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久しぶりのVコラボ

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 あれから俺はクロノのいつものスパルタで、フルバージョンの歌を無事マスターすることが出来た。

 んで、翌日の放課後、俺は優の家にVの関係のタイアップイベントでお邪魔していた。

 といってもやる事は実はアルカディアアドベンチャーのプレイ実況だったりする。

「さて……久しぶりのコラボだがどうする無紅?」
「そうだな、そのままの協力プレイじゃ面白くないのでなんか対戦的な内容がいいよね? 皆もそう思うよね?」

コメントA:賛成!
コメントB:あ、でも、純粋な戦闘だったら優君が有利じゃん?
コメントC:じゃ、いっそのことVらしく歌で勝負とか!

 お……よしよし、いい流れになってきましたね……?

 俺は一人ニヤリとほくそ笑む。

 しかも、俺は昨日天使クロノから歌など色々鍛えられてきましたよ?

「では、視聴者さんから色んな意見募って決めますか……」
「そうだな……皆さん意見よろしくお願いします!」

 それから数十分後……。

 色々な意見が出てまとめていき……最終的な集計結果は……。

 ①Vらしく歌 648票
 ②初期森ステージどっちが100体先に倒すかバトル 555票
 ③現最強コアモンスターと対決してどちらが長く生き残るか 418票

 後はまちまち……。

 さて、多数決により決まりましたね……。

「よし! じゃリクエストに応え歌で勝負だ! じゃ俺からいくぞー!」
「な……? おまっ! それはお前が有利だろうが!」

「あれ? そんなこと言っていいんですか? 俺だけじゃなく優のファンも混ざって決まったんですよこれ?」
「うっ……くっ!」

「それにVなのに歌で勝負出来ない? 流石にないよね? プロだろお前?」
「……か、返す言葉が無い……」

 俺の正論にうなだれる優……。

 すまんな優……今のやり取りで、お前のファンが何人か俺の動画チャンネルの登録者になった……。

 俺は自分の動画チャンネル登録者数の増加を見て満足する。

「……では、皆さん聞いてください【導きの歌】」
「なっ、おまっ!」

 俺の選曲にめっさ動揺する優。

「この歌はこのアルカディアアドベンチャーの宣伝にも使われている俺のデビュー曲でもあります……」
「あ、悪魔か……お前は……?」

コメントA:あ……そうきます?
コメントB:鬼畜……
コメントC:天使の刻印を持つ、悪魔の所業……
コメントD:全力で勝ちを取りに行ったか……
コメントE:結果は見えてるから、次の勝負もやるのがよろし

 凄い勢いで流れる視聴者コメントを見て、笑いをこらえる俺。

 ククク……悪いな……圧倒的勝利を得る為に俺は容赦しないよ?

 これでファンではないアルカディアアドベンチャーブレイヤーの心は間違いなく鷲掴みできるだろう!

 俺がこの歌を歌っているのを知らない人もいるだろうしね。

 数十分後……。

 語るまでもなく、俺の圧勝!

 そりゃそうだ、負ける要素は1つもない。

「く、くそっ! じゃ、次は【初期森ステージどっちが100体先に倒すかバトル】で勝負だ!」 
「ああ……多数決で決まった内容で異論は当然ないよ? なあ? みんな!」

コメントA:〇
コメントB:まあ、これで優が次は勝つだろう
コメントC:無紅、お前……歌は兎も角、射撃で勝機あるんか?

 こうして俺達のコラボバトルは2回戦に突入するのだった……。

  俺達はとりあえず、アルカディアアドベンチャーの世界にダイブする。

 ステージは当然初期の森……。

「で……優、どの方法で勝負する?」
「……そうだな」
 
 深く悩む優……。

 これは仕方ない、というのも実は何通りか勝負方法に選択肢があるのだ。

 1つ目は武器を初期値に戻し、プレヤーの腕のみでコアモンスターを100匹倒していく方法。

 この方法は平等ではあるが、武器の初期値の関係で全討伐に時間がかかるので、配信用として人気が無い。

 2つ目はアルカディアアドベンチャーの現使用武器そのままでコアモンスターを100匹倒していく方法。

 この方法は、アタッカーとプレイ時間の長いプレイヤーが有利なので当然平等ではない。

 ただし、変わったレア武器が見れたり、プレイヤーの現火力が見れる関係で配信用として人気がある。

 優は後者の2つ目が自分に有利なのは理解しているが……そう真面目で公平にいきたいと考えているハズ……。

 この初期ステージはコアモンスターが最弱でタイムアタックの場合、プレイヤーは二刀流の短銃を使用するのが基本戦術となっている。

 んで、優のキマイラ銃は強化値がマックス。

 対して俺のキマイラ銃は8割強化……。

 そういうことだ……。

「優、気にしないでいいから現使用武器ルールでいこうぜ!」
「な、なに……? お前俺より射撃の腕が劣っているのにいいのかそれで?」

 これには驚く優。

 そりゃそうだよな、自分が圧倒的に有利なの知っているだろうし……。

「ああ……その代わり」
「ん? 何だ? もしかしてデバフ系の歌を使っていいかとか?」

「ああ」
「まあ、いいんじゃないか? どうせここのモンスターは雑魚だから一撃で死ぬしな」

 俺は心の中でほくそ笑む……。

「……本当にそのルールでいいのか?」
「……ん? ああ、お前の事だから強化武器で貫通のチャージショット狙いの大量に一撃死させるつもりだろうが、一発で100匹倒せるわけはないし、ここいらはそんなにモンスターは固まっていないしな……」

「本当にいいんだな?」
「ああ……問題ないし、いいハンデにしかならない。何なら戦闘前に歌ってもいいぞ?」

 俺の言葉に深く頷く優。 

「きまりだね。じゃ、優が今の話をまとめて皆に教えてあげてよ……」

 俺は静かにほくそ笑む……。

 この勝負2回目も勝ったな……と……。

「分かった! 皆っ! 『ルールは現使用武器ルールただし、ハンデとして無紅はデバフ系の歌を事前に使用することを可能とする』でいきますが良いかっ!」

コメントA:〇
コメントB:いいハンデじゃね?
コメントC:どうせ森モンスター雑魚だし、ハンデになってないんじゃ?
コメントD:上手くいけば20匹まで最大貫通した例があるから、ワンチャンあるで!
コメントE:これで優が勝つから、3回戦目も見れるな!

 コメントを見た所、誰も反対意見が無いし、案は通ったと見て良いな……。

 勝負カウントはまだ、始まっていない……。

 理由は優が俺のバフを待ってくれているから……。

 すまんな優……今回もあっさりと勝たせてもらう……。

 お前の敗因は俺の現在の強さを見くびった事だ……。

 俺は少しのボイストレーニングを始め、高らかに歌いだす……。

 社長から教わったオペラの表現力とクロノから教わったあの歌を組み合わせた、この歌を……!
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