵な彼氏と来たいよね…もしくは新婚旅行。
「ほ~ら、つかまえてごら~ん。うふふ~」「あはは~待てこいつぅ~」みたいな?古いか…
こんな事を考えるのも、昨夜懐かしい夢を見たからである。前世の…何気ない日常のやり取りを。あれは、そう…病室でドラマを観ていた時の会話。優花が…まだ12歳くらいの時かな?
『……いーなー、ウエディングドレス!私も着たいなあ。
旦那さんは超イケメンで高身長でー。高学歴でお金持ちで私だけを愛してくれる人がいーなー!!もっと言えば頭も良くて運動神経も抜群だったら最高なのになー!』
『とうとう頭がイカれたか…』
『なんですと!!?夢見るだけならタダでしょう!?』
『いくらなんでも盛りすぎだろ姉ちゃん…』
と、優也は呆れ顔だったが。
優花は教会でウエディングドレスを着て、結婚式を挙げるのが夢だった。
で、考えてみると…パスカルってイケメンで高身長で、高学歴…だよね。お金持ちで頭脳明晰、武術も嗜んでいて…わたしを、真っ直ぐに愛してくれるひと。
条件…完璧に満たしてるんじゃ…?いや条件で好きになった訳ではないけども。こっちの世界の貴族じゃ当然のスペックかもしれないけど。それでも…
「えへへ~。(多少の欠点に目を瞑れば)パスカルみたいに素敵な人がわたしを愛してくれて…わたしってば幸せ者~!
あの愛情表現も、せめて誰もいない所でして欲しいなー!人前じゃシャーリィ恥ずかしいっ!なんてねー!!」
「痛い、痛い…」
おっとごめんね。テンション上がっちゃってトッピーの肩(?)をバシバシ叩いてしまった。さすさすと。
朝から上機嫌なわたしは、鼻歌を歌いながらのしのし歩く。その時…後方から何か聞こえた気がしたが。波の音にかき消されてわたしには届かなかった。
「……可愛いぃ……一生幸せにする…死んでも大切にする…物陰でめっちゃめちゃに愛したい…」
「………死ん…でる…」
どうやらわたしを見つけたパスカルが、後ろから驚かせようとゆっくり近付いていたそうな。
そしてわたしの無意識攻撃に倒れ、近くで待機していたフェイテに引き摺られていったみたい。
「…あるじ。海を見て」
「へ?」
そろそろ朝食の時間なので帰ろうかな~と思っていたら、トッピーが立ち止まる。言われた通りに沖のほうに目を向けると、遠くの…水面になんかいるのが見える。人の声も聞こえるが…
「……ーーーい…」
「…叫んでる?もしかして誰か溺れてる!!?トッピー、助けに行こ」
「心配ない。ほら、あそこ」
ええ…?よく見ると…何かが高速で水面を走っている…?
「…わはーーーい!!!あっはっはっ、ひゃっほーーーおう!!!!」
「…ルシアン!?あれは…昨日のサメじゃねーーーか!!!」
なんと水着のルシアンがサメの背びれに片手で掴まり、背中に足を乗せて…水上バイクのように走り回っている!!
いやサメって鮫肌じゃないの!?体表触ったら痛くないの!?
「今のルシアンは海神の化身みたいなものだからねー、海が彼を傷付ける事は有り得ないよ。海というフィールドにおいてのみ、彼は最強と言っても過言ではないね」
ヨミが姿を現し、わたしの後ろに乗った。すごいなルシアン!?いや、ヨミのアイテム凄すぎない?
「今更だけど…あんなお宝、わたし達みたいなただの子供にくれてよかったの?世が世なら戦争だよ…」
「大丈夫。どれも本来の持ち主にちゃんと許可貰ってるから。ちなみに君ら現在の持ち主が死んだ時、全て自動的に消滅するよ」
…それはつまり。わたし達の道具は正真正銘神様や英雄からの授かり物…わたしは考える事を放棄した。
その後もなんとなく遠くにいるルシアンの姿を眺める。楽しそうに大口開けて笑っちゃって、まあ。
…あのサメ、ひれだけでルシアンの身長くらいある…?デカいな!?釣竿よく折れなかったねえ…そしてジェイルの腕力半端なかったんだな…!
ハーヴェイ卿はいないのかな?と周囲を見渡す…あ、いた。こっちに笑顔で手振ってる。ここから50m程離れた、砂浜にセッティングされたサマーベッドに横たわりながらな…護衛仕事しろ。
その時…ルシアンもわたしに気付いた。そして大きく手を振り…サメごと波打ち際ギリギリまで近付いてくる。
「おはよう、セレス、ヨミ、地の精霊様」
「おはよう、ルシアン。随分楽しそうね…」
「ああ!そうだ、セレスも一緒にどうだ?」
へっ!?いや…魅力的なお誘いですが。わたしが触ったら怪我しちゃうんじゃない?そしてサメの正面顔怖っ。
「それなら、ルシアンと触れ合っていればシャーリィにもアンクレットの効果が発動されるよ。やってみれば?」
「そう…なの?」
ヨミの言葉を信じて…サンダルを脱いで海に入り、ゆっくりとサメに近付く。デカい、怖い!ルシアンすげえ!
わたしってば服なのに腰まで水に浸かっちゃってるけど…後で暖炉に乾かしてもらえばよし。
しかし…ルシアンって顔だけ見ると「ザ ・王子様」な超美形なんだよなあ…。今は全身ずぶ濡れで、黒髪も太陽の光が反射して輝いている。水も滴るいい男…ってか?
そんな彼は今半裸な訳で。目の前で身体を見せつけられちゃ…照れるってば…。
ルシアンがサメの上にしゃがみ、手を伸ばす。わたしの手と重ねた瞬間…何かが、わたしをコーティングしたかのような感覚が。そしてサメをチラッと見ると…
か…可愛い!!なんだコレ、サメが超可愛く見えるんですけど!?
恐ろしいはずの背びれも輝いているし、つぶらな瞳もギザギザの歯もキュート!!シュッとした身体に滑らかな鮫肌…サメってこんなに可愛かったのね…!!
「よし。触れ合っている必要があるんだよな?うーん…少し失礼」
うおっ!?ルシアンが思いっきり腕を引っ張るもんで、勢いで彼に抱き着いてしまった…!しかもわたしの…服の下に手え突っ込んできた!!
彼の腕がわたしの腰を直接抱き…いや無理!!一気に顔に熱が集まる…!
「な、ちょっとー!!?」
「仕方ないだろう、肌が触れ合っていないと其方は怪我をしてしまう。
ほらじっとして。結構スピード出るからな、其方も私の腰に手を回して…左手でひれを持って。
足もそこじゃ危ない。私の足と交互になるようにするんだ」
ひ、ひい…!!半裸のルシアンにくっ付いてるわ足は絡み合っているわ!!そして身長差的に、彼の鼻の辺りにわたしの目がある。つまり、超近い!!!
相手が同性ならともかく、異性でコレはどうかと思うよ!?いくら友人でも!!
と…わたしは1人パニックになっていたのに…当のルシアンは「男相手にこんな密着してたまるか!」と憤ってはいるが…平常運転だ。
なんだよ…意識してるのわたしだけなの?アホらし…なんとなく、昔プロポーズされたの思い出しちゃったじゃん…。
でもまあ、向こうがそれならこっちも遠慮なく。ルシアンの腰に回した手に力を込めて、絶対離さんぞ!と気合を入れる。
「…っ!しっかり掴まっていろ。頼むぞ、ふかひれ!!」
「待って今なんつった!?」
ヨミとトッピーが「いってらっしゃーい」と送り出す。サメは最初はよたよたしていたが…浅瀬を脱した瞬間…スピードアップ!!きゃーーーーー!!!
「ひゃああああーーーっ!!す、すっごーい!!」
「だろう!?舌を噛むなよ!!」
「うん!」
シュババババ!!と猛スピードで泳ぐふかひれ!サメになんて名前付けてんねん、と言いたい。
確かサメは、種類にもよるけど…最高速度90km以上出るんだっけ?追われたら死ぬわ~。
しかし楽しい!風が半端ないけどもー!!先程以上にルシアンに密着し、ひれを握る手にも力を込める。手が滑らないのは、何か加護のお陰だろうか。
と、楽しいのはいいけども…
「ねえ、さっきもスピード出してたじゃない。あんまり無理させるとふかひれが可哀想だよ」
「それもそうだな。じゃあ暫く…のんびり泳いでくれ」
ルシアンの言葉に、ふかひれは…ピタっと止まった。サメってすっごーい。
「「あっ」」
猛スピードで進んでいたのに…急ブレーキを掛けるもんだから…
わたしたちの身体は…ひれにぶつかり(痛くは無かった。流石海神の加護!)。それでも止まらず…海に投げ出され…
「こういうの、なんて言うんだっけ?」
「うーん…慣性の法則かな?」
「おー!流石セレス!」
いやあ、はっはっはっ。……………。
「「ふーかーひーれー!!!!」」
バッシャアアアァァン!!!
わたし達は…仲良く海にダイブしたのでした。最後ふかひれが「サーセン」と言った気がした…
(…おお、本当に呼吸が出来る!しかも目を開けても痛くないし、視界も良好)
(セレス、セレス。聞こえるか?)
(お?聞こえる!)
なんとか手は離さずに済んだようだ。ルシアンと会話も出来るので、パニックにならずに済んだ。今わたし達は…海の中を漂っている……ってわたし泳げないんだけど!?
(私もだ。でも大丈夫…ふかひれもいるし。少し…海中散策をして行かないか?)
(いいね!)
わたし達は離れないよう…指を絡めてしっかりと手を繋ぐ。
ここが…海の中…初めてだなあ。
上も下も感じないが、水面を見ればキラキラ輝いている。イワシのような小魚の群れ…綺麗…。
足をバタつかせれば、少し前に進んだ。わあ…わたし今、前世も含めて初めて泳いでる!!
現在地はかなり沖のほうなので、合流したふかひれに掴まり少し海岸に戻る。途中…沢山の海洋生物とすれ違った。皆逃げる事なく群がってくる。その中に…
(あ、ウミガメだ!!)
(本当だ…名前を付けてあげようか。何がいい?)
名前?ルシアンが言うには…名前を付けると、意思の疎通が出来る様になるんだって。それに賢くなるらしい。更に言うと、ふかひれはデカくなったと。まるで進化のようだ。
少し、精霊の契約に近いかも?だからお気に入りの魚には、どんどん名前を付けるようだ。
しかしウミガメか………
(じゃ、うらしま)
(よし。お前は今からうらしまだ!)
するとなんだか…うらしまが笑った気がした。もちろん顔は変わっていないが、雰囲気がね。うらしまも一緒に海岸に向かう。
途中ルシアンが気に入った生き物には名前を付けていくが…何故かわたしに命名を託す。よし、任せろ!!
で、現在の遊泳パーティがこちら。
ふかひれ(サメ)・うらしま(ウミガメ)・おさしみ(タコ)・そうめん(イカ)・すぷーん(カニ)・ばんどう(イルカ)・ふろーと(シャチ)・あごひげ(アザラシ)である!!
この海なんでもいるな!流石にペンギンとかはいなかったが。パーティ内で食物連鎖起きそうだけども…そこは知性を得た者同士、仲良くしているよ。
ぴのきお(クジラ)もいたが、デカすぎるので帰ってもらった。またね!!
しかし大きな魚が従うこの光景は壮観ですね。色んな海洋生物達…それらが今のルシアンには皆従うのか…。なんてファンタスティック。
(こりゃルシアンは海の王者だね。なんかさ、海底遺跡とか海底神殿、海底都市とか見つけちゃったりして!)
と、何気なく言ってみたら…
(海底遺跡…神殿…都市…!!?なんだその素敵な響きは…海にそんなロマンが沈んでいたなんて…!!!)
彼は頬を染めてかつてない程に目を輝かせている。どうやら無責任に夢を与えてしまったようだ……すみません、皇族の皆様。
浅瀬に近付くと、海藻も見えてきた。それにあれ珊瑚?すごーい!そして色とりどりの魚達…ダイビングって、こんな感じなのかなあ…。
(はあ…凄い光景だなあ…ありがとう、ルシアン。すっごく楽しい!)
(…私こそ。一生の思い出が出来た。ありがとう、セレス)
んなオーバーな!と笑ってみたが…ルシアンは切なそうに微笑む。なんで…そんな顔をするの…?
(ルシアン…まさか君、不治の病に冒されて余命宣告受けたとか、そんなんじゃないよね…!?)
というわたしの発言に…ルシアンは目を丸くさせた後、あははっ!と笑い飛ばした。
(違う違う。…説明出来る感情でも無いけれど。
それでも、ただ…これから先もずっと、私達は友達か?)
(え…そんなの、当たり前じゃん!ずっと、大好きで大切な友達だよ!?)
(…大好き、か…。ありがとう)
※※※※※
彼女はきょとんとしているが…私の本心は、まるで伝わっていないんだろうな。それで…いい。
それに気付いたのはいつ頃だろうか。多分、つい最近。だが絶対に、打ち明けないと決めた。
私がいつの間にか…其方に好意を寄せてしまっているなんて。
だって私は…マクロンを応援すると決めたから。だから…
もしもあの男がロクデナシだったり、セレスが嫌がったりしていたら。約束なんて蹴っ飛ばして、横から掻っ攫ってしまおうかとも思った。
でも2人は本当に仲睦まじく。見ているこっちが胸焼けしそうな程甘ったるく、幸せそうだから。あそこまで見せつけられてしまえば…諦めもつくというもの。
……そうだ、数年前。皇宮でセレスに「皇子妃にならないか?」と提案した時。
当時は本当に、私は恋愛なんて何も分からなくて。彼女とだったら良い関係が築けそう、くらいにしか考えていなかった。
それが変化したのは、いつからだ?いくら考えても、分からなかった。
きっと私はマクロンのような、情熱的な恋は出来ないんだと思う。セレスを求める欲はあれど、あそこまでは…ちょっと。
だから気付かなかったのかもしれない。自分の感情の正体に。…いっそ、気付かないほうが幸せだったのかもしれないが。
握る手に力を込める。するとセレスはにへっと笑い、握り返してくれた。その笑顔をこの先も、ずっと近くで見ていられるマクロンが…羨ましい。
…セレスとエリゼと友人になった日。まだあの頃は、彼女はマクロンの事を友人としか見ていなかったように思える。マクロンは…どうだろうか。
あの頃から私が、本気で彼女を愛していたら。甘い言葉を囁いて贈り物をして…触れ合っていたならば。私達は、今とは違う関係になっていたのだろうか?
(……ねえルシアン、本当にどうしたの…?どこか痛いの?辛そうな顔してるよ…)
…其方は他人の感情の機微に敏感なのだな。私は返事の代わりに笑ってみた。上手く笑えているといいのだが。ここが水中で良かった。
涙を流していても…気付かれずに済むから。
(うらしま。こちらへ)
うらしまを呼び、手を繋ぎ直し…セレスを前に並んで甲羅の上に座った。名付けにより成長したうらしまは、人間が2人乗ってもまだ余裕がある。
泣き顔は誤魔化せないので、彼女に見せたくない。
(わー!本当に浦島太郎になった気分!すごいすごい!!)
なんの事か分からないが、セレスは楽しそうにはしゃいでいる。互いの右手は重ねたまま…私は彼女に気付かれぬよう、髪を一房掬った。
その髪に口付けをして。どうかこの先も…シャルティエラがその笑顔を曇らせる事がありませんように…と、願うのだ…
ざぱっ!と水面から顔を出す。久しぶりに重力を感じたな。どうやらかなり海岸に近付いていたようだが、砂浜まではまだ30m程距離がある。その砂浜に…数人いる。
「あ!いたー!!おにーさまーーー!!」
「あれは…ロッティとバジル、ジスラン…マクロン。エリゼ達も…なんだ、大集合じゃないか。そんなに心配を掛けてしまったか…?」
特にマクロンは怒りか悲しみか、よく分からない表情で私を睨み付けている。ふっ、セレスと水中デートが出来る私が羨ましかろう。
それももう、これきりにしよう。今後は完全に…友人と割り切って付き合えるよう…頑張るから。今だけは恋人同士のように、こうやって指を絡めて握り合うのも…許して欲しい。
「ねールシアン。君って皆を名前で呼ぶようになったけど…なんでパスカルはいつまでもマクロンなの?仲良しなのに」
「え…ああ…そういえば。
…いや。多分死ぬまで変わらないな、あいつだけは」
「えぇ…?」
上手く言えないが、それが私達の距離感なんだと思う。
さて。うらしまに乗ったまま、スィーーー…と進む。
『お父さん、このまま陸に上がるの?』
「このまま進んでくれ、うらしま」
『はーい!!』
こんな風に私は、彼らと対話も出来る様になった。が!
何故か皆…私を父親、セレスを母親と認識している…。ふかひれに至っては、ダディ・マミィ呼びだ。嬉しいような虚しいような。
「ん?マミ…じゃなくて、セレス。服が透けてサラシが見えているぞ。そのままではスクナ達に気付かれてしまう」
「へ。おわあっ!?しかも緩んでる…!ちょっとルシアン、前変わって!!」
私の指摘に、セレスは慌てて後ろに移動した。……私は変な顔をしてなかったよな…?
だがこのまま上陸するのは不味い。まずロッティかルネ辺りに、タオルか上着を持って来てもら……
「シャーリィイィーーー!!!どうした、何故隠れる!殿下に何かされたのか!?」
………マクロンが高速で泳いで来た。この男は泳ぎも得意なのか、是非指導してもらいたい。
「そうめん、おさしみ。あの男をぬるぬるにしてやれ」
『『了解!!』』
「ぎゃーーー!!?な、なん…!どこに触っているんだーーー!!!」
ふう…なんて気色悪い光景だ。無視して横を通り過ぎる。が!!
「な…!ルシアン、シャッターチャンスだよ!!パスカルのあられもない姿を記録しないと!!」
セレスがやや興奮気味に私の肩を揺らす。この2人は意外と、似た者同士だったようだ…だがカメラが腐りそうなので断る。
「ぎゃーーー!!!あーーー!!」
「パスカルーーー!!君を助けられない僕を許して…!あ、ロッティー。タオル持ってないー?」
切り替え早っ。
その後は服装も整えぴのきおも呼び、私の…子供達?を紹介した。ルネやコハナなんかは怖々していたが、可愛らしいあごひげに夢中だ。「名前は可愛くない」と言われてしまったが、私ではない。
ふかひれには危なくて触れないが、一緒に泳いでいる者もいる。ふろーと、ばんどうも混ざり、なんとも楽しそうだな。
一番面白かったのが…エリゼがすぷーんにじゃんけんを教えていた事。そして彼はグーを出し…「ははは、チョキしか出せまい!!」と言っていた事。
その後すぷーんにハサミで拳を挟まれ絶叫していたが。すぷーんはチョキでもグーに勝てると証明してしまった。
ふいに、私の腹がグウゥ…と音を鳴らした。そうか、朝から何も食べていなかったな。
すると同じような音が聞こえてきた…お腹を押さえている、セレスだ。私達は顔を見合わせて…小さく笑った。
「はいはい、皆様もお腹が空いた頃でしょう?ダイニングに移動致しましょう」
どうやら昼も過ぎていたようで、ルネの言葉に全員移動する。腹ごしらえも完了し、また皆で海に向かう。
こうして1日、子供達と楽しい時間を過ごした。この旅行は楽しい事も怖い事も、色々あったが…
最後の最後で初恋の女の子とデートが出来たんだ。私にとって、一生の思い出になるだろう。
次の日、約1週間程お世話になった別荘を後にして。私達は日常へと帰っていくのであった。
応援ありがとうございます!
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