文字サイズ
小
中
大
特大
3 / 66
第一章 旅の始まり
第3話
茂みから出てきた勇者とルネは俺達を見つけると「アリサ、ミキ、モモ。何でお前らがそいつと一緒にいるんだ?」と言いながら近づいて来た。
「何偉そうに私達の名前を呼んでるのよ? さっき、話したでしょ魔王討伐も終わって、あんたと一緒に居る意味は無くなったからパーティーは解散だって」
「ふっ、そんな事言ってルネと一緒になる俺の気を引こうとしたんだろ? 大丈夫だって、俺はアリサ達もちゃんと優しくしてやるからな」
勇者はそう言って、アリサの肩に手を置こうとしたがその手をアリサは払いのけて俺の方へ近づいて来た。アリサと一緒にミキとモモも俺の後ろへと隠れるとアリサが勇者に向かって心底嫌そうな顔をして勇者に対しての気持ちを伝えた。
「ごめんなさいね。私達、あんたよりロイド君のが好みなのよ。あんただって、その雌猫と一緒になるんだからいいでしょ? もう金輪際関わらないで頂戴」
「なッ! 俺より、その薄汚い農民風情が良いのか!?」
「ハァ? 何処が薄汚い農民なのよ? あんたの方こそ、そんな面で決めるような雌猫の何処が良いのよ!」
アリサは俺の悪口を言った勇者に対してそう言うと、勇者は激高し「ルネの悪口を言うなッ!」と自分の事は棚に上げてその様に言うと、攻撃魔法を発動させアリサに向かって魔法を放った。
俺は、流石にこんな至近距離から魔法が当たるとアリサ達でも危ないと思い咄嗟にアリサ達の前に入り、勇者の魔法を弾き飛ばした。
俺に守られたアリサは頬を赤く染めて「ありがとうロイド君」とお礼を言った。そんなアリサに対してミキとモモが「良いな~」と羨ましそうに見ていた。
「なっ、俺の魔法を弾き飛ばしただと?」
「……いい加減にしろよ。クソ勇者。仲間との喧嘩に魔法何て使ってんじゃねえよ」
村での出来事から既に勇者に対しての〝敬う〟気持など消え去っていた俺は、先程からの観察で俺より弱いと判断し、挑発する言葉を放った。
「あぁん? 俺の魔法を弾き飛ばしたくらいで何良い気になってんだ農民風情が? こちとら、魔王を討伐してきた勇者様だぞ?」
「ハッ、その農民風情に弾き飛ばされるような魔法しか使えない勇者様が魔王を討伐? そりゃ、仲間が強かったおかげだろ?」
俺のその言葉に勇者は「ふざけるのも大概にしろよ?」と言いながら、腰に差していた剣を抜いた。その剣は、俺が村や街で見かけた剣とは違い輝かしい剣をしていた。所謂あれば勇者にしか扱えないと言われている〝聖剣〟だろう。
「お~お~、実力に合わない剣を持たせて貰って良かったですね。仲間と装備のおかげで魔王を討伐出来て、いや~それで勇者を名乗ってられるなんて俺には無理ですよ~」
「ちょ、ロイド君。流石に聖剣を抜いた彼奴を余り煽らない方が……」
剣を抜いた勇者に対しても俺の態度が変わらないのに対して、アリサが心配した様子で俺に声を掛けた。そんなアリサを見て勇者は「ハッ、今更もうおせぇよ」と言って俺に向かって突っ込んできた。
俺は、心配しているアレサ達に「大丈夫だよ」と言い。突っ込んできた勇者へと正面から接近し、剣をギリギリで避けた俺は、聖剣の持ち手部分を蹴り上げ勇者から剣を奪い取った。完全に舐めて掛かって来ていた勇者は、剣を取られた事に驚き呆然とし、そんな勇者の腹に向かって回し蹴りを叩き込み吹っ飛ばした。
「ガハッ!」
「「「「えっ……」」」」
吹っ飛ばされた勇者は、木に背中から当たり苦しそうな声を上げた。その一連の動作を見ていたアリサ、ミキ、モモ、そしてルネは勇者と俺を交互に見て驚きを隠せていなかった。
「ちょ、ちょっとロイド! 何で、あんたがルイ様より強いのよ!」
「……強いんじゃなくて、そこのクソ勇者が弱いだけだろ。それにルネ。君にはもう関係ない話だろ?」
俺はそう言って、俺の後ろに立っていたアリサ達に対して「さっきの話だけど、もう色々と考えるのが嫌だから、取りあえず一緒に旅に出てくれる?」と尋ねると、三人はコクコクと頷いてくれた。
三人の了承が取れた俺は、勇者から奪い取った聖剣を手に取ると勇者の所まで持って行った。そして、未だ背中の痛みから立ち上がれない勇者に対して俺は腰を落として目線を合わせた。
「ルネの件は分かったよ。俺はもうお前とルネ、それに村に関わらない。だけど、逆にお前等が俺に関わってきたら、今度こそ容赦はしないからな? そこの所よーく考えて行動するんだぞ?」
勇者に対して強い殺気を放ちながらそう伝えると、勇者は俺に対してに恐怖心を抱き、魔王を討伐した勇者でありながら涙を流し、失禁しながら「わ、分かったよ。金輪際、お前にもアリサ達にも関わらないから、もう許して下さい」と謝罪をされた。
そんな勇者を俺は、一瞥してその場から去って行った。去り際にルネが俺に何か言っていた様だが、俺にはもう彼女の言葉を聞きたくないという思いが有り俺はルネ、勇者、そして村との縁を切ったのであった。
感想 59
あなたにおすすめの小説
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・
勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。
応援本当に有難うございました。
イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。
書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」
から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。
書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。
WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。
この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。
本当にありがとうございました。
【以下あらすじ】
パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった...
ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから...
第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。
何と!『現在3巻まで書籍化されています』
そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。
応援、本当にありがとうございました!