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しおりを挟む1度、シャワーを浴びた。
ウィッグを付けているとどうも頭が蒸れるし、やっぱり重く、なかなか慣れない。
シャワーを浴び終え、洗面所にある姿見を見ると見慣れた男の俺。
なんだかホッとする。
真新しいブラとパンティを穿き、ワンピースを着、淡いブラウンのストレートヘアのウィッグを付ける。
この作業はだいぶ慣れた。
お母さんに教わり、頂いたポーチの中のメイク用品でメイク。
化粧水の後に乳液で肌を整えや下地をつけ、ファンデーション。
眉を書き、アイシャドウにアイライナーが終わるとビューラーをし、マスカラ。
最後は濃いピンクのリップを塗り、完了。
初めて会うお父さんにきちんと挨拶しないといけない。
気を引き締めた。
コンコン。
ノックをし、お父さんの部屋を開けた。
開けるとこれまた広い。
1DKくらいの広さともきかないかも。
本棚には難しそうな書籍が並んでひしめき合い、ガラスのテーブル、奥にはキングサイズのベッドも見える。
病院のようなデスクに座るお父さんが振り返った。
「お、お邪魔します...」
上品な雰囲気な賢そうな面立ち。
「君が瑞希くん、だね。家内も世話になっているようだ」
「あ、いえ、私こそ...」
「とりあえず、座りなさい」
お父さんは近くのソファに移動し、俺も間を開けて隣に腰掛けた。
「ヒロとはどうだね、上手くいっているか?」
「は、はい。とても」
「...少し肌が荒れているようだ、無理してるんじゃないか?」
いきなり、頬を優しく撫でられた。
「家事は好きですし、無理はしてはいません」
「...だったらいいが何か困った事があったらいつでも私に話しなさい」
「あ、ありがとうございます」
お母さん同様、お父さんも優しい人のようだ。
お父さんはデスクの上から小さめな処方薬の入っているような紙袋を手渡した。
「内科や美容外科の資格も持ってはいるが、今は外科が専門なんだがね。ビタミンCやプラセンタ、て知っているかな」
「CMで聞いたような...」
「市販のものより遥かに肌に良い、純粋な成分で作っている。芸能人も秘かに使っているよ、良かったら」
俺は中身を見た。カプセル錠のなんてことはない市販の薬みたいだ。
「ヒロや家内の為にも肌も綺麗にして、より女らしくあって欲しい」
「はい」
「...ところで」
「はい」
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