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たのしい誕生日

プレゼントは僕だよ

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あー、おなかいっぱい。
料理もお酒もめちゃくちゃ美味しかった。こんな美味しい誕生日は初めてかも。

「ごちそうさまでした。ほんっとーに美味しかった! 大輝くん、ありがとう」
「喜んでもらえて良かった。せっかくの誕生日だし、ケーキ頼もうか?」
「ううん、ケーキはいい。弟が初挑戦してくれるの」
「初挑戦?」
「うん。ママが小麦アレルギー発症しちゃって、米粉で作るケーキに初挑戦」

今日はママもお休みだから、これから家に帰って家族でバースデーケーキふぅ~をやる。

「え……あのさ、サプライズプレゼントがあるんだ」
「プレゼント? いいよ、こんな高そうなレストランで食事したのに更にプレゼントなんて申し訳ないもん」

物によっちゃあここの食事代を折半しなければならなくなる。

「プレゼントはね……僕だよ」

爽やかイケメンフェイスで大輝くんがニッコリ微笑む。

……聞き間違いかな。

「どういう……?」
「このホテルに部屋を取ってある。明日の朝まで二人っきりで過ごそう。ね?」
「水曜日だよ? 明日、会社もあるのに」
「朝5時に起きてすぐ出れば間に合うよ」

……私、朝弱いんだけど……誕生日の翌日から5時起きとか、プレゼントと言うより罰ゲーム。

「気持ちは嬉しいんだけど、気持ちだけ受け取らせてもらうね。朝5時はちょっと」
「喜んでもらえると思ったのに。ここ数日、紗夜ちゃんの笑顔が見れるかなって楽しみにしてたのに」

大輝くんのまつ毛バシバシの目できゅるるん、と見つめられると、ちょっと心が揺らぐ。
だけど、月末が差し迫ってくるというのに朝5時起きは仕事にも支障をきたす。

「本当にごめんなさい。あと家族との予定もあるから、サプライズじゃなくて先に教えてもらった方がありがたいかも」
「紗夜ちゃん、いつも家族を優先するからサプライズじゃなきゃお泊りできないと思った」

お泊り……?
そうか、明日の朝まで二人っきりって、お泊りか!

誕生日というシチュエーションでひとつのベッドに入って二人っきりって、きっと何事もなく朝を迎えることはあり得ない。
大輝くんは立派な大人の男。完全にそういうことをするつもりかも……?

無理無理無理めっちゃ無理!
レストランで食事としか聞いてないから、もーそんな予感何にもなかったから事前準備が何もできてない。

いくら経験がないって言い訳したところで、素のまんまはダメだと思う。
私、まつ毛綺麗って褒められることがあるけど、まつ毛だけが長いわけじゃないからね?!
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