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1話。
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僕と貴嶺との出逢いは中学だった。
僕はもともと喘息持ちで、身体も弱かったし、なにより両性具有だったから、普通の学校には通えない。と言われて、主治医に勧められた医療設備も整ったお金持ち学校と呼ばれる神代学園大学附属中学校という所に入ることになった。
神代学園は幼稚舎から大学までエスカレーター式で上がっていける超金持ち学校だ。
偏差値も高い上に、超金持ちの長男しか通えない学校という時点でも、もう既に卒倒しそうなのに、小学校から高校までは全寮制になっていて、1人にマンション一部屋与えられるらしい。
住んでみて分かったけど、マンションの部屋は僕の家と同じくらい。僕ん家一軒家なのに……。その上、生徒会や、神代なんとかってやつに入ると、一軒家に住めるらしい。(誰が入るかは投票で決まるらしいけど。)
その理由も、他の生徒たちは執事やらメイドやらを連れてくるから。だそうだ。
まあとにかくかなり有名な学校らしい。
でも、うちは今は4人兄弟で、入学する頃は5人だったから家計が苦しくて、僕が頑張って勉強して奨学金制度で入るしかなかった。
この前母が再婚して弟が1人増えたんだ~。
だから小学校では、低学年の頃は入院ばっかりで高学年になると勉強って感じで、友達なんてろくにいなかったし、つくる暇もなかった。
それが当たり前だった。
でも、「はじめまして。君、もしかして中学からの編入生?すごいね。うちの学校レベル高いからさ。俺は秋城高嶺。君は確かー、雪路志乃…君だっけ?名前、珍しいよね。どんな意味があるの?」
教室の隅で縮こまっていた僕に初めて話しかけてくれたのが、君だった。
「あ、うん。真っ直ぐな子に育つように。って、お父さんがつけてくれたんだ。」
「いい名前だね。志乃って呼んでもいい?」
「うん。」
緊張し過ぎてなんかちょっと素っ気なくなっちゃった。
そんなつもりないのに…。
嬉しい。今まで僕の名前を呼んでくれた人なんていなかった。
せめて雪路。くらい。
家族以外は初めてかも。
「ふーん?俺が初めて?嬉しいな。」
あっ。心の声漏れちゃってたかな?
恥ずかしい……。
「ところで、志乃ってさ…「おーい!たかー!合コンの打ち合わせー!」
「いや、でも…。」
「秋城君、また話せるといいな。」
そう言って合コンの打ち合わせに送り出したんだ。
僕はとっくに秋城君に恋してたのに。
「あー、うん。じゃ、またね。おい仁!どーした。」
「たかー、今日はどこだと思うー?当ててみろよ。」
「華月女子だろ。どーせ。」
「おまっ!なんでわかったんだよ!」
「お前のにやけ顔で一瞬で分かったわ。どあほ。」
「くそ。面白味がねーな。でも、華月だぜ?可愛い子ばっかじゃん!さいっこーだわ。」
「うるせぇこのバカジン。」
「ちょっ、バカボンみてーに言うなよ。」
遠くで秋城君と橘君が喋ってる会話を聞いて、真っ青になる。
君は女の子が好きなのに、僕は君に恋してしまった。
始業式に壇上で話す秋城君を見て、一瞬で恋に落ちた。
あの低くて透き通ったような心地いい声、穏やかで落ち着いた喋り方、少し色素の薄い瞳、口角をちょっと上げて微笑むような笑い方。
その全てに、僕は恋してしまったんだ。
でも、そんなの間違いだ。って気づいてしまった。
しかも、恋に落ちてからまだ一日も経ってないのに。
あぁ、僕はなんて馬鹿なんだ。
僕の生まれて初めての恋が終わった瞬間だった。
僕はもともと喘息持ちで、身体も弱かったし、なにより両性具有だったから、普通の学校には通えない。と言われて、主治医に勧められた医療設備も整ったお金持ち学校と呼ばれる神代学園大学附属中学校という所に入ることになった。
神代学園は幼稚舎から大学までエスカレーター式で上がっていける超金持ち学校だ。
偏差値も高い上に、超金持ちの長男しか通えない学校という時点でも、もう既に卒倒しそうなのに、小学校から高校までは全寮制になっていて、1人にマンション一部屋与えられるらしい。
住んでみて分かったけど、マンションの部屋は僕の家と同じくらい。僕ん家一軒家なのに……。その上、生徒会や、神代なんとかってやつに入ると、一軒家に住めるらしい。(誰が入るかは投票で決まるらしいけど。)
その理由も、他の生徒たちは執事やらメイドやらを連れてくるから。だそうだ。
まあとにかくかなり有名な学校らしい。
でも、うちは今は4人兄弟で、入学する頃は5人だったから家計が苦しくて、僕が頑張って勉強して奨学金制度で入るしかなかった。
この前母が再婚して弟が1人増えたんだ~。
だから小学校では、低学年の頃は入院ばっかりで高学年になると勉強って感じで、友達なんてろくにいなかったし、つくる暇もなかった。
それが当たり前だった。
でも、「はじめまして。君、もしかして中学からの編入生?すごいね。うちの学校レベル高いからさ。俺は秋城高嶺。君は確かー、雪路志乃…君だっけ?名前、珍しいよね。どんな意味があるの?」
教室の隅で縮こまっていた僕に初めて話しかけてくれたのが、君だった。
「あ、うん。真っ直ぐな子に育つように。って、お父さんがつけてくれたんだ。」
「いい名前だね。志乃って呼んでもいい?」
「うん。」
緊張し過ぎてなんかちょっと素っ気なくなっちゃった。
そんなつもりないのに…。
嬉しい。今まで僕の名前を呼んでくれた人なんていなかった。
せめて雪路。くらい。
家族以外は初めてかも。
「ふーん?俺が初めて?嬉しいな。」
あっ。心の声漏れちゃってたかな?
恥ずかしい……。
「ところで、志乃ってさ…「おーい!たかー!合コンの打ち合わせー!」
「いや、でも…。」
「秋城君、また話せるといいな。」
そう言って合コンの打ち合わせに送り出したんだ。
僕はとっくに秋城君に恋してたのに。
「あー、うん。じゃ、またね。おい仁!どーした。」
「たかー、今日はどこだと思うー?当ててみろよ。」
「華月女子だろ。どーせ。」
「おまっ!なんでわかったんだよ!」
「お前のにやけ顔で一瞬で分かったわ。どあほ。」
「くそ。面白味がねーな。でも、華月だぜ?可愛い子ばっかじゃん!さいっこーだわ。」
「うるせぇこのバカジン。」
「ちょっ、バカボンみてーに言うなよ。」
遠くで秋城君と橘君が喋ってる会話を聞いて、真っ青になる。
君は女の子が好きなのに、僕は君に恋してしまった。
始業式に壇上で話す秋城君を見て、一瞬で恋に落ちた。
あの低くて透き通ったような心地いい声、穏やかで落ち着いた喋り方、少し色素の薄い瞳、口角をちょっと上げて微笑むような笑い方。
その全てに、僕は恋してしまったんだ。
でも、そんなの間違いだ。って気づいてしまった。
しかも、恋に落ちてからまだ一日も経ってないのに。
あぁ、僕はなんて馬鹿なんだ。
僕の生まれて初めての恋が終わった瞬間だった。
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